薄荷さん
レビュアー:
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物語前の「お願い」と、巻末の「参考文献」が恐いぃぃ・・・
隅から隅まで気の行き届いた恐い演出がお見事な『三津田先生巻き込まれ怪談』シリーズです。
熱心な三津田ファンということで知り合った編集者・三間坂が、ある日奇妙な話を持ち出してきたところから、怪談スタート。
ひょんな事から入手した2つの怪談話が、入手ルートも体験した人も怪異の起きた時代も場所も全く関係ないのに妙に繋がっているような気がする、と。
経験上厭な予感を覚えた三津田先生だが、後日送られてきた2つの怪談話を読んだとき、やっぱり奇妙な繋がりを感じた上、知らない話なのにどこかで既視感を覚え・・・でもはっきりとした心当たりが無い。
1つ目の話は、『引っ越してきた家』で奇妙な気配と影を感じ始めた主婦の日記。
幼い娘は見えない友達「キヨちゃん」と話すようになり、部屋の隅や家具の下に『ナニカ』がいる奇妙な気配がして、雨が降ってない日にもパラパラと音がする・・・。
そしてある日、遊びに来ていた少年が家の中で失踪した!?
壁の向こうに『アレ』がいる・・・?囲いがあると出てこれないと娘が教えてくれたから、柵を書いたし、立ち入り禁止テープもベタベタ貼ってみた・・・でも『囲い』の向こうからぐにゃりと手が伸びてきて・・・!?
2つ目は、村で禁忌とされた森に入った子どもが化け物に追われ、不気味な屋敷に逃げ込んだ恐怖体験。
外から見た形が変で、入ると道が入り組んで出入り口が何故か1つしかない森で、『出遭った子供は必ずいなくなる』と言われている化物・割れ女が追いかけてきた!
やむを得ず逃げ込んだのは、不気味な噂がある晨鶏(しんけい)屋敷。
助けを求めて走り回るが、家の中には誰もいない。割れ女はどんどん迫ってくる!子どもは大きな長持ちに隠れるが・・・!!
その後、「また見つけました」と三間坂から送られてきた追加の話が2つ。
3つ目は、引っ越し先のアパートで『屋根の上で異様なモノ』を深夜に目撃した大学生のネット投稿。
駅近で間取りも良くて家賃格安。なのに極端に空き部屋が多い・・・後から考えたらそのアパートは変だった・・・。
夜中、奇妙な音がする屋根を外から見上げてみたら、蠢く「黒い不気味なモノ」に気付かれた!?
一人暮らしの女性が住む隣の部屋からも聞える妙な音・・・開いたドアからこっそり侵入した彼に、ものすごい勢いで這いずってきた黒いアレは・・・!?そして隣の部屋と思っていたのは…!!
4つ目は、三間坂の先輩の出版社に10年ほど前に見知らぬ女性が持ち込んできた、小説の形をしたフィクション。
家を新築した伯母が突然奇妙な宗教団体の改組となり、当時中学生だった彼女の両親と姉2人も帰依してしまう。ただ一人残された幼い弟も騙されて連れ去られ、彼を救うべく彼女は単身その家に乗り込む・・・が、信者たちが集っているはずのその家には、壁の其処彼処に不気味な落書きと標語が書かれているばかりで誰もいない。
探索に疲れて眠り込んだ彼女のまぶたをこじ開けようとするのはナニモノ…?そして翌日彼女が目撃した惨劇は・・・!
そしてラストの5話目は、三津田先生がずいぶん前に入手していてすっかり忘れていた、とある老人の自伝(私家版)。
著者が幼いときに祖母から聞いた、故郷の村でおきた神隠しと村一番の権力者の娘の異常な能力。旧家、邪教、呪い、差別、額が割れたキチガイ女、凶行、座敷牢・・・全ての怪談を読み解く鍵はここにあった!?
時代、地域、登場人物の全てが違う5つの話を読み解いた三津田先生が、5つの共通点から導き出した驚愕の答えとは・・・!気づいたら「その家」を知りたくなる?でも気付いたことを「アレ」に気付かれたら…!?
第1話で語られるように、この怪異は家に限定されます。
条件の一つとして柵からこちらへは出てこれないんですが、5話目でその理由が明らかになった時、なるほど!と思いつつももっと恐~くなります。
柵=(さく)と読めば、2つの異なる場所の境界線を区切ため、危険な場所への侵入を防ぐために作られる建造物として、理解できる物理的結界。
でも、柵=(しがらみ)と読んでちょっとひねった場合、それは『人との縁』『断ち難い関係』『引き留め、まとわりつくもの』『じゃまをするもの』・・・精神的結界とでも言いましょうか。
怪異の恐怖と人の惨たらしさが合体したおぞましさを、是非ご堪能あれ。
いつものように「この本を開いた瞬間から、読者も他人事じゃないんだ・・・」と感じさせる怖さは、もはやお約束。
実際ちょっとしたことがあったんですが・・・ホントに大した事じゃないんで、覚書としてコメントに書いときます。お時間があればついでにご覧ください。
熱心な三津田ファンということで知り合った編集者・三間坂が、ある日奇妙な話を持ち出してきたところから、怪談スタート。
ひょんな事から入手した2つの怪談話が、入手ルートも体験した人も怪異の起きた時代も場所も全く関係ないのに妙に繋がっているような気がする、と。
経験上厭な予感を覚えた三津田先生だが、後日送られてきた2つの怪談話を読んだとき、やっぱり奇妙な繋がりを感じた上、知らない話なのにどこかで既視感を覚え・・・でもはっきりとした心当たりが無い。
1つ目の話は、『引っ越してきた家』で奇妙な気配と影を感じ始めた主婦の日記。
幼い娘は見えない友達「キヨちゃん」と話すようになり、部屋の隅や家具の下に『ナニカ』がいる奇妙な気配がして、雨が降ってない日にもパラパラと音がする・・・。
そしてある日、遊びに来ていた少年が家の中で失踪した!?
壁の向こうに『アレ』がいる・・・?囲いがあると出てこれないと娘が教えてくれたから、柵を書いたし、立ち入り禁止テープもベタベタ貼ってみた・・・でも『囲い』の向こうからぐにゃりと手が伸びてきて・・・!?
2つ目は、村で禁忌とされた森に入った子どもが化け物に追われ、不気味な屋敷に逃げ込んだ恐怖体験。
外から見た形が変で、入ると道が入り組んで出入り口が何故か1つしかない森で、『出遭った子供は必ずいなくなる』と言われている化物・割れ女が追いかけてきた!
やむを得ず逃げ込んだのは、不気味な噂がある晨鶏(しんけい)屋敷。
助けを求めて走り回るが、家の中には誰もいない。割れ女はどんどん迫ってくる!子どもは大きな長持ちに隠れるが・・・!!
その後、「また見つけました」と三間坂から送られてきた追加の話が2つ。
3つ目は、引っ越し先のアパートで『屋根の上で異様なモノ』を深夜に目撃した大学生のネット投稿。
駅近で間取りも良くて家賃格安。なのに極端に空き部屋が多い・・・後から考えたらそのアパートは変だった・・・。
夜中、奇妙な音がする屋根を外から見上げてみたら、蠢く「黒い不気味なモノ」に気付かれた!?
一人暮らしの女性が住む隣の部屋からも聞える妙な音・・・開いたドアからこっそり侵入した彼に、ものすごい勢いで這いずってきた黒いアレは・・・!?そして隣の部屋と思っていたのは…!!
4つ目は、三間坂の先輩の出版社に10年ほど前に見知らぬ女性が持ち込んできた、小説の形をしたフィクション。
家を新築した伯母が突然奇妙な宗教団体の改組となり、当時中学生だった彼女の両親と姉2人も帰依してしまう。ただ一人残された幼い弟も騙されて連れ去られ、彼を救うべく彼女は単身その家に乗り込む・・・が、信者たちが集っているはずのその家には、壁の其処彼処に不気味な落書きと標語が書かれているばかりで誰もいない。
探索に疲れて眠り込んだ彼女のまぶたをこじ開けようとするのはナニモノ…?そして翌日彼女が目撃した惨劇は・・・!
そしてラストの5話目は、三津田先生がずいぶん前に入手していてすっかり忘れていた、とある老人の自伝(私家版)。
著者が幼いときに祖母から聞いた、故郷の村でおきた神隠しと村一番の権力者の娘の異常な能力。旧家、邪教、呪い、差別、額が割れたキチガイ女、凶行、座敷牢・・・全ての怪談を読み解く鍵はここにあった!?
時代、地域、登場人物の全てが違う5つの話を読み解いた三津田先生が、5つの共通点から導き出した驚愕の答えとは・・・!気づいたら「その家」を知りたくなる?でも気付いたことを「アレ」に気付かれたら…!?
第1話で語られるように、この怪異は家に限定されます。
条件の一つとして柵からこちらへは出てこれないんですが、5話目でその理由が明らかになった時、なるほど!と思いつつももっと恐~くなります。
柵=(さく)と読めば、2つの異なる場所の境界線を区切ため、危険な場所への侵入を防ぐために作られる建造物として、理解できる物理的結界。
でも、柵=(しがらみ)と読んでちょっとひねった場合、それは『人との縁』『断ち難い関係』『引き留め、まとわりつくもの』『じゃまをするもの』・・・精神的結界とでも言いましょうか。
怪異の恐怖と人の惨たらしさが合体したおぞましさを、是非ご堪能あれ。
いつものように「この本を開いた瞬間から、読者も他人事じゃないんだ・・・」と感じさせる怖さは、もはやお約束。
実際ちょっとしたことがあったんですが・・・ホントに大した事じゃないんで、覚書としてコメントに書いときます。お時間があればついでにご覧ください。
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スマホを初めて買いました!その日に飛蚊症になりました(*´Д`)ついでにUSBメモリーが壊れて書きかけレビューが10個消えました・・・(T_T)
この書評へのコメント
- 薄荷2016-08-22 15:38
ホントに大した話じゃないんですけど・・・私はボロい公団の一番上(7階)の部屋に住んでます。天井は板ではなく、ホコリ除けの柔らかいシートが貼られているのがボロさ炸裂です(笑)。
一般的に立ち入られる屋上は無く、アンテナの調整などで管理会社が屋上に行く必要がある時は、専用の乗降口に専用の梯子を立てないと登れません。
・・・で、この本を読み終わった深夜。
突然、天井シートの向こうから
「ぼとぼとぼと・・・っ!」
と鈍く響く音を立てて何かが走り去っていきました。
10年以上住んでて今までこんな事は1回も無かったんですが・・・。
ゴキブリなどの害虫はいますが、ネズミなどの害獣は噂を聞いた事すらないんですが・・・アレは何だったんでしょう・・・?クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - Wings to fly2016-08-22 16:16
実はわたくしにもこんな経験があります。二階にいるとき、天井からゴトゴトゴトって音がして、何かが走って行ったのです。誰もいない静かな夕方だったので、ホントにギョッとしました。翌日も同じ音がして、その後に「カー!カー!」という鳴き声が聞こえ・・・(笑)正体はあの真っ黒いヤツでした。それもデカイ奴だったわ。
飛び立つ前に助走でもつけていたのかしらん。カラスめ!!クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:中央公論新社
- ページ数:352
- ISBN:9784120046377
- 発売日:2014年08月08日
- 価格:1728円
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