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ソネアキラ
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血が繋がっているから家族なのか。一緒に暮らしているから家族なのか
『低地』 ジュンパ・ラヒリ著を読む。

インドで革命運動の闘士だった弟は低地で殺される。彼の妻は身ごもっていた。アメリカで研究者をしていた兄は、弟の妻の行く末を案じ、アメリカで暮らし始める。

血が繋がっているから家族なのか。一緒に暮らしているから家族なのか。子どもが生まれてからせっせと思い出を貯金して。さぞ、豊かな思い出長者と思いきや、その思い出は負の遺産、不良債権だったりして。

この作品の核となる女性の生き方を決して身勝手とは言えないだろう。

たとえば、絵に描いたようなホームドラマ真っ青のリアル家族。でも、「あなたのためよお~」が口癖の優しいママは、結婚当初からの孤独池、疎外沼から生涯、出ることは出来なかった。

もっとも、沼から出る必要はないし、埋め立てでもしたら、生息不能状態に陥るのは必至だったろう。

晩年、痴呆症が出て、それまでひた隠しにしていたものが露わになる。とかね。

登場人物の胸の内、行動を丹念に描写。近しい間柄でも、もとい、近しいがゆえに意志の疎通がままならない。そんなことを感じさせる小説。真っ向勝負の作品。
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ソネアキラ
ソネアキラ さん本が好き!1級(書評数:2196 件)

女子柔道選手ではありません。開店休業状態のフリーランスコピーライター。暴飲、暴食、暴読の非暴力主義者。東京ヤクルトスワローズファン。こちらでもささやかに囁いています。

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