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ソネアキラ
レビュアー:
涙腺がつまりがちなあなたに

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

『朗読者』ベルンハルト・シュリンク著 松永美穂訳を読む。

妻が本を読みながら、泣いていた。その本を手にして、ものは試しにと読み出したら、不覚にも、恥ずかしながら、すっかり虜(とりこ)になってしまった。それが本書である。

ストーリーは、教えないっ!ひとことでいうと、年下の少年と年上の女性のボーイ・ミーツ・ガールもの。いつしか少年が、女性に本を朗読してあげるという、それがタイトルの由来なのだが。そこに、戦争」だの「女性の秘密」など秘伝の感動スパイスがたっぷりと利いている…。あ、教えてしまったかも。

やっぱり、この手の小説は、素直に読みたい。作者は何のけれんみもなく、―というと語弊があるか、それなりの伏線はミステリー小説ばりに巧みに張ってあるのだが―真っ向から読み手に勝負を挑んでくるのだから。なんだか、嫁イビリの姑のように、アラ探しばっかりして読んでいても、ちぃとも楽しくないでしょうが。

泣かせポイントは3ヵ所とぼくは踏んだのですが、この読みは合っているでしょうか。

なんか今、『文学の脆弱(ぜいじゃく)化』や『本が売れない』なんて枕詞(まくらことば)のように、いわれているけど、本書は売れた。これは、読者は「いい話」に餓えていることへの証(あかし)なんじゃないかな。やはり小説は読んで面白くないと。ジ~ンとしないとね。

その人間の本質に迫るある種の重々しさが、かつて文学が娯楽の王様だった頃の輝きを束の間、感じさせる。んな大げさな。と思われるかもしれないが、想像以上にいいデキでして。

最近、ハートが不感症気味の人や、涙腺がつまりがちな、そんなあなたに最適な一冊。くれぐれも、通勤中や登下校中の地下鉄や電車では読まないように。
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ソネアキラ
ソネアキラ さん本が好き!1級(書評数:2196 件)

女子柔道選手ではありません。開店休業状態のフリーランスコピーライター。暴飲、暴食、暴読の非暴力主義者。東京ヤクルトスワローズファン。こちらでもささやかに囁いています。

twitter.com/sonenkofu

詩や小説らしきものはこちら。

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