ソネアキラさん
レビュアー:
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涙腺がつまりがちなあなたに

『朗読者』ベルンハルト・シュリンク著 松永美穂訳を読む。
妻が本を読みながら、泣いていた。その本を手にして、ものは試しにと読み出したら、不覚にも、恥ずかしながら、すっかり虜(とりこ)になってしまった。それが本書である。
ストーリーは、教えないっ!ひとことでいうと、年下の少年と年上の女性のボーイ・ミーツ・ガールもの。いつしか少年が、女性に本を朗読してあげるという、それがタイトルの由来なのだが。そこに、戦争」だの「女性の秘密」など秘伝の感動スパイスがたっぷりと利いている…。あ、教えてしまったかも。
やっぱり、この手の小説は、素直に読みたい。作者は何のけれんみもなく、―というと語弊があるか、それなりの伏線はミステリー小説ばりに巧みに張ってあるのだが―真っ向から読み手に勝負を挑んでくるのだから。なんだか、嫁イビリの姑のように、アラ探しばっかりして読んでいても、ちぃとも楽しくないでしょうが。
泣かせポイントは3ヵ所とぼくは踏んだのですが、この読みは合っているでしょうか。
なんか今、『文学の脆弱(ぜいじゃく)化』や『本が売れない』なんて枕詞(まくらことば)のように、いわれているけど、本書は売れた。これは、読者は「いい話」に餓えていることへの証(あかし)なんじゃないかな。やはり小説は読んで面白くないと。ジ~ンとしないとね。
その人間の本質に迫るある種の重々しさが、かつて文学が娯楽の王様だった頃の輝きを束の間、感じさせる。んな大げさな。と思われるかもしれないが、想像以上にいいデキでして。
最近、ハートが不感症気味の人や、涙腺がつまりがちな、そんなあなたに最適な一冊。くれぐれも、通勤中や登下校中の地下鉄や電車では読まないように。
妻が本を読みながら、泣いていた。その本を手にして、ものは試しにと読み出したら、不覚にも、恥ずかしながら、すっかり虜(とりこ)になってしまった。それが本書である。
ストーリーは、教えないっ!ひとことでいうと、年下の少年と年上の女性のボーイ・ミーツ・ガールもの。いつしか少年が、女性に本を朗読してあげるという、それがタイトルの由来なのだが。そこに、戦争」だの「女性の秘密」など秘伝の感動スパイスがたっぷりと利いている…。あ、教えてしまったかも。
やっぱり、この手の小説は、素直に読みたい。作者は何のけれんみもなく、―というと語弊があるか、それなりの伏線はミステリー小説ばりに巧みに張ってあるのだが―真っ向から読み手に勝負を挑んでくるのだから。なんだか、嫁イビリの姑のように、アラ探しばっかりして読んでいても、ちぃとも楽しくないでしょうが。
泣かせポイントは3ヵ所とぼくは踏んだのですが、この読みは合っているでしょうか。
なんか今、『文学の脆弱(ぜいじゃく)化』や『本が売れない』なんて枕詞(まくらことば)のように、いわれているけど、本書は売れた。これは、読者は「いい話」に餓えていることへの証(あかし)なんじゃないかな。やはり小説は読んで面白くないと。ジ~ンとしないとね。
その人間の本質に迫るある種の重々しさが、かつて文学が娯楽の王様だった頃の輝きを束の間、感じさせる。んな大げさな。と思われるかもしれないが、想像以上にいいデキでして。
最近、ハートが不感症気味の人や、涙腺がつまりがちな、そんなあなたに最適な一冊。くれぐれも、通勤中や登下校中の地下鉄や電車では読まないように。
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女子柔道選手ではありません。開店休業状態のフリーランスコピーライター。暴飲、暴食、暴読の非暴力主義者。東京ヤクルトスワローズファン。こちらでもささやかに囁いています。
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詩や小説らしきものはこちら。
https://note.mu/sonenkofu
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- 出版社:新潮社
- ページ数:213
- ISBN:9784105900182
- 発売日:2000年04月01日
- 価格:1890円
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