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Wings to fly
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#ナツイチ 潜入捜査でフロントに立ち、ホテルマンとして成長しちゃう刑事が微笑ましい。
都内の一流ホテルが舞台のこの小説、びっくりしたのは結末よりもお客のクレームの多様性なのである。ホテルにお勤めの方々は、こんな理不尽に耐えているんですか。いやいやご苦労様です。どんなご要望にも、「コノヤロウ!」という気持ちを表情に出してはいけない。気分よくご利用いただくために誠心誠意尽くすのが使命。特にフロントクラークはホテルの顔であり、冷静かつ臨機応変の対応が求められる。経験を積んでやっと辿り着けるその場所に、スタッフに扮した刑事を潜入させてくれと警視庁が言ってきた。連続殺人事件の次の犯行場所が、このホテルだと判明したらしい。

ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク・山岸尚美が「早急に教育せよ!」と押し付けられた若い刑事は、プライドが高い、目つきが鋭すぎる、ムッとすると顔に出る、という全く接客業に不向きな男だった。お客様にご不快をおかけしてはならない、ホテルの評判を落としてはならない。尚美は容赦なくダメを出し男は益々ムッとするが、ふたりはどうしても協力しなくてはならない。万が一にも殺人事件が起きたら、その可能性を知っていながら利用者に秘密にしていたホテルも警視庁も、批判にさらされること必至である。

どんな事件が起きるのかも、犯人の顔もわからない。だから、怪しい素振りを見せた客はすべて疑わなくてはならない。色んなトラブルの中に伏線が張られいるんだろうなあ、どんな大事件が起きるんだろうとワクワクする。ところが最後に判明する犯人の動機は、事件の全体図が非常に手が込んでいる割に単純で、妙にバランスが悪い。「それで殺そうと思ったんなら、これほどまでに面倒な事しなくても良かったんじゃないですかぁ?」と疑問が残ってしまうのが残念である。

読みどころはホテルを舞台にした人間模様だ。プロ意識をぶつけ合い、反発しあいながら心を通わせて行く、とびきり聡明なふたり。少しずつ「おもてなしの心」に目覚めてゆく新田刑事がちょっと可愛い。
9月には続編「マスカレード・ナイト」が出るそうだ。”・・・犯人はホテル・コルテシア東京のカウントダウンパーティに・・・コンビ復活・・・”とのこと。え?また狙われるの?すごく素敵なホテルだったんだけど、あまりにも物騒すぎて「泊まってみたい~♪」って気持ちが失せちゃったぞ。
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Wings to fly
Wings to fly さん本が好き!免許皆伝(書評数:862 件)

「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。

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