風竜胆さん
レビュアー:
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現代宇宙物理学は、ダークマターにどこまで迫っているのでしょうか?
 宇宙の二大「よー分からんもの」といえば、ダークマターとダークエネルギーだろう。何しろ全宇宙に占める普通の物質(バリオン)の割合はわずかに4%。残りは、ダークマターが23%、そしてダークエネルギーが73%と、宇宙のほとんどは、「よー分からんもの」からできているのだ。しかし、この「よー分からんもの」を何とか分かるようにしていこうとするのが物理学だ。「ダークマターとは何か」(郷田直輝:PHPサイエンス・ワールド新書)は、このダークマターに、現代宇宙物理学がどこまで迫っているかを解説したものである。
本書によれば、ダークマターは3つの観点から分類できるという。まずは、天体現象から存在が示唆される「天体系ダークマター」。銀河団の中の銀河の運動や、渦巻き銀河の回転速度を説明するためには、見えている星以外の重力源が必要とされるし、重力レンズ効果というダークマターの存在を強く示唆する現象もある。
次に、宇宙全体の構造形成や宇宙背景放射の温度ゆらぎの特徴に関わって、その存在が示唆されている「宇宙論的ダークマター」。宇宙には、階層構造というものがある。恒星と惑星、それらが集まった銀河、銀河の集まった銀河群や銀河団、そして、銀河群や銀河団が連なってできる超銀河団と銀河が存在しないボイドからなる宇宙の大構造。ダークマターは、こういった宇宙の構造を作るのに重要な役割を担っているというのだ。
更に、ダークマターを素粒子論的に見た「素粒子論的ダークマター」。アクシオンやニュートラリーノが候補らしいが、まだ存在は確認されていない。
その他、天体までの距離の測り方、宇宙モデル、ダークマターの空間分布、速度分布を求めるための位置天文学の話、観測のための衛生を打ち上げるジャスミン計画についてなど、興味深い話題が満載である。読み進めるたびにわくわく度が上がってページをめくる手が止まらない。また、記述は、ダークマターが中心となってはいるが、もう一つの「よー分からんもの」であるダークエネルギーにも1章を割いて解説がされているので、こちらに関してもある程度の知識を得ることができる。
ところで、私のような素人には、一つ疑問がわく。ダークマターが重力源だとしたら、星の重力とも引き合うはずである。そうだとしたら、なぜ、私たちの周りには普通に存在していないのだろうか。それとも実際には存在しているのだが、薄すぎるうえに、他の物質との相互作用がないので、存在しているという感覚がないだけなのだろうか。ずっと、こんなことを思っていたら、最近読んだNewtonに、私たちの周りにも存在しているが、その密度がものすごく薄いというようなことが書かれていた。ダークマターが、この宇宙に存在することは、ほぼ確実なのだろうがまだまだ分からないことがいっぱいのようだ。しかし、いつの日が、人間の英知が、謎を解明する日がくることを夢みたい。
本書によれば、ダークマターは3つの観点から分類できるという。まずは、天体現象から存在が示唆される「天体系ダークマター」。銀河団の中の銀河の運動や、渦巻き銀河の回転速度を説明するためには、見えている星以外の重力源が必要とされるし、重力レンズ効果というダークマターの存在を強く示唆する現象もある。
次に、宇宙全体の構造形成や宇宙背景放射の温度ゆらぎの特徴に関わって、その存在が示唆されている「宇宙論的ダークマター」。宇宙には、階層構造というものがある。恒星と惑星、それらが集まった銀河、銀河の集まった銀河群や銀河団、そして、銀河群や銀河団が連なってできる超銀河団と銀河が存在しないボイドからなる宇宙の大構造。ダークマターは、こういった宇宙の構造を作るのに重要な役割を担っているというのだ。
更に、ダークマターを素粒子論的に見た「素粒子論的ダークマター」。アクシオンやニュートラリーノが候補らしいが、まだ存在は確認されていない。
その他、天体までの距離の測り方、宇宙モデル、ダークマターの空間分布、速度分布を求めるための位置天文学の話、観測のための衛生を打ち上げるジャスミン計画についてなど、興味深い話題が満載である。読み進めるたびにわくわく度が上がってページをめくる手が止まらない。また、記述は、ダークマターが中心となってはいるが、もう一つの「よー分からんもの」であるダークエネルギーにも1章を割いて解説がされているので、こちらに関してもある程度の知識を得ることができる。
ところで、私のような素人には、一つ疑問がわく。ダークマターが重力源だとしたら、星の重力とも引き合うはずである。そうだとしたら、なぜ、私たちの周りには普通に存在していないのだろうか。それとも実際には存在しているのだが、薄すぎるうえに、他の物質との相互作用がないので、存在しているという感覚がないだけなのだろうか。ずっと、こんなことを思っていたら、最近読んだNewtonに、私たちの周りにも存在しているが、その密度がものすごく薄いというようなことが書かれていた。ダークマターが、この宇宙に存在することは、ほぼ確実なのだろうがまだまだ分からないことがいっぱいのようだ。しかし、いつの日が、人間の英知が、謎を解明する日がくることを夢みたい。
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昨年は2月に腎盂炎、6月に全身発疹と散々な1年でした。幸いどちらも、現在は完治しておりますが、皆様も健康にはお気をつけください。
この書評へのコメント
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- 出版社:PHP研究所
- ページ数:208
- ISBN:9784569805467
- 発売日:2012年07月19日
- 価格:950円
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