虫とけものと家族たち

　イギリス人のダレル一家が五年間ギリシアのコルフ島で過ごしたことを描いた物語。
　家族構成は未亡人の母、長男、次男、長女、三男のジェリー･ダレル十歳(物語の語り部)、ワンちゃん。親しい人物としてタクシーの運転手、広範な知識を持った科学者、ジェリーの家庭教師等々。

　その他ジェリーの大好きな虫やけものたちが登場しては数々の騒動、ユーモラスな珍事件を巻き起こすのである。


　読んでいて「何かっぽいなぁ」と思い辿りついたのがテレビアニメ世界名作劇場の『トムソーヤーの冒険』と『南の島のフローネ』(世代が…懐かしい～)。この二つに大人っぽいユーモアのエッセンスを混ぜ混ぜしたらこんなのが出来ちゃいました！という雰囲気かなと思い至りました。

　ここには深刻な憂鬱感のかけらも無く、幸福観が溢れ出ていて純粋、素直に楽しい。
　珍事件、トラブルが起こるのですがなんともカラッとしたポジティブな描写で私を楽しませてくれました。

　ジェリーの大好きな虫とけもの。ワンちゃんたちや、鳥さん、虫たちが生き生きと騒動を巻き起こします(笑)。個人的にはサソリさんと鳥さんの活躍!?が一番楽しかった。

　どうやって生計が成り立っているのか、家族たちは普段主に何を義務に生活しているのか、などという突っ込みどころはありますが、そんなことはこの作品には野暮かなっ(笑)。

　幼い頃、アニメ世界名作劇場シリーズをニヤニヤ楽しんで観ていたころの童心に浸れて良い意味でノスタルジックに時を越えてニヤついちゃった。

　この本を私に紹介して下さったあかつきさん、どうもありがとうございました。

　幸福を描いたような読書体験、楽しかったーっ！

　おしまい。