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かもめ通信
レビュアー:
「計算ならできるわ。どうしてもっと数学の勉強が必要なの?」王女の問いに「女王になったら会計簿を見たくなるんじゃない?それに数学を応用すればね…」と、マギーが手始めに教えたのはなんと暗号解読法だった?!
アメリカ育ちのイギリス人女性マーガレット・ホープが主人公のこのシリーズ。
前作ではチャーチル首相の秘書として
主にタイピングの仕事(?)に“打ち込んでいた”マギーだが、
物語の終わりにその度胸と頭脳と熱意を買われて、
英国諜報部MI-5の工作員に抜擢された。

というわけで、シリーズ2作目となる本作は、
意気揚々とスパイ養成キャンプに参加したマギーが
頭脳をつかう「学科」は抜群でも
並外れた体力が必要とされる「実技」では落第点をつけられ、
養成講座から放り出されてしまう顛末から幕があがる。

意気消沈するマギーに新たに下った任務は
王位継承権第一のエリザベス王女の家庭教師になることだった?!

家庭教師は表向き、本来の任務は
ナチスドイツが誘拐のターゲットにしているらしい王女の警護のためだと言われ、
不本意ながらも王女が暮らすウィンザー城に出向くと
その翌日には王女たちと乗馬をしていた若い女官が殺される?!
どうやらマギーまたまた陰謀の真っ只中に首を突っ込んでしまったらしいのだ。

城に暮らす古株達とあちこち衝突しながらも、王女様方からは信任も得、
着実に任務をこなしているかにみえたマギーだったが、
その一方で、
恋人の乗った爆撃機はドイツ上空で撃ち落とされ、その生死は不明。
ようやく再会した父との関係はあいかわらずぎくしゃく。
おまけにその父に二重スパイの疑惑も?!
と、終始心中穏やかではいられない。

戦場から帰還した負傷兵もいれば、
王家と官邸の微妙な関係もあり、
長年英国に暮らしていてもドイツ人だと言うだけで疑われ拘束される人々もいる。

ところどころに史実や社会風刺を織り交ぜながら語られる冒険譚は
男社会の中にあって、自信とプライドを武器に
肩肘張って頑張るマギーのその“強気”ぶりに少々辟易させえられながらも、
1作目に比べれば背景描写の分量が少ないことと、
けなげで賢いエリザベス王女の魅力に助けられ、スピードに乗って一気読み。

そうして迎えた大団円……

といいたいところではあるけれど、そこはそれ戦時中、
単なるハッピーエンドでは終らない。
マギーに新たに課せられることになりそうな任務の重さに思わずたじろぐ。

おまけにマギーにまつわるの秘密ときたら!!

いやいやこれはもう、続きを読まずにはいられないでしょっ!!


<シリーズ既刊レビュー>
●シリーズ第1作 『チャーチル閣下の秘書』
●シリーズ第3作『国王陛下の新人スパイ』

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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2229 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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