葡萄園の骨〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

イタリア・トスカーナ地方の山中で、二体の白骨化した遺体が見つかった。その場所は１１ヶ月前に失踪した〈ヴィラ・アンティカ・ワイナリー〉の創始者が所有する山小屋に近く、遺体は失踪した夫妻のものと確認された。

崖から落ちた形状から、夫が妻を殺してから自ら自殺したものと判断された。捜査に当たることになったフィレンツェ地区憲兵隊の少尉ロッコ・ガルデッラは、ちょうどフィレンツェで開催されている国際科学捜査シンポジウムに講演者として参加していたアメリカ人ギデオン・オリヴァーに骨の鑑定をしてもらうことにした。

ギデオン・オリヴァーは、骨の形状からその人がどのように死んだかを鑑定する。その正確な鑑定ゆえに、スケルトン探偵の異名をとる世界的に有名な法化学者だ。
そして、ギデオンがまだ現場に残されていた女性の骨から導き出した事実は、捜査官たちの推理とは全く異なるものだった。

息子たちがいる葡萄園から遠く離れた山の中で起こったこと。骨からこれほどのことが分かるなんて、と驚きの連続だった。