紅い芥子粒さん
レビュアー:
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子どものころは美少年、青年になれば美青年。だまっていても女性が寄ってくる。だれに対しても、ふわっとやさしい……
”なりひら”というのは、伊勢物語の業平です。そう、在原業平。
在原業平は、天長二年(825)、父は親王、母は内親王という高貴な家系に生まれました。父は帝の一ノ宮ですから、帝になっていてもおかしくはなかった。もし、父が帝になっていれば、業平だって帝になっていた可能性はある。
しかし、いろいろあって、父は政変の当事者として流罪になり、その子である業平たちは、臣籍降下。賜ったのが、在原姓でした。
幼少のころからどろどろの権力抗争をみてきたせいか、業平は、ニヒリスト。
貴族だし、生活に困るわけじゃなし、上昇志向はなく、ふわっと生きていればそれでいいやというタイプ。
そんな在原業平を、作者は、”なりひら”くんとよびます。
というわけで、この小説の主人公は、”なりひら”。
もとになっているのは『伊勢物語』。
古典の難解さや堅苦しさはまったくない。軽妙で愉快なおはなしに仕上がっています。
子どものころから美少年で、青年になれば美青年で、黙っていても女性が寄ってくる。でも、おんなを冷たくあしらったり、非情に捨てたりはしない。だれにでも、ふわっとやさしい。あの光源氏と似ていますね。死ぬまで参議にもなれなくて、下級貴族のままだったのが、光る君とちがうところ。
一生一度の本気の恋の相手は、帝のお妃候補の高子でした。
一目ぼれしたとき、高子は8歳、なりひら17歳。生涯忘れられない女性となるのでした。
在原業平といえば、歌人として後世に名を残した人です。
作者は、なりひらくんの詠んだ歌を、平易な現代語訳とともに、紹介してくれます。
ちなみに在原業平は、こんな歌を詠んでいます。
・ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは
・世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
・から衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞ思ふ
他多数
在原業平は、天長二年(825)、父は親王、母は内親王という高貴な家系に生まれました。父は帝の一ノ宮ですから、帝になっていてもおかしくはなかった。もし、父が帝になっていれば、業平だって帝になっていた可能性はある。
しかし、いろいろあって、父は政変の当事者として流罪になり、その子である業平たちは、臣籍降下。賜ったのが、在原姓でした。
幼少のころからどろどろの権力抗争をみてきたせいか、業平は、ニヒリスト。
貴族だし、生活に困るわけじゃなし、上昇志向はなく、ふわっと生きていればそれでいいやというタイプ。
そんな在原業平を、作者は、”なりひら”くんとよびます。
というわけで、この小説の主人公は、”なりひら”。
もとになっているのは『伊勢物語』。
古典の難解さや堅苦しさはまったくない。軽妙で愉快なおはなしに仕上がっています。
子どものころから美少年で、青年になれば美青年で、黙っていても女性が寄ってくる。でも、おんなを冷たくあしらったり、非情に捨てたりはしない。だれにでも、ふわっとやさしい。あの光源氏と似ていますね。死ぬまで参議にもなれなくて、下級貴族のままだったのが、光る君とちがうところ。
一生一度の本気の恋の相手は、帝のお妃候補の高子でした。
一目ぼれしたとき、高子は8歳、なりひら17歳。生涯忘れられない女性となるのでした。
在原業平といえば、歌人として後世に名を残した人です。
作者は、なりひらくんの詠んだ歌を、平易な現代語訳とともに、紹介してくれます。
ちなみに在原業平は、こんな歌を詠んでいます。
・ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは
・世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
・から衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞ思ふ
他多数
掲載日:
書評掲載URL : http://blog.livedoor.jp/aotuka202
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読書は、登山のようなものだと思っています。読み終わるまでが上り、考えて感想や書評を書き終えるまでが下り。頂上からどんな景色が見られるか、ワクワクしながら読書という登山を楽しんでいます。
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- 出版社:PHP研究所
- ページ数:273
- ISBN:9784569779171
- 発売日:2010年05月07日
- 価格:1470円
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