風竜胆さん
レビュアー:
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山口弁ネイティブの風竜胆による、初の山口弁でのレビューです。
牧野信一の「I Am Not A Poet, But I Am A Poet.」。タイトルが横文字じゃからちゅうて、別に英語で書かれちょるんじゃあないいね。みな、日本語じゃけぇね。
海を見ながら、二人の人物が話りよるんよ。おおかた、片方が作者で、もう片方がその知り合いじゃろうか。その知り合いの方が、あんた文科に通うちょるんじゃから、歌や詩が上手じゃろう。海を眺めながら、歌をつくりあおうちゅうんよ。まず知り合いの方が歌を作って、今度はあんたの番じゃあちゅうんじゃけど、作者の方は、どうにも詩になりそうな気持ちを書き表すことができんみたいなんよ。
<「最後のものを歌ひ度い。」――美しい、と思つた瞬間、悲しいと思つた瞬間、それは俺にとつて「最後のものだ。」それが書ければ文句はないのだが……俺は常にその刹那に出遇つた時、ふとある空虚を感ずる、何といふ悲惨なことだらう……悲しい、と感じた瞬間には、俺は、「余り悲しくない」と思つてしまふ>
なかなかこの作者、複雑な人みたいじゃねぇ。
そんなら、その知人の方が、「貴方は芸術家にならむがために文科へ通つてゐらつしやるのでせう。」とか「貴方は詩人じやないのですね。」と作者を責めるんいね。しまいに言うことにゃあ、「私は貴方のやうな非芸術的な――似非詩人とは絶交します。」と言って去って行くんじゃからたまげるいね。じゃけど、こんな勝手で独りよがりな奴、その辺ぎょうさんおるじゃろうね。表題に、”But I Am A Poet.”とあるのは、詩人の心は、あんたなんかにゃあ分からんということじゃろうか。一種の開き直りみたいじゃけど。
※別に、牧野信一とは関係ないのですが、お遊びで、山口弁のレビューを書いてみました。
海を見ながら、二人の人物が話りよるんよ。おおかた、片方が作者で、もう片方がその知り合いじゃろうか。その知り合いの方が、あんた文科に通うちょるんじゃから、歌や詩が上手じゃろう。海を眺めながら、歌をつくりあおうちゅうんよ。まず知り合いの方が歌を作って、今度はあんたの番じゃあちゅうんじゃけど、作者の方は、どうにも詩になりそうな気持ちを書き表すことができんみたいなんよ。
<「最後のものを歌ひ度い。」――美しい、と思つた瞬間、悲しいと思つた瞬間、それは俺にとつて「最後のものだ。」それが書ければ文句はないのだが……俺は常にその刹那に出遇つた時、ふとある空虚を感ずる、何といふ悲惨なことだらう……悲しい、と感じた瞬間には、俺は、「余り悲しくない」と思つてしまふ>
なかなかこの作者、複雑な人みたいじゃねぇ。
そんなら、その知人の方が、「貴方は芸術家にならむがために文科へ通つてゐらつしやるのでせう。」とか「貴方は詩人じやないのですね。」と作者を責めるんいね。しまいに言うことにゃあ、「私は貴方のやうな非芸術的な――似非詩人とは絶交します。」と言って去って行くんじゃからたまげるいね。じゃけど、こんな勝手で独りよがりな奴、その辺ぎょうさんおるじゃろうね。表題に、”But I Am A Poet.”とあるのは、詩人の心は、あんたなんかにゃあ分からんということじゃろうか。一種の開き直りみたいじゃけど。
※別に、牧野信一とは関係ないのですが、お遊びで、山口弁のレビューを書いてみました。
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昨年は2月に腎盂炎、6月に全身発疹と散々な1年でした。幸いどちらも、現在は完治しておりますが、皆様も健康にはお気をつけください。
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この書評へのコメント
- 風竜胆2014-01-04 14:23
ホンノワに「お国言葉で書く書評」をテーマとして登録しました。我と思わん方は、ぜひチャレンジしてみてください。http://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no170/index.html?latest=20
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- 出版社:
- ページ数:4
- ISBN:B009NK8SJS
- 発売日:2012年10月07日
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