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ぽんきち
レビュアー:
動物園と動物病院の両方を知る獣医さんならではの「本当にあった」事件簿
こちらで教えたいただいた本。

原案の北澤功さんは動物病院の院長だが、動物園で働いたこともある。その経験談を漫画家のユカクマさんがコミック仕立てにした「コミックエッセイ」である。
軽い読み物かと思うと、活字の量も多いし中身も濃くて読み応えがある。

「爆笑」とあるとおり、概ね笑える話なのだが、笑った後にふーんなるほどと感心したり、そうなのかと考えさせられたり、ほろりとしたり。
人間と動物との「常識」の違い、心が通じ合ったと思わせる出来事、生態系の奥行きを感じる話など。

帯に”「人に話したくなる」ストーリー”とあるが、なるほど、印象的なエピソードが多い。
身近な話で役に立つものとしては、犬が咄嗟に噛んだときの対処法。何かに驚いたり、痛いところに触ったりして飼い犬に噛まれてしまったら、まず噛まれた人が落ち着いて冷静に話しかけること。そして噛まれた手などを引っ張るのではなく、逆に押す。こうすると歯の向きが逆になり、喉も苦しくなるため犬は口を開く。噛まれないに越したことはないが、噛まれたら試す価値はありそうだ。
動物園の動物の場合、大型の肉食動物に噛まれたら一大事なのはもちろんだが、意外に侮れないのがシマウマ。上下の歯が揃っていて、しかも草を噛み切ることができるわけだから力も強い。警戒心が強く、麻酔もなかなか効かないので、治療をするときは大変なのだそうだ。
オランウータンとチンパンジーとゴリラはいずれも類人猿だが、それぞれにタイプが異なり、単独行動を好むもの、好奇心が強いもの、穏やかなものとかなりの違いがある。飼育員さんの側でも好みや相性が分かれるようである。
カエルツボカビ病やペンギン会議など生態系に関わる話が織り込まれているのも、読者の視野を広げてくれる。

読み応えがあるものにしている1つの理由は、北澤さんが動物園と動物病院の両方を知っていることだろう。ペット動物だけでなく、猛獣や珍獣、多様な動物が登場する。
そして日々がっつり動物に向き合い、身近にじっくりと観察をした蓄積の厚み。困った事態が起これば、事例の少ない種の動物であっても、とにかく対処しなければならないという切迫感。
動物好きの人には楽しく読める1冊だと思う。
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ぽんきち
ぽんきち さん本が好き!免許皆伝(書評数:1828 件)

分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。

本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。

あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。

「実感」を求めて読書しているように思います。

赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw

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