かもめ通信さん
レビュアー:
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表紙の装丁にあしらわれたキングサリって、我が家の庭にも植わっている藤に似たきれいな黄色い花が咲く植物なのだけれど、実はこれ有毒植物なんだよね。確かにこれ、耽美的なこの物語によく似合っている。
昨秋読んだ『戦場のコックたち』がとても面白かったので
今度は同じ著者のデビュー作を収録した短篇集を読んでみた。
表題作「オーブランの少女」は、
2010年度に行われた「第7回ミステリーズ!新人賞」で佳作を受賞した作品。
美しい庭園を舞台にした物語が醸し出す耽美な雰囲気は
萩尾望都や皆川博子を連想させる。
続く「仮面」は異国の時代物ミステリ
「大雨とトマト」は現代日本を舞台にした短篇で
「片想い」は女学生達のヒミツを描いた物語
ラストを飾る「水の皇国」は異国の昔話風の構成だ。
受賞から単行本を出すまで3年ほどかかっているようなので
完成までじっくり取り組んだのだとはおもうのだが
これが著者の初単著だと考えると、
いやはや全くそろいもそろって驚くほどのハイレベル。
これで新人?かなりの大型ということか?
それぞれの短編は時代背景も舞台となる土地も異なっていて、
それぞれ醸し出す雰囲気も違っているのだが
いずれの作品でも少女が重要な役割を担っている。
人目を引かずにはいられないほど美しい少女もいれば
容姿にコンプレックスをもった少女もいるが
共通しているのは物語そのものが
ちょっと妖しげな美しさと
ミステリアスかつブラックな側面を持ち合わせるということ。
決してさわやかな物語ではないにもかかわらず
後味は悪くない
ところどころにそこはかとなく漂う百合の香りにも注目。
『戦場のコックたち』とは全く違ったテイストながら、
期待を裏切ることのない1冊だった。
ここまできたらもう、次作を首を長くして待つしかない!
今度は同じ著者のデビュー作を収録した短篇集を読んでみた。
表題作「オーブランの少女」は、
2010年度に行われた「第7回ミステリーズ!新人賞」で佳作を受賞した作品。
美しい庭園を舞台にした物語が醸し出す耽美な雰囲気は
萩尾望都や皆川博子を連想させる。
続く「仮面」は異国の時代物ミステリ
「大雨とトマト」は現代日本を舞台にした短篇で
「片想い」は女学生達のヒミツを描いた物語
ラストを飾る「水の皇国」は異国の昔話風の構成だ。
受賞から単行本を出すまで3年ほどかかっているようなので
完成までじっくり取り組んだのだとはおもうのだが
これが著者の初単著だと考えると、
いやはや全くそろいもそろって驚くほどのハイレベル。
これで新人?かなりの大型ということか?
それぞれの短編は時代背景も舞台となる土地も異なっていて、
それぞれ醸し出す雰囲気も違っているのだが
いずれの作品でも少女が重要な役割を担っている。
人目を引かずにはいられないほど美しい少女もいれば
容姿にコンプレックスをもった少女もいるが
共通しているのは物語そのものが
ちょっと妖しげな美しさと
ミステリアスかつブラックな側面を持ち合わせるということ。
決してさわやかな物語ではないにもかかわらず
後味は悪くない
ところどころにそこはかとなく漂う百合の香りにも注目。
『戦場のコックたち』とは全く違ったテイストながら、
期待を裏切ることのない1冊だった。
ここまできたらもう、次作を首を長くして待つしかない!
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:272
- ISBN:9784488017781
- 発売日:2013年10月22日
- 価格:1575円
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