はるほんさん
レビュアー:
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文豪たちの楽屋オチ。これぞ文学。
書店員で漫画家という実話ネタを書いた
暴れん坊本屋さんが非常に面白く、他にも本ネタ漫画を読んだ。
本書はまだ未読だったので購入。
名前からすると「文豪作品入門書」っぽいが、
どちらかというと文豪の楽屋オチ的な視点なので
作品よりも作家を知っていた方が面白い。
だが太宰・漱石・中也・志賀・芥川・中島敦…と
教科書でも鉄板の作家たちなので、馴染み深い。
太宰の「桜桃忌」参加レポに、
漱石の「坊ちゃん」がもしSNSをやってたらという妄想。
中也は「ホントは黒目がち美青年じゃなかった」暴露に
文豪作品をゲームにしたらどうなるか、
はたまた文豪が「桃太郎」を書いたらどうなるか…、などなど。
※芥川・尾崎・百聞の桃太郎は実際にある 【参考】芥川の桃太郎
現在ちまちま読みすすめてるので、三島や谷崎もオモロイのだが
川端康成「雪国」へのツッコミが秀逸だった。
「 * が 邪 魔 。 」
いわずもがな、脚注としてついている「*」マークのことである。
そうそう、冒頭のトンネル抜けたとこで既についてるもんな!(爆)
あと梶井基次郎が「檸檬ていうよりバナナ向きの顔」ってのに、思わず噴飯。
み、みんなが敢えて口をつぐんでいたことを…!
番子さん勇者かよ。
いや、コレは上手い。
これこそ文豪作品の面白さと思う。
自分は昔からそれなりに文豪作品は読んだが、
あくまで教科書の延長上だった。
が、大人になってから読み返して、その印象が変わった。
作品の中に、作家が居座っているのだ。
無視しようとしても、作家の存在が濃すぎてスルーできない。
そうして作家の来し方や人となりを調べてみると
それが面白いほど作品に重なる。
最近読んだおじさんはなぜ時代小説が好きかにもあったが、
大衆向けに小説を書くと言う意識が生まれるまで
文学というのは派閥・仲間同士で見せ合う内輪作品でもあった。
それだけに作品の独創性というのは「己自身」でもあり、
言わば「変な人」であるほど、名文豪だったのではないだろうか。
個人的主観だが、中でも「自虐ネタ」に長けたのが太宰であり、
己を出すことが不得手なヒッキーが芥川であり、
「完璧なオレ」を目指したのが三島であるように思うのだ。
漱石なんかは当時珍しく「小説とはこうあるべき」とでもいうような
セオリーを持っていた印象があるので、なかなか崩しにくいのだが。(笑)
ともあれ、どれもこれも「これがオレなんじゃああぁぁ!」という個性が丸出しなのだ。
ある意味、洗練された現代小説にはない化石だ。
大人になればなるほど、ツッコミどころが出てくる。
だからこそ、たまらなく面白い。
谷崎なんかは「己」と「大衆」を上手く融合させたからこそ、大御所なのだ。
文学って教科書のイメージがあってどうも…、という方には
まさに本書はオススメの一冊だ。
怖くない!怖くないよ!!
この人たち才能はあるけど、大人げない人たちばっかりだから!
三島なんか自分が好きすぎて、ヌード写真集だしてるからね!
……やっぱ怖いわ。
暴れん坊本屋さんが非常に面白く、他にも本ネタ漫画を読んだ。
本書はまだ未読だったので購入。
名前からすると「文豪作品入門書」っぽいが、
どちらかというと文豪の楽屋オチ的な視点なので
作品よりも作家を知っていた方が面白い。
だが太宰・漱石・中也・志賀・芥川・中島敦…と
教科書でも鉄板の作家たちなので、馴染み深い。
太宰の「桜桃忌」参加レポに、
漱石の「坊ちゃん」がもしSNSをやってたらという妄想。
中也は「ホントは黒目がち美青年じゃなかった」暴露に
文豪作品をゲームにしたらどうなるか、
はたまた文豪が「桃太郎」を書いたらどうなるか…、などなど。
※芥川・尾崎・百聞の桃太郎は実際にある 【参考】芥川の桃太郎
現在ちまちま読みすすめてるので、三島や谷崎もオモロイのだが
川端康成「雪国」へのツッコミが秀逸だった。
「 * が 邪 魔 。 」
いわずもがな、脚注としてついている「*」マークのことである。
そうそう、冒頭のトンネル抜けたとこで既についてるもんな!(爆)
あと梶井基次郎が「檸檬ていうよりバナナ向きの顔」ってのに、思わず噴飯。
み、みんなが敢えて口をつぐんでいたことを…!
番子さん勇者かよ。
いや、コレは上手い。
これこそ文豪作品の面白さと思う。
自分は昔からそれなりに文豪作品は読んだが、
あくまで教科書の延長上だった。
が、大人になってから読み返して、その印象が変わった。
作品の中に、作家が居座っているのだ。
無視しようとしても、作家の存在が濃すぎてスルーできない。
そうして作家の来し方や人となりを調べてみると
それが面白いほど作品に重なる。
最近読んだおじさんはなぜ時代小説が好きかにもあったが、
大衆向けに小説を書くと言う意識が生まれるまで
文学というのは派閥・仲間同士で見せ合う内輪作品でもあった。
それだけに作品の独創性というのは「己自身」でもあり、
言わば「変な人」であるほど、名文豪だったのではないだろうか。
個人的主観だが、中でも「自虐ネタ」に長けたのが太宰であり、
己を出すことが不得手なヒッキーが芥川であり、
「完璧なオレ」を目指したのが三島であるように思うのだ。
漱石なんかは当時珍しく「小説とはこうあるべき」とでもいうような
セオリーを持っていた印象があるので、なかなか崩しにくいのだが。(笑)
ともあれ、どれもこれも「これがオレなんじゃああぁぁ!」という個性が丸出しなのだ。
ある意味、洗練された現代小説にはない化石だ。
大人になればなるほど、ツッコミどころが出てくる。
だからこそ、たまらなく面白い。
谷崎なんかは「己」と「大衆」を上手く融合させたからこそ、大御所なのだ。
文学って教科書のイメージがあってどうも…、という方には
まさに本書はオススメの一冊だ。
怖くない!怖くないよ!!
この人たち才能はあるけど、大人げない人たちばっかりだから!
三島なんか自分が好きすぎて、ヌード写真集だしてるからね!
……やっぱ怖いわ。
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歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。
年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。
秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。
2018.8.21
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- 出版社:文藝春秋
- ページ数:159
- ISBN:9784163757506
- 発売日:2012年10月21日
- 価格:998円
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