星落秋風五丈原さん
レビュアー:
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文豪戦記 明治篇~禁じ手あり 目眩ましありの 筆バトル
「序 論争の人間味」は、まあ、置いといて、
「鴎外にだけは気をつけよ」「鴎外はじめて苦境に立つ」
「論理に勝って気合負け逍遥」「鴎外の追撃を断ち切った逍遥」
「樗牛が鴎外に罠を仕掛ける」「評論から手を引く羽目になった鴎外」
「対決を回避して遁走する鴎外」「樗牛が逍遥に噛まれて謝る」
「手練手管の度を越した樗牛の小細工」「樗牛が釈明の機を逸する」
「西洋思想史を居丈高に説教して空振り」など、
これは文学談義ではなく、何かの戦記か?と見紛うタイトルばかり。
では、必要なのは盾と矛?いえいえ、やはりインクとペン。
そして、やはりこれは、ひとつの戦。
なぜなら、文学史も歴史の一つ。歴史といえば勝者の記録しか残らない。敗者になれば、的外れのラベルを貼られ、しかも自らは訂正できない歴史の彼方まで貼られっぱなし。実際、高山樗牛の項目を辞書で引いてみたら、ニーチェ主義のラベルがついていた。勘違いした熱血親友さまさまなのだが、これじゃあ樗牛は浮かばれない。
そんな事態を避けるには、答えは一つ、勝てばいい。どんな手段を使っても。皮肉、挑発、困った時には論理のすり替え、開き直り。豊富な語彙を持つ表現・論理のプロが、自らの存続を賭けて戦う、
やはりこれは、ひとつの戦。
ただでは読まさぬ。苦労して読めと言わんばかりの文章だったが、読みかかった本を諦めるのは悔しいので、辞書を片手に何とか読むと、やっと作家の生の姿が見えてきた。読者と書物の格闘。そんな読書も、たまにある。
やはりそれも、ひとつの戦。
登場人物や登場書籍は、巻末に詳細な説明あり。いざと思わん勇者は、どうぞ。
2004年読売文学賞/研究・翻訳賞受賞作品。
「鴎外にだけは気をつけよ」「鴎外はじめて苦境に立つ」
「論理に勝って気合負け逍遥」「鴎外の追撃を断ち切った逍遥」
「樗牛が鴎外に罠を仕掛ける」「評論から手を引く羽目になった鴎外」
「対決を回避して遁走する鴎外」「樗牛が逍遥に噛まれて謝る」
「手練手管の度を越した樗牛の小細工」「樗牛が釈明の機を逸する」
「西洋思想史を居丈高に説教して空振り」など、
これは文学談義ではなく、何かの戦記か?と見紛うタイトルばかり。
では、必要なのは盾と矛?いえいえ、やはりインクとペン。
そして、やはりこれは、ひとつの戦。
なぜなら、文学史も歴史の一つ。歴史といえば勝者の記録しか残らない。敗者になれば、的外れのラベルを貼られ、しかも自らは訂正できない歴史の彼方まで貼られっぱなし。実際、高山樗牛の項目を辞書で引いてみたら、ニーチェ主義のラベルがついていた。勘違いした熱血親友さまさまなのだが、これじゃあ樗牛は浮かばれない。
そんな事態を避けるには、答えは一つ、勝てばいい。どんな手段を使っても。皮肉、挑発、困った時には論理のすり替え、開き直り。豊富な語彙を持つ表現・論理のプロが、自らの存続を賭けて戦う、
やはりこれは、ひとつの戦。
ただでは読まさぬ。苦労して読めと言わんばかりの文章だったが、読みかかった本を諦めるのは悔しいので、辞書を片手に何とか読むと、やっと作家の生の姿が見えてきた。読者と書物の格闘。そんな読書も、たまにある。
やはりそれも、ひとつの戦。
登場人物や登場書籍は、巻末に詳細な説明あり。いざと思わん勇者は、どうぞ。
2004年読売文学賞/研究・翻訳賞受賞作品。
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2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:316
- ISBN:9784103845041
- 発売日:2003年05月01日
- 価格:1995円
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