塩味ビッテンさん
レビュアー:
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都会育ちの青年が山奥の山村に放り込まれて樵として成長していく物語。美しい日本の自然と信仰を背景にお約束の挫折と周囲の人々による支え、そして恋話も絡めて上質の青春ストーリに仕上げています。 
 青年は甘えている。
青年は無礼である。
青年は無軌道である。
青年は感謝を知らない。
青年は自分が無知であることを知らない。
青年は自分が如何に生きていくべきなのかという目標を持たない。
こう言う、人になる前の猿状態である青年を鍛えて一人前の大人に育てていくという小説は一般に「成長譚」と呼ばれて小説界でも一ジャンルを形成していますが、その中でも「プロを育てる」ということに特化した、「青春トラの穴」とでも呼ぶべき一群の小説があり、押しなべて名作が多いのです。
ギャングを養成するギャングスター・レッスン―ヒートアイランド〈2〉、調律師を養成する羊と鋼の森、金庫破りを養成する解錠師、相場師を養成する波の上の魔術師などがそうですがどうやら怪しい商売やマニアックな仕事が多いような気がします。そんな中、本作は樵、杣人になるべく特訓を受ける現代若者の話です。
横浜育ちの主人公・平野勇気は、高校卒業後はバイトして暮らそうなんて考えていいた今時のチャラ男です。、両親と教師から強引に三重県の山奥・神去村に送り込まれ林業に従事するはめになりました。(このあたりって「天川伝説殺人事件」の近くじゃない?)
ケータイも通じない神去村を脱走しようとする勇気ですがあえなく失敗。嫌々ながらも、杣人修行を余儀なくされます。いわゆるタコ部屋とかマグロ漁船に送り込まれるのに煮たシュチュエーションですね。
その仕事は、東京ドーム約256個分もに及ぶ広大な山々を管理することで、木々の生い茂る山歩きや、命綱一本で数十メートルの木にぶら下がるといったキケンと隣り合わせなのです。最初はもちろん木登りもチェーンソーの操作も出来なかった勇気ですが、一緒に働くユニークで飾らない人たちのおかげで段々仕事に喜びと誇りを持ってくるのです。
背景にちりばめられた神去山の神々しさや四季の移ろい、ユニークな風習や祭、 山火事や神隠しといった事件を通して次第にこの村が好きになっていきます。そしてお約束の村の娘とのほのかな恋心・・・
勇気は最初女の子がたくさんいる横浜に帰りたい気持ちが一杯だったのですが、ヨソモノ扱いから徐々に村人たちにも認められる存在になり、一年後にはこの村で生きる気持ちになっているのでした。
「青春トラの穴」小説にしてはハードボイルド要素を排除したほのぼのタッチであるのは非常にユニークです。続編があるようなので必読です。
青年は無礼である。
青年は無軌道である。
青年は感謝を知らない。
青年は自分が無知であることを知らない。
青年は自分が如何に生きていくべきなのかという目標を持たない。
こう言う、人になる前の猿状態である青年を鍛えて一人前の大人に育てていくという小説は一般に「成長譚」と呼ばれて小説界でも一ジャンルを形成していますが、その中でも「プロを育てる」ということに特化した、「青春トラの穴」とでも呼ぶべき一群の小説があり、押しなべて名作が多いのです。
ギャングを養成するギャングスター・レッスン―ヒートアイランド〈2〉、調律師を養成する羊と鋼の森、金庫破りを養成する解錠師、相場師を養成する波の上の魔術師などがそうですがどうやら怪しい商売やマニアックな仕事が多いような気がします。そんな中、本作は樵、杣人になるべく特訓を受ける現代若者の話です。
横浜育ちの主人公・平野勇気は、高校卒業後はバイトして暮らそうなんて考えていいた今時のチャラ男です。、両親と教師から強引に三重県の山奥・神去村に送り込まれ林業に従事するはめになりました。(このあたりって「天川伝説殺人事件」の近くじゃない?)
ケータイも通じない神去村を脱走しようとする勇気ですがあえなく失敗。嫌々ながらも、杣人修行を余儀なくされます。いわゆるタコ部屋とかマグロ漁船に送り込まれるのに煮たシュチュエーションですね。
その仕事は、東京ドーム約256個分もに及ぶ広大な山々を管理することで、木々の生い茂る山歩きや、命綱一本で数十メートルの木にぶら下がるといったキケンと隣り合わせなのです。最初はもちろん木登りもチェーンソーの操作も出来なかった勇気ですが、一緒に働くユニークで飾らない人たちのおかげで段々仕事に喜びと誇りを持ってくるのです。
背景にちりばめられた神去山の神々しさや四季の移ろい、ユニークな風習や祭、 山火事や神隠しといった事件を通して次第にこの村が好きになっていきます。そしてお約束の村の娘とのほのかな恋心・・・
勇気は最初女の子がたくさんいる横浜に帰りたい気持ちが一杯だったのですが、ヨソモノ扱いから徐々に村人たちにも認められる存在になり、一年後にはこの村で生きる気持ちになっているのでした。
「青春トラの穴」小説にしてはハードボイルド要素を排除したほのぼのタッチであるのは非常にユニークです。続編があるようなので必読です。
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「本を褒めるときは大きな声で、貶すときはもっと大きな声で!!」を金科玉条とした塩味レビューがモットーでございます。
この書評へのコメント
 2019-09-13 13:06 2019-09-13 13:06- (コメントは消去されました。) クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。
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- 出版社:徳間書店
- ページ数:355
- ISBN:9784198936044
- 発売日:2012年09月07日
- 価格:650円
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