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はるほん
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マジメな本です(キリッ)電車では読めないけど
ロボッチイヌから知りたくなったラブドールの歴史。
閉架本の上、図書館のおねーさんが間違えて何か高尚な本を持って来て
「ソレじゃないです」と言ったら他の図書館員さんにまで探される羞恥プレイに。

イヤでも面白かった。
古くは「ダッチワイフ」と呼ばれる雑極まりないビニール人形から
60万もする精巧シリコン人形に至るまでの歴史が書かれている。
造形モノに関心がある自分としては、結構カンシンしながら読んだ。
事実、技術と市場に重点を置いたマジメな本だ。
ただし写真があるので、電車では読まれないことをオススメ。

「ダッチワイフ」という語源、そもそもは長い航海を強いられる水夫の
「航海の妻」として考案されたとか、ヒトラーに親衛隊用の安全かつ精巧な
「ダッチワイフ製造計画」があったなど、歴史ネタも興味深い。
ロボッチ…で触れた「南極1号」についても
当時週刊誌に書かれたというから、確かに話題になったらしい。

なるほど、獅子文六のネタ元はこの辺か。
まあでも「南極妻処女で帰る」なんて見出しあったら、
いまでもツイッターあたりでHOTワードになるわな。(笑)

しかし何より自分の興味をひいたのは、
ドールたちの「人形っぽさ」と「リアルさ」の配合だ。
個人意見だが、「リアル」は均等でないところに出るモノと思っている。
いわばちょっとブサイクだからこそ、「人間みたく」見えるのだと。

肌の色がまだらであったり、凹凸があったり、
簡単に言えば毛穴や産毛、シワやくすみがある人形は多分
キモチワルイくらいに人間に近くなるハズだ。
そういう意味では、彼女達は美し過ぎる。
「リアル」でありながら、需要はあくまで「人形っぽさ」なのだ。

このドール製造元にもいろいろあり、ひたすら高級品を目指すトコロやら
「ほどほど」で止めとくトコロもある。
その製造元が「思い入れが強くなり過ぎるものは、ウチでは作らない」
と言っていたのも面白い。
「思い入れ」を伴う人形──、それはもはや性でない需要を兼ねていると言える。

ドール達に服を着せ、化粧を施し写真を撮るユーザーたち。
綺麗なドールたちの肌に本来不要だが、
わざと技巧することで、それは「本物」っぽくなる。
自分もミニチュア作りを趣味にしているから、ちょっと分かる。
「まるで人間のような人形」もしくは「まるで人形のような人間」という
作り物にしか出せないリアルがあるのだ。

まあ元々の目的を考えれば、少々奇異な趣味である前提だが、
事実、ここまでの人形となると手入れがハンパなく大変。
時々風呂にまでいれなくてはならないのだ。
(関節が固いため、たまにキックを喰らうという証言に吹き出す)
マメでない人間にはとてもお世話できない。

目的は何であれ、行きつくトコまで行こうという
日本のヲタク精神に純粋に感心する。
おかげで自分もドールや球体関節人形、日本人形などの
メイキング動画をガッツリ見てしまった。(ヲタクだからさ)
いやー、人形もいいな!細部作るの楽しそう!

ただワタクシ、幼少の頃に枕もとで人形が踊って以来
(などと意味不明な供述で夜中に両親を叩き起こし)
完成した人形を部屋に置くのはどうも。
部品ならいいけど。

本はすごく面白かったのだが、このドール所有者さんたちは
夜中に起きてぎゃっと思うコトはないのだろうか…。
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はるほん
はるほん さん本が好き!1級(書評数:684 件)

歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。

年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。

秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。

2018.8.21

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この書評へのコメント

  1. Kurara2018-05-02 21:27

    はるほんさん♪
    またまたお邪魔しますよ。
    久々にこの本出たーーって感じでビックリ。しかも文六さんからの派生とは!
    この本と言えばはにぃさん。はにぃさーんと呼んでみたら来てくれるかしら(笑)

    というか、幼少の頃に枕もとで人形が踊って以来.....ってなになに?
    めちゃめちゃ楽しそうなんですけど~~ どういうこと?寝ぼけてたとか?

  2. はるほん2018-05-02 21:39

    >Kuraraさん
    はにぃさーん!おいでませーーー!(笑)
    かっ、関連図書なんだからねっ!とツンデレたいキモチでいっぱいでしたわ笑
    まあ面白かったからいいんだけど。

    子供の頃、夜中に両親の部屋に飛び込み、
    「人形が踊るうううう。゚(゚´Д`゚)゚。」と泣きついたらしく。
    以来部屋にあった日本人形とフランス人形の入ったケースを怖がり
    親戚の家に引き取ってもらいましたとさ。

    寝ぼけたんだろうけど、世の中には不思議なコトもあるしね!(薄笑)

  3. Kurara2018-05-02 21:45

    ケース入りのが踊るんかい!予想外でした(((( ゚д゚))))ガクガクブルブル
    わたしは枕元のぬいぐるみが喋ったという経験あり。←変な子と思われるから誰にも言えなかったという秘密の過去ww 
    まぁ、子供の時はいろいろ不思議体験するもんだよね←大雑把なまとめ

  4. はるほん2018-05-02 21:50

    >Kuraraさん
    そう言われるとケース内で踊ってたのか
    扉開けて出てきて踊ったのか、今ならどっちも吹き出すわ。

    …子供の反応じゃないと、不思議現象も出てくる甲斐がないわな 爆

  5. たけぞう2018-05-02 22:35

    >はるほんさん
    Honey王女ーーー!(どさくさに紛れて叫んでみた

    >「ソレじゃないです」と言ったら他の図書館員さんにまで探される羞恥プレイ///
    はるほんさん図書館で無双? もうなんでも借りられますね♪

  6. はるほん2018-05-02 23:01

    >多毛増さん
    ↑はにぃさんにならってこの字で
    いやいやまだこの程度では、歴代のツワモノ方には敵いませぬわ…。(`・ω・´)
    図書館ってなんでも借りられて便利ー!って思ってたけど
    そうか、こーゆー難関もあったのねぃ…。

  7. はにぃ2018-05-07 23:42

    はぁい!大きな声で呼んでくださりありがとうございます。
    Kuraraさん♪、多毛増さま、はるほん先生、ご無沙汰しております。
    きっと、お人形さんが呼んでくれたのですね。
    知らない世界の面白い本でした。
    私は、ご主人様たちに興味津々でした。

    最近は読む本の傾向が変わり、こういった本からは遠ざかっています。
    (「高慢と偏見」「アンナ・カレーニナ」と立て続けに読み、セレブの恋愛模様から離れたくなり、今は「素顔の西郷隆盛」を読んでいます。なんか私らしくないでしょ(^-^;)

    また機会がありましたら、顔出させていただきます。

    (Kuraraさんのために懐かしの表紙を添付します。彼は今どうしてるかな?)

  8. はるほん2018-05-08 06:29

    うひゃー!!はにぃさぁぁああん!!
    我らの愛が届きまして嬉しゅうござりますぞぉぉぉ!
    コメントありがとうございます!

    「…とゾンビ」のほうを読みたくて「高慢と偏見」は
    読みたくもなかなか手が出せてない憧れ本です。
    はにぃさんのお導きを読んで見たいものですねー。


    そのスゴ本(表紙?)も懐かしい…ww

  9. かもめ通信2018-05-08 07:31

    横レス失礼!王女様へ
    「高慢と偏見」「アンナ・カレーニナ」から「素顔の西郷隆盛」に飛んでいったはにぃ王女にはこちらの本をぜひに!とお薦めしたい。
    ズドン!ときますが、こういうズドン!は意外(?)とお好みではないかと…。

  10. Kurara2018-05-08 21:41

    はにぃさん♪
    うわーはにぃさんの登場だ!!(笑)
    呼んでみるものですね。お元気そうでなによりです(^-^)

    って、この写真、止めれ~(-"-)
    これではまるで私がファンみたいではないですか!w
    でも久しぶりにはにぃさんの堤下攻撃に爆笑しました。
    懐かしいなぁ~~(白目)

    ....ってことで、またふらりといらしてくださいね!
    (ただし写真は不要です。念押しw)

  11. No Image

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