レビュアー:
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哀切、人間の本性・・激しく虚しいトリュフォー映画の原作。
かなり昔、谷村新司が「ピアニストは撃たないで」という曲を歌っていた。耳慣れないフレーズが唐突に出て来たから、これは多分映画か舞台のタイトルかセリフにでもあるのかな・・と思ってそのままにしていた。やっと長い間の謎に踏み込んだ思い。不思議なもんです。
フィラデルフィア、ポート・リッチモンド地区にある場末の酒場、そこでピアノを弾いているエディのもとに、兄のターリーが転がり込む。ターリーは強面の男たちに追われていた。ターリーはエディに、なぜ正装をして、満席のコンサートホールにいない、と大声で問い、逃亡する。エディはターリーを助けようと思わず追手の2人組の邪魔をして、巻き込まれていくー。
エディは故郷のサウス・ジャージーで音楽の才能を見込まれ、苦労の末華々しくデビューしたクラシックピアニストだった。しかし妻をめぐるトラブルで落ちぶれ、酒場にたどり着いて、人生の目的もなく日々を過ごしていた。長兄クリフトンと次兄ターリーの2人は悪童が長じてヤバい商売に手を出していた。
酒場のハリエットとその夫で元プロレスラーのプライン、エディを助けるウェイトレスのレナ、どこか間抜けでかけ合いを繰り広げる追手のフェザーとモーリス、エディと同じ下宿の娼婦クラリスら、激しく闘うエディを取り巻く者たちもキャラが立ち、物語を盛り上げる。
グーディスは本国での評価はそれほどでもないが、フランスで大変な人気を博したそうだ。そのガラスのような心のうちと、家系的な暴力を好む本性、やさぐれてクールな他者との関係性を丁寧に描写している筆致には、何となく感じるものがある。虚無に近い哀愁、転落した英雄の再生、ハードなバイオンスはアメリカっぽい感じもするけども。
開拓時代、アメリカ西部の酒場には「どうかピアニストを撃たないでください」という貼り紙があったそうだ。もめごと、ケンカ、撃ち合いは日常茶飯事、ピアニストは貴重な人材で、いなくなると困ったわけです。原題「Down There」がフランスで翻訳刊行される時、このエピソードをひっくり返してシャレでつけられたタイトルだとか。トリュフォーは「大人はわかってくれない」に続く長編第2作として映画化したらしい。
このタイトルはなぜか刺さるものがある。大きなホールでピアノを弾いているところをスナイパーが狙っている場面を想像していたので物語はかなり違った。でも心に残るものがある作品だった。
映画も、いつか観ようかな。
フィラデルフィア、ポート・リッチモンド地区にある場末の酒場、そこでピアノを弾いているエディのもとに、兄のターリーが転がり込む。ターリーは強面の男たちに追われていた。ターリーはエディに、なぜ正装をして、満席のコンサートホールにいない、と大声で問い、逃亡する。エディはターリーを助けようと思わず追手の2人組の邪魔をして、巻き込まれていくー。
エディは故郷のサウス・ジャージーで音楽の才能を見込まれ、苦労の末華々しくデビューしたクラシックピアニストだった。しかし妻をめぐるトラブルで落ちぶれ、酒場にたどり着いて、人生の目的もなく日々を過ごしていた。長兄クリフトンと次兄ターリーの2人は悪童が長じてヤバい商売に手を出していた。
酒場のハリエットとその夫で元プロレスラーのプライン、エディを助けるウェイトレスのレナ、どこか間抜けでかけ合いを繰り広げる追手のフェザーとモーリス、エディと同じ下宿の娼婦クラリスら、激しく闘うエディを取り巻く者たちもキャラが立ち、物語を盛り上げる。
グーディスは本国での評価はそれほどでもないが、フランスで大変な人気を博したそうだ。そのガラスのような心のうちと、家系的な暴力を好む本性、やさぐれてクールな他者との関係性を丁寧に描写している筆致には、何となく感じるものがある。虚無に近い哀愁、転落した英雄の再生、ハードなバイオンスはアメリカっぽい感じもするけども。
開拓時代、アメリカ西部の酒場には「どうかピアニストを撃たないでください」という貼り紙があったそうだ。もめごと、ケンカ、撃ち合いは日常茶飯事、ピアニストは貴重な人材で、いなくなると困ったわけです。原題「Down There」がフランスで翻訳刊行される時、このエピソードをひっくり返してシャレでつけられたタイトルだとか。トリュフォーは「大人はわかってくれない」に続く長編第2作として映画化したらしい。
このタイトルはなぜか刺さるものがある。大きなホールでピアノを弾いているところをスナイパーが狙っている場面を想像していたので物語はかなり違った。でも心に残るものがある作品だった。
映画も、いつか観ようかな。
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読む本の傾向は、女子系だと言われたことがあります。シャーロッキアン、アヤツジスト、北村カオリスタ。シェイクスピア、川端康成、宮沢賢治に最近ちょっと泉鏡花。アート、クラシック、ミステリ、宇宙もの、神代・飛鳥奈良万葉・平安ときて源氏物語、スポーツもの、ちょいホラーを読みます。海外の名作をもう少し読むこと。いまの密かな目標です。
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- 出版社:早川書房
- ページ数:198
- ISBN:9784150017514
- 発売日:2004年05月11日
- 価格:1050円
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