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タカラ~ム
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大切な人を亡くしたときに、そっと寄り添ってくれるように、本はいつもそばにいる
はじめての海外文学vol.3に推薦されている本の中では、少し異色の作品かもしれない。

「さよならのあとで」は、亡くなった人を悼み、そして残された私たちが死者を忘れずに生きるための想いが込められた詩篇である。作者は、19世紀後半から20世紀初頭に生きたイギリスの神学者ヘンリー・スコット・ホランド。原詩にはタイトルはない。

死はなんでもないものです。(Death is nothing at all.)と、詩篇ははじまる。

死者は姿を消したけれど、それはたいしたことじゃないんだよと、詩篇は私たちに言う。

ただ悲しみにくれてばかりいないで、いままでのように話しかけてみてと、詩篇は私たちに言う。

いままでがそうであったように、これからも親しく名前を呼んでと、詩篇は私たちに言う。

短い詩篇の中には、ひとつひとつに私たちの心に染み入ってくる想いがある。それは、けっして押しつけがましくはなく、呼吸をするように自然に胸の内に入ってくる。そして、気持ちをすーっと落ち着かせてくれる。

この本は、夏葉社の島田さんが大好きだった従兄の突然の死をきっかけにして作られた。この本を作るために、島田さんは夏葉社をひとりで立ち上げた。従兄を失った悲しみにくれるなかで、この詩篇と出会い、この詩篇を本にすることで、従兄の死を受け止め、出来上がった本を、息子を亡くしたおじさんとおばさんに渡すことを生きることの意味とした。

人は誰でも大切な人を亡くす。人の命は永遠ではないし、その生命の糸はいつ切れてしまうかわからない。ある人は100歳を越えてなお矍鑠と人生を謳歌し大往生を遂げるかもしれない。ある人は事故や病気である日突然に命の糸が断ち切れてしまうかもしれない。

2017年11月26日に、国分寺にある胡桃堂喫茶店で「さよならのあとで」を題材に夏葉社の島田さんをゲストに招いたトークイベントが行われた。

その中で、島田さんが話したことが強く印象に残った。

「長く生きたから良い人生だったとか、若くして亡くなったから残念だったとか、本当にそうなのかと思う。従兄は若くして亡くなったけど、だからといってそれまでの人生が不幸だったわけではない。若くして亡くなった友人や後輩もそうだ。それまでの人生を彼らが一生懸命に生きたならそれでいいのではないか」

一言一句このとおりの発言ではないが、おおよその趣旨は伝わると思う。

「さよならのあとで」は、まさに島田さんが話したことに通じていると思う。死は確かに哀しいことだ。だけど、ただ不幸として受け止めるのではなく、ただ姿が消えただけで日常はいままでと同じく進んでいくのだと受け入れることが、残された人の努めなのだ。
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タカラ~ム
タカラ~ム さん本が好き!1級(書評数:930 件)

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