三太郎さん
レビュアー:
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山崎ナオコーラのお仕事小説はちょっと変わっています。
山崎ナオコーラが書いたお仕事小説と言えようか。でも一般にお仕事小説というのは、主人公が職場での逆境をはね退けて最後には大成功!というパターンが多いらしい。その手の小説は読んでいないのでらしいとしか言えないが。
でもナオコーラ氏の小説は予想通り全然そうではなかった。職場を描いた小説としては津村紀久子氏の小説に近い感じだが、それよりさらに脱力している。それに特定の主人公にフォーカスしていない。
表題の小説の舞台はテレビの番組表を作って新聞社へ配信する会社のあるチーム。メンバーは6名だが、半分以上が派遣社員と嘱託社員だ。一応主人公らしき広田は京都大学を卒業してから東京で派遣会社に入ったという変わり種。
定時は10時から18時だが、実際は午前様も普通。派遣社員の広田の給与は時給がほぼ最低賃金のうえ、残業代がでない。仕事は同僚の正社員と同じなのだが。今時ブラック企業にもほどがあるが、2009年当時は当たり前、もしかすると今でもそんな職場はありふれているかも(今、宝塚歌劇団の労働条件が話題になっていますが・・・)。
でもなぜか広田はそんな待遇に疑問を持たないかのよう。広田は少ない給与から新聞を3紙もとっているが、新聞の記事は信用しないという。そして当時はやっていた「2ちゃんねる」の掲示板の書き込みを熱心に読んでいる。今なら陰謀論者の一人だと思われそう。
大事件は何もおきない。広田が京都に住む父親と大喧嘩したり、大学で憧れていた2年先輩の女性に告白して失恋したりするけれど、何かが大きく変わることはない。何かが少し変わりそうな気配がしたところで小説はお仕舞い。
小ネタがちょっと楽しい。夏の甲子園野球の時期は天候などにより番組が大きく変わる。特に地方局の番組は地元のチームが勝ち進むと直前に差し替えになる。その年は宮城県のチームが決勝に進出し、決勝戦で負けてしまったという。まるで今年のことのようでした。
山崎氏の描く職場は労働条件はブラックだがセクハラもパワハラも起きない。一見働きやすそうだが、こんな働き方で本当にいいの、という疑問が自然に湧いてくるという小説でした。
でもナオコーラ氏の小説は予想通り全然そうではなかった。職場を描いた小説としては津村紀久子氏の小説に近い感じだが、それよりさらに脱力している。それに特定の主人公にフォーカスしていない。
表題の小説の舞台はテレビの番組表を作って新聞社へ配信する会社のあるチーム。メンバーは6名だが、半分以上が派遣社員と嘱託社員だ。一応主人公らしき広田は京都大学を卒業してから東京で派遣会社に入ったという変わり種。
定時は10時から18時だが、実際は午前様も普通。派遣社員の広田の給与は時給がほぼ最低賃金のうえ、残業代がでない。仕事は同僚の正社員と同じなのだが。今時ブラック企業にもほどがあるが、2009年当時は当たり前、もしかすると今でもそんな職場はありふれているかも(今、宝塚歌劇団の労働条件が話題になっていますが・・・)。
でもなぜか広田はそんな待遇に疑問を持たないかのよう。広田は少ない給与から新聞を3紙もとっているが、新聞の記事は信用しないという。そして当時はやっていた「2ちゃんねる」の掲示板の書き込みを熱心に読んでいる。今なら陰謀論者の一人だと思われそう。
大事件は何もおきない。広田が京都に住む父親と大喧嘩したり、大学で憧れていた2年先輩の女性に告白して失恋したりするけれど、何かが大きく変わることはない。何かが少し変わりそうな気配がしたところで小説はお仕舞い。
小ネタがちょっと楽しい。夏の甲子園野球の時期は天候などにより番組が大きく変わる。特に地方局の番組は地元のチームが勝ち進むと直前に差し替えになる。その年は宮城県のチームが決勝に進出し、決勝戦で負けてしまったという。まるで今年のことのようでした。
山崎氏の描く職場は労働条件はブラックだがセクハラもパワハラも起きない。一見働きやすそうだが、こんな働き方で本当にいいの、という疑問が自然に湧いてくるという小説でした。
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1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。
長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。
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- 出版社:集英社
- ページ数:192
- ISBN:9784087467673
- 発売日:2011年11月18日
- 価格:450円
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