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知ることは感じることの半分も重要ではない・・・自然の美と命の煌めきへの賛歌。
著者のレイチェル・カーソンは海洋生物学者だった。まだ誰も地球の汚染や自然環境の破壊を深刻にとらえていない時代に、『沈黙の春』を書きあげ世に警鐘を鳴らした人である。本書は、レイチェルが56歳で亡くなった翌年に友人たちによって出版された遺作、たった60ページのエッセイ集だ。
短いながら、五感を刺激するような臨場感がある。たとえば雨に濡れた森の小道、窪地で風に揺れる花々、湾の向こうにゆっくりと沈んでゆく月。夜明けの小鳥のコーラスが聞こえ、お日様に温もった草の匂いが漂い、銀の炎に輝く海が見えてくる。
姪の死により、その息子を手元に引き取って育てたレイチェル。この本には、幼いロジャーと共に自然と触れあった日々の追憶と、彼女が生涯忘れなかった自然への畏敬の念が綴られている。タイトルの「センス・オブ・ワンダー」とは、この世の不思議さに驚く感性のことだ。「知る」ことより「感じる」ことが重要だと彼女は言う。知恵や知識の実は、豊かな情緒や感受性という土壌あってこそ熟してゆく。
音、匂い、目に映るものをまっすぐに受け止め、その美に感動する心がなければ、地球の環境を守ろうとする気持ちは生まれてこないのだろう。レイチェルの「遺書」を読み終えると、無性に海や空を眺めたくなる。生きとし生けるものたちの命で脈打つこの星の鼓動を感じに、外へ飛び出したくなる。
☆掲示板企画「復活!課題図書倶楽部・2015」の”課題図書”の一冊、ご紹介がてらの書評です。レビュアーの皆様のご参加をお待ちしています。 ~主催者より(^^)~
短いながら、五感を刺激するような臨場感がある。たとえば雨に濡れた森の小道、窪地で風に揺れる花々、湾の向こうにゆっくりと沈んでゆく月。夜明けの小鳥のコーラスが聞こえ、お日様に温もった草の匂いが漂い、銀の炎に輝く海が見えてくる。
姪の死により、その息子を手元に引き取って育てたレイチェル。この本には、幼いロジャーと共に自然と触れあった日々の追憶と、彼女が生涯忘れなかった自然への畏敬の念が綴られている。タイトルの「センス・オブ・ワンダー」とは、この世の不思議さに驚く感性のことだ。「知る」ことより「感じる」ことが重要だと彼女は言う。知恵や知識の実は、豊かな情緒や感受性という土壌あってこそ熟してゆく。
音、匂い、目に映るものをまっすぐに受け止め、その美に感動する心がなければ、地球の環境を守ろうとする気持ちは生まれてこないのだろう。レイチェルの「遺書」を読み終えると、無性に海や空を眺めたくなる。生きとし生けるものたちの命で脈打つこの星の鼓動を感じに、外へ飛び出したくなる。
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「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:60
- ISBN:9784105197025
- 発売日:1996年07月01日
- 価格:1470円
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