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たけぞう
レビュアー:
涙が止まらないです。
……映画を見てきました。クラウド・ファウンディングで映画化されると聞いて
ずっと楽しみにしていました。
こうの史代さんが大好きなので、作品をいろいろと集めています。
この世界の片隅にもわが家の大切な蔵書ですが、これまで書評にしていませんでした。

ちょっと大人っぽすぎる場面があるところと、章単位で木炭画風にしたり
セリフなしにしたりなど、実験的な部分が結構あるため、整理がついていない
感じがするので他人に薦めにくかったのです。
こうのさんらしいと言えばその通りなのですが。
大切な漫画家さんだけに、初めての人には「夕凪の街・桜の国」などの方が紹介しやすいのです。

映画化により実験的な部分が整理され、こうのさんの世界がとても分かりやすく
伝わってきました。最初の動き出しから、タッチの柔らかさにあふれていて、
漫画の世界がそのまま表現されていることが分かりました。
余計な演出はありません。原作にとても忠実な映画です。
見ていて何回泣いてしまったことか。

原作を読んでいなくても楽しめますが、先にこの本を読んでから映画を見る
ほうがいいですね。俗にいうネタバレは、この作品では何の影響もありません。
むしろ何が起こるか知っているからこそ、心を激しく揺さぶられてしまうのです。
それはきっと、この物語に真の強さがあるということなのでしょう。

すずは広島の子です。
ぼーっとしていて、何が起きても動じなく、絵を描くことが好きなゆるやかな人です。
ある日、すずの家にお嫁に来ないかと訪ねてきた人がいました。
すずはその人のことを覚えていませんでしたが、ふわりと受け入れて呉での生活が
始まります。日本が第二次世界大戦へと突き進んでいくときのことでした。

一家の暮らしも、戦況悪化によりどんどん貧しくなりますが、すずはすべて受け入れて
できる中で切り盛りしていきます。
ただ一つ。戦争の暴力と理不尽さだけは、許すことはありませんでした。

すずの心のあり方に感動し、涙し、こちらの心もふわりと包まれていく
時間でした。泣きます。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

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この書評へのコメント

  1. たけぞう2017-01-30 22:32

    うちの近所の映画館では、先週までしか予定が入っていなかったので終わりだと思ったのですが、今日確認したら今週末までに伸びています。ひょっとして、最近の映画館は予定を一週間単位にして、お客の入りで決めているとか? TOHOシネマズ系のようですが、映画フィルムのデジタル化になっていろいろ変わったのですかね。
    皆さんのご近所も、予定を確認するといいことがあるかもしれませんよ。

  2. No Image

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