レビュアー:
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1899年の夏、少女は科学者になりたいと強く願っている自分を発見した。
この夏のテキサスは、ものすごい暑さだ。みんなが日の当たるところに出るのは、すばやく次の日陰に移動する時だけ。なんで新聞社は日陰の気温を報じないのかしら?通りの真ん中で測定した気温より、よっぽど役に立つと思う。苦労して書いた手紙を<投書欄>に送ったら、日陰の温度も載るようになった。家族は私よりもっと驚いた。キャルパーニア・ヴァージニア・テイトはもうすぐ12歳、彼女はその夏に「共同研究者」として、とある発見に貢献する。
父は大きな農場と綿の製造工場を経営しており、テイト家は地元の名士である。キャルパーニアを真ん中に兄と弟が3人ずつ、家業を息子に譲り博物学の研究に勤しむ祖父がいて、母は料理人とメイドを上手に使って大家族の生活を切り盛りしている。1899年の夏から1900年最初の朝まで、この一家の活気に溢れた暮らしぶりが、キャルパーニアの目を通して描かれてゆく。テキサスには南北戦争や黒人奴隷の記憶が生々しく残り、男性が稼ぎ女性は家庭を支えるという役割分担は常識である。でも、キャルパーニアは料理も手芸も嫌いなのだ。
彼女が好きなのは、動物や虫や鳥。キャルパーニアの「観察ノート」に目を留めたおじいちゃんは、彼女に観察と実験と考察の方法を教え始める。この交流の中で孫娘は、怖いと思っていたおじいちゃんが物知りで親切で心が優しいことを発見し、おじいちゃんは孫娘が自分の遺伝子を確かに受け継いでいることを発見する。品格と威厳はあるが世俗的なことに無頓着で、うっかり11歳の女の子に蒸留酒の味見をさせちゃうような、このおじいちゃんがとても素敵だ。
娘の幸せを心から願い、自分が叶えられなかった夢を娘に託す母がいる。そんな未来は暗黒の牢獄だと萎れる娘がいる。では、自分が本当に望むことはなんだろうと考えた時、キャルパーニアは自分の夢に気づく。夢と現実の狭間で苦しむ少女、愛情をもってそれを見守る人々、双方の心情に説得力がある。「どちらにせよ、道を選ぶのは自分なんだよ。」と語りかけてくるようだ。
「共同研究」の結末も、森の静寂と野生動物の澄んだ眼差しも、清々しい風を運んでくる。
父は大きな農場と綿の製造工場を経営しており、テイト家は地元の名士である。キャルパーニアを真ん中に兄と弟が3人ずつ、家業を息子に譲り博物学の研究に勤しむ祖父がいて、母は料理人とメイドを上手に使って大家族の生活を切り盛りしている。1899年の夏から1900年最初の朝まで、この一家の活気に溢れた暮らしぶりが、キャルパーニアの目を通して描かれてゆく。テキサスには南北戦争や黒人奴隷の記憶が生々しく残り、男性が稼ぎ女性は家庭を支えるという役割分担は常識である。でも、キャルパーニアは料理も手芸も嫌いなのだ。
彼女が好きなのは、動物や虫や鳥。キャルパーニアの「観察ノート」に目を留めたおじいちゃんは、彼女に観察と実験と考察の方法を教え始める。この交流の中で孫娘は、怖いと思っていたおじいちゃんが物知りで親切で心が優しいことを発見し、おじいちゃんは孫娘が自分の遺伝子を確かに受け継いでいることを発見する。品格と威厳はあるが世俗的なことに無頓着で、うっかり11歳の女の子に蒸留酒の味見をさせちゃうような、このおじいちゃんがとても素敵だ。
娘の幸せを心から願い、自分が叶えられなかった夢を娘に託す母がいる。そんな未来は暗黒の牢獄だと萎れる娘がいる。では、自分が本当に望むことはなんだろうと考えた時、キャルパーニアは自分の夢に気づく。夢と現実の狭間で苦しむ少女、愛情をもってそれを見守る人々、双方の心情に説得力がある。「どちらにせよ、道を選ぶのは自分なんだよ。」と語りかけてくるようだ。
「共同研究」の結末も、森の静寂と野生動物の澄んだ眼差しも、清々しい風を運んでくる。
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- 出版社:ほるぷ出版
- ページ数:412
- ISBN:9784593534746
- 発売日:2011年07月01日
- 価格:1575円
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