yukoさん
レビュアー:
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食べるって、生きること。そして人は皆誰かと共に生きている。それが一生ずっとではないにせよ、誰かと共に生き共に食べる、そんな食事の幸せな思い出が必ず誰しもあるはず。食べることの幸せを味わえる短編集です。
食べ物にまつわる7つの短編集。
「バーバのかき氷」は、認知症ですべてを忘れ、食べることを拒否するバーバのために、孫がバーバの食べたいものを手に入れてこようと奮闘する物語。
「親父のぶたばら飯」は、小汚いけれど本当においしい中華屋さんで、付き合って半年のカップルがおいしいごはんを食べたあとに・・・という物語。
「こーちゃんのおみそ汁」は、小学校に上がる頃に亡くなった母が、幼い自分に料理の手ほどきをして亡くなったことを、嫁ぐ日に娘が思いだす物語。
「いとしのハートコロリット」は、認知症でもう何もかも忘れつつある女性が、愛する夫と出会った店で、その時食べた食事と同じものを食べようとする物語。
「ポルクの晩餐」は、男の愛人がいる主人公が、パリで心中しようと、最後に美味しいものを食べようと、恋人と二人でそれはそれはおいしい食事をする物語。
「季節はずれのきりたんぽ」は、暑い季節に、亡くなった父親が大好きだったきりたんぽで四十九日をしようとする母娘の物語。
どれもこれもおいしい物語でしたが、
一番ぐっときたのは、やっぱり娘がいるので「こーちゃんのおみそ汁」かな。
『はなちゃんのみそ汁』という本がありましたね。映画化もされた。
そこでは娘が一人で生きていけるようにと、病に侵された母親が5歳の誕生日から娘に味噌汁を作らせるのですけど、
「こーちゃんのおみそ汁」は、実は嫉妬深いお母さんが、他の女性にみそ汁を作らせたくなかったから、娘であるこーちゃんに、お父さんのおみそ汁はこーちゃんが毎朝作ってあげてね、と頼んで亡くなるのです。
嫁ぐ時にやっとそのことに気がついたこーちゃん。
お母さんのかわいらしさに、くすっと笑ってしまいます。
もう一つ、ぐっときたのは「季節はずれのきりたんぽ」の中で、母と娘が、あっという間に病で亡くなった父を思いだして、
暑い中きりたんぽ鍋をする時に、母が言った言葉です。
「どうしてかしらね。失くしてしまってからじゃないと、大切なものの存在に気付けないの。だから由里ちゃんはさ、旦那さんを、しっかりと大事にしてあげてよ」
ちょうど今日、お彼岸で、私はおはぎを買ってきてお供えして、
夫はおはぎって好きだったっけ?と
まだ亡くなってたった2年半なのに、もう忘れてしまったことだらけ、思いだせないことだらけで、
全然大事にしてあげられなかったなぁと、物語を読んでしみじみしちゃいまして。
いえ、でも、
大事にしてもらった思い出はちゃんとありますよ。
とかなんとかそんなことを思いながらおはぎを頬張り、
食べることは生きること、おいしく今日もごはんが食べることができて幸せな一日だったと、
毎日そう思って一日を終わりたいなと思いました。
誰かと共にしたおいしい食事。
それが悲しい思い出であっても、楽しい思い出であっても、
思い出の食事というものが、誰にでもあるはず。
そんな思い出を大事に、おいしくごはんは食べたいですね。
そんな風に思える、ほっこりする短編集でした。
「バーバのかき氷」は、認知症ですべてを忘れ、食べることを拒否するバーバのために、孫がバーバの食べたいものを手に入れてこようと奮闘する物語。
「親父のぶたばら飯」は、小汚いけれど本当においしい中華屋さんで、付き合って半年のカップルがおいしいごはんを食べたあとに・・・という物語。
「こーちゃんのおみそ汁」は、小学校に上がる頃に亡くなった母が、幼い自分に料理の手ほどきをして亡くなったことを、嫁ぐ日に娘が思いだす物語。
「いとしのハートコロリット」は、認知症でもう何もかも忘れつつある女性が、愛する夫と出会った店で、その時食べた食事と同じものを食べようとする物語。
「ポルクの晩餐」は、男の愛人がいる主人公が、パリで心中しようと、最後に美味しいものを食べようと、恋人と二人でそれはそれはおいしい食事をする物語。
「季節はずれのきりたんぽ」は、暑い季節に、亡くなった父親が大好きだったきりたんぽで四十九日をしようとする母娘の物語。
どれもこれもおいしい物語でしたが、
一番ぐっときたのは、やっぱり娘がいるので「こーちゃんのおみそ汁」かな。
『はなちゃんのみそ汁』という本がありましたね。映画化もされた。
そこでは娘が一人で生きていけるようにと、病に侵された母親が5歳の誕生日から娘に味噌汁を作らせるのですけど、
「こーちゃんのおみそ汁」は、実は嫉妬深いお母さんが、他の女性にみそ汁を作らせたくなかったから、娘であるこーちゃんに、お父さんのおみそ汁はこーちゃんが毎朝作ってあげてね、と頼んで亡くなるのです。
嫁ぐ時にやっとそのことに気がついたこーちゃん。
お母さんのかわいらしさに、くすっと笑ってしまいます。
もう一つ、ぐっときたのは「季節はずれのきりたんぽ」の中で、母と娘が、あっという間に病で亡くなった父を思いだして、
暑い中きりたんぽ鍋をする時に、母が言った言葉です。
「どうしてかしらね。失くしてしまってからじゃないと、大切なものの存在に気付けないの。だから由里ちゃんはさ、旦那さんを、しっかりと大事にしてあげてよ」
ちょうど今日、お彼岸で、私はおはぎを買ってきてお供えして、
夫はおはぎって好きだったっけ?と
まだ亡くなってたった2年半なのに、もう忘れてしまったことだらけ、思いだせないことだらけで、
全然大事にしてあげられなかったなぁと、物語を読んでしみじみしちゃいまして。
いえ、でも、
大事にしてもらった思い出はちゃんとありますよ。
とかなんとかそんなことを思いながらおはぎを頬張り、
食べることは生きること、おいしく今日もごはんが食べることができて幸せな一日だったと、
毎日そう思って一日を終わりたいなと思いました。
誰かと共にしたおいしい食事。
それが悲しい思い出であっても、楽しい思い出であっても、
思い出の食事というものが、誰にでもあるはず。
そんな思い出を大事に、おいしくごはんは食べたいですね。
そんな風に思える、ほっこりする短編集でした。
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仕事のことで鬱状態が続いており全く本が読めなかったのですが、ぼちぼち読めるようになってきました!
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- 出版社:新潮社
- ページ数:172
- ISBN:9784103311911
- 発売日:2011年10月01日
- 価格:1365円
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