紅い芥子粒さん
レビュアー:
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還暦過ぎた女三人。今日も元気だ、ごはんがおいしい。人生は、まだまだ続くよ。
総菜屋「ここ家」。そこで働く三人の女性。
オーナーの江子、従業員の麻津子、郁子。三人とも、だいたい60歳。
その三人の人生模様が、料理の味と匂いに乗せて綴られます。
連作短編集、全十一話。
第一話は「新米」。
ご飯があってこその総菜です。冷めてもおいしいご飯は、「ここ家」の自慢。
郁子が「ここ家」の店員になった日、米屋の新入りの店員が新米を配達に来ました。
まだ二十歳そこそこの進くん。なかなかのイケメンで、この先、三人の婆婆におもちゃにされる運命が待ち受けています。
デートにさそわれたり、便利屋のように使われたり、プロポーズされたり!
進くん、逃げて~
第六話「豆ごはん」
麻津子は、ずっとひとりでした。好きな人はいるのです。ごくごく近所で育ったおさななじみの旬さん。彼は、別の人と結婚し、離婚して、いまはひとり。
麻津子は旬さんのことを彼氏と思っているけれど、旬さんのほうは、麻津子を彼女と思っているのか、いないのか。麻津子は、旬さんをお花見にさそいます。
お弁当は、豆ごはんでこしらえたおにぎりで……
第八話「キャベツ炒め」
江子は、夫と別れ、いまはひとりで暮らしています。熟年離婚。別れを切り出したのは、白さんと呼んでいる夫のほうでした。ふたりの暮らしが、ずっと続いていくと思っていたのに。子どもに恵まれなくても、きみがいればいいんだよ、といってくれた、やさしいひとなのに。白さんに未練たらたらな江子です。
キャベツ炒めは、料理が上手な白さんが、新婚の夜に作ってくれた料理でした……
第十話「キュウリいろいろ」
郁子は、毎年、キュウリの苗を二本買って育てています。お盆に、キュウリの馬を作るためでした。その馬に乗って、二歳で死んだ息子が、彼岸から帰ってこられますように、と祈りをこめて。今年からは、キュウリの馬を二体作ります。夫の俊介が、一年前に急死したから……
あの子が死んだのは、あんたのせいよーーと、責め続けた夫婦ふたりの暮らしが、ある日、ぷつんと終わってしまったのでした。
お盆の近づいたある日、俊介の高校時代の同級生から、電話がかかってきます。
同級会の名簿を作りたいから写真を……というのです。
同級生の案内で、郁子は、俊介の故郷を訪れ、俊介が青春を送った男子校をながめます……
ここの文章は、2018年のセンター試験に出題されていました。
第十一話穴子と鰻
けしてシアワセ!とはいえない「ここ家」の熟女三人の人生ですが、最後はおめでたい話で締めくくられます。
還暦過ぎた女三人。今日も元気だ、ごはんがおいしい。人生は、まだまだ続くよ。
オーナーの江子、従業員の麻津子、郁子。三人とも、だいたい60歳。
その三人の人生模様が、料理の味と匂いに乗せて綴られます。
連作短編集、全十一話。
第一話は「新米」。
ご飯があってこその総菜です。冷めてもおいしいご飯は、「ここ家」の自慢。
郁子が「ここ家」の店員になった日、米屋の新入りの店員が新米を配達に来ました。
まだ二十歳そこそこの進くん。なかなかのイケメンで、この先、三人の婆婆におもちゃにされる運命が待ち受けています。
デートにさそわれたり、便利屋のように使われたり、プロポーズされたり!
進くん、逃げて~
第六話「豆ごはん」
麻津子は、ずっとひとりでした。好きな人はいるのです。ごくごく近所で育ったおさななじみの旬さん。彼は、別の人と結婚し、離婚して、いまはひとり。
麻津子は旬さんのことを彼氏と思っているけれど、旬さんのほうは、麻津子を彼女と思っているのか、いないのか。麻津子は、旬さんをお花見にさそいます。
お弁当は、豆ごはんでこしらえたおにぎりで……
第八話「キャベツ炒め」
江子は、夫と別れ、いまはひとりで暮らしています。熟年離婚。別れを切り出したのは、白さんと呼んでいる夫のほうでした。ふたりの暮らしが、ずっと続いていくと思っていたのに。子どもに恵まれなくても、きみがいればいいんだよ、といってくれた、やさしいひとなのに。白さんに未練たらたらな江子です。
キャベツ炒めは、料理が上手な白さんが、新婚の夜に作ってくれた料理でした……
第十話「キュウリいろいろ」
郁子は、毎年、キュウリの苗を二本買って育てています。お盆に、キュウリの馬を作るためでした。その馬に乗って、二歳で死んだ息子が、彼岸から帰ってこられますように、と祈りをこめて。今年からは、キュウリの馬を二体作ります。夫の俊介が、一年前に急死したから……
あの子が死んだのは、あんたのせいよーーと、責め続けた夫婦ふたりの暮らしが、ある日、ぷつんと終わってしまったのでした。
お盆の近づいたある日、俊介の高校時代の同級生から、電話がかかってきます。
同級会の名簿を作りたいから写真を……というのです。
同級生の案内で、郁子は、俊介の故郷を訪れ、俊介が青春を送った男子校をながめます……
ここの文章は、2018年のセンター試験に出題されていました。
第十一話穴子と鰻
けしてシアワセ!とはいえない「ここ家」の熟女三人の人生ですが、最後はおめでたい話で締めくくられます。
還暦過ぎた女三人。今日も元気だ、ごはんがおいしい。人生は、まだまだ続くよ。
掲載日:
書評掲載URL : http://blog.livedoor.jp/aotuka202
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読書は、登山のようなものだと思っています。読み終わるまでが上り、考えて感想や書評を書き終えるまでが下り。頂上からどんな景色が見られるか、ワクワクしながら読書という登山を楽しんでいます。
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- 出版社:角川春樹事務所
- ページ数:215
- ISBN:9784758411790
- 発売日:2011年09月01日
- 価格:1470円
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