書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

雅也-カヤ-
レビュアー:
本当にこれは恋なのか。
ここに一人の女と一人の男がいる。

女はツキコさん。三十七歳。独身。

男はセンセイ。年齢はツキコさんよりも三十と少しばかり上。

センセイとツキコさん、
二人は高校時代の先生と生徒で、だけど、
ツキコさんの方はセンセイの名前も思い出せなかった程度の関係です。

そんな微妙な距離感の二人が居酒屋である日、突然再会を果たす。

小説の中で男と女が出会えばあとは恋仲になるだけ。

なのに、この二人ときたらどうだろう。
定期的に居酒屋で飲んで、お家にも行って、
休日には一緒におでかけして、旅行にも行く。
やってることは恋人同士そのものなのに
ちっともお色気がない。

生きてきた時間だけをみれば二人共に立派な大人。
でも、この二人の会話にはどこか子どもっぽさが滲みでる。

クソがつく程に真面目なセンセイと、センセイの前では
妙齢の女性からただのオンナノコに戻ってしまうツキコさん。

読んでいるとぷすっと笑ってしまうような
どこか飄々としていてゆるゆるとした心地よい空気感が漂う。

本当にこれは恋なのか。
こんなぬるま湯みたいな恋もあるんだね。

なんて読んでるこちらまで気が抜けてくる。

だけど、油断していると突如猛烈な切なさに襲われたりもする。
たまにキュンキュンもある。

センセイの
ワタクシと恋愛前提でお付き合いしていただけないでしょうか
なんかは私もぜひ言われたい。
こんな素敵な告白されてみたかったです、はい。

そうして、やっと恋人になった二人。
そこには今までとなんら変わらない
ゆったりとした空気が流れているようでいて
以前とは違う愛しさがあふれてる。
二人はこんなに楽しくて、幸せそうなのに
泣きたくなってしまうのはなんでなんだろう。

本当にこれは恋なのか。
まぎれもなくそれは恋なんだろう。
それじゃなくちゃ、こんな気持ちにはなれないもの。

読み終えて、ふと、どこからが恋だったのだろうと思った。
きっと、はじめから。
て思っちゃうのは夢みすぎですかねえ?


以上「みんなで読みませんか? 課題図書倶楽部・2016」参加書評でした。
主催者のたけぞうさん、素晴らしい一冊と出会う機会をいただき、
ありがとうございました。
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
雅也-カヤ-
雅也-カヤ- さん本が好き!1級(書評数:221 件)

■ 登録日 2012/07/26 

■2024年 近況■
某サイトで読んだり、備忘録的に記したり、
BLソムリエとしても色々楽しく参加中。


【めも】
2013/4/14 50書評 到達。
2013/11/19 100書評 到達。
2014/10/26 150書評 到達。
2019/1/15  200書評 到達!

読んで楽しい:15票
参考になる:12票
共感した:8票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. たけぞう2016-05-29 23:38

    >junocoさん
    こちらこそ、書評読ませてもらいありがとうございます。
    同じ本を読むのって楽しいですね。
    なんだかとても共感してしまいました。

  2. 雅也-カヤ-2016-05-30 21:23

    >たけぞうさん

    >同じ本を読むのって楽しいですね
    他の方の書評を読んで共感であったり、意外な発見があったり
    本が好き!でしか味わえない楽しみ方がありますよね♪

  3. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『センセイの鞄』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ