書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

Kuraraさん
Kurara
レビュアー:
ページを開けば、いつでも遊ぶことが何よりも大事だった夏休みがはじまる。
こんな風に夏休みを過ごしている小学生が、
まだまだどこかにたくさんいるといいな~と思えた、
子どもたちと海と夏の話です。

子どもたちは夏休みに入ると毎日飽きもせずに御浜に泳ぎに行く。
「すいがん」片手に50円ほどの小銭を持って。

西伊豆の漁村に暮す子どもたち、
御浜に行くには歩いて3-40分かかるので、
「渡船」という小型の連絡船に乗って往復する。

丸一日思い切り海で遊んだ後、またこの船に乗って家へ帰る。

心地よい一日が終わるころ、東京から避暑に来ている、
いとこのとしちゃんが、帰りの船に乗り遅れてしまう。

としちゃんは、走る、ひたすら走る。
そんなちょっとハラハラするシーンからはじまる夏物語。

全部で10話。
どの話もまるごと夏休みに包まれている。

潜ったり、かけったり、新しい遊びを発見したり、
時に近所のおじさんが大怪我をして運ばれたり、
おばあちゃんが話していた昔の村の話を思い出したり・・・。

子どもたちはのびのびと、
大人たちは大らかさと温かさを、
そんな村の雰囲気がとても心地が良い。

主人公の少年がはじめてひとりで沼津へ船で出かけるシーンも
こういった土地に住む子どもならではの経験なのだろう。

ちょっとハラハラしたけれど無事に戻り、
そして戻った先にとても嬉しい出来事が
待っていたあたりも心が弾む。

まったく知らない作家さんだったのですが、
古本屋さんで素敵なブックケースに収まった本書に一目ぼれ。
素朴でちょっと懐かしい雰囲気が内容ととても合っています。

実は随分前に買ったものですが、いつも目に入る場所に置き、
何度も読み返しています。ちょっとパラパラと読むつもりが
気づくと話に没頭しちゃうという・・・。

渡船に乗り遅れたとしちゃんの話は、
まるで自分が経験したかのように
今では鮮明に風景が思い出されるのであります。

ページを開けば、
いつでも遊ぶことが何よりも大事だった夏休みがはじまる。
そんな素敵な空間が広がる1冊です。
    • ケースから出すと青い海が現れる。
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
Kurara
Kurara さん本が好き!1級(書評数:811 件)

ジャンルを問わず、年間200冊を目標に読書をしています。
「たしかあの人が、あんなことを言っていたな…」というような、うっすら記憶に残る書評を書いていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

読んで楽しい:17票
参考になる:10票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. Wings to fly2016-05-27 08:30

    内容にも装丁にもググッと心を掴まれました。この夏に読みたいなー(^ ^) 素敵な本のご紹介に感謝です♪

  2. Kurara2016-05-27 21:37

    Wings to flyさん♪
    図書館だとケースがなくてまた違った印象になるかもしれませんが、ぜひぜひ実物をご覧になってくださいませ☆ あっという間に大人時間から子供時間へタイムスリップ出来ちゃう素敵な本です。夏本のリストに加えてもらえると嬉しいです!

  3. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『砂浜』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ