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風竜胆さん
風竜胆
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バルサさん、作品中ではもうすっかり熟女扱い??
 女短槍使いバルサの活躍を描いた、上橋奈緒子の「守り人」シリーズも、いよいよクライマックスに入った「天と地の守り人」(新潮文庫)。この作品は3部作となっており、まずは第一部の「ロタ王国編」である。

 シリーズ最初の作品となる「精霊の守り人」に登場したとき30歳だった彼女も、既に30代の半ば。作品中では、すっかり中年女という扱いで、本人も体の衰えを感じている。作品世界の設定がそうなっているからしかたがないが、今の基準なら、まさに女ざかりの年齢で、表紙イラストのような感じならまだまだいける(←何が?)と思うので、この扱いは、ちょっと可哀そうな気もする(笑)。

 さて、この巻の内容を一言で表せば、死んだと思っていたチャグムが、実は生きている可能性が高いことを<狩人>ジンからの密書で知ったバルサが、彼の行方を捜して旅をするというもの。果たして、バルサはチャグムと再会できるのか。

 迫りくるタルシュ帝国の脅威に、新ヨゴ皇国の帝(チャグムの父)は、他国との連携を模索しようともせず、国を破滅へと向かわせようとしていた。チャグムは、なんとか新ヨゴ皇国のの民を救いたいと画策しているのだが、既に死んだことになっており、皇太子の地位も失った身では、なかなか思うようにはならない。この世界では、様々な陰謀が蠢いており、チャグムの身にも危険が迫っていた。

 バルサは、チャグムを探す旅の中で、彼が大きく成長していることを感じる。それは、バルサにとっては喜びでもあるが、寂しさでもあるのかもしれない。新ヨゴ皇国を守ろうと、全身全霊でがんばっているチャグムに、バルサは思うのだ。

<もう、わたしなんかの出る幕じゃないな>

 しかし、チャグムには多くの好意が寄せられる一方で、彼を陰謀の道具としか考えない者も多い。邪魔になれば消してしまうだけだ。好意は寄せられていても、実質孤立無援のチャグムには、まだまだ、バルサの助けは必要なようである。果たして、チャグムは、新ヨゴ皇国を救うことができるのか。

 ところで、バルサが、泊っていた宿の主人から「若い女」「子供を産む体」なんだからと体を大事にするように説教された場面が面白い。「わたしはもう三十なかばですよ」と笑うバルサだが、宿の主人に、「だから、なんだ?おれのおふくろは、四十五でおれを産んだぞ」切り返されてしまう。しかし、彼女を、「若い女」として扱ってくれた宿の主人に、苦笑はしても、胸キュンなんてことは無かったようだ(笑)。それでも、バルサ2世が活躍する続編を読んでみたいと思う者は多いのではないかと思う。相手は、もう手近な、タンダあたりで手を打ってしまえばいいんじゃないだろうか。それとも、意外性でチャグムと・・・(以下略)。(笑)

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風竜胆
風竜胆 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2800 件)

昨年は2月に腎盂炎、6月に全身発疹と散々な1年でした。幸いどちらも、現在は完治しておりますが、皆様も健康にはお気をつけください。

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