星落秋風五丈原さん
レビュアー:
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パロディ満載の裏京都ミステリー
元泥棒のアルマジロこと有馬次郎は、知る人ぞ知るマイナーな名刹大悲閣千光寺に暮らしている。世俗とは離れた恬淡とした生活を送りたいのに、百万読者を味方につけているみやこ新聞文化部の記者・折原けい、バカミス作家・水森堅らが持ち込む、極めて生臭い事件に巻き込まれて…。
『支那そば館の謎』に続く、裏京都ミステリーシリーズ第二弾。狸と狐の違い、白味噌、ぶぶ漬け等、京都ならではの題材を取り上げている。今シリーズより、バーの主人で次郎と訳ありのマスター、カズさんが初登場。今回も出てくる、出てくる、パロディの数々。タイトルではムンちゃんこと水森堅の受賞作『鼻の下伸ばして花ムンムン』(北森氏著作『花の下にて春死なむ』)はもういいとして、『興ざめた馬を見よ』(五木寛之『蒼ざめた馬を見よ』)。冒頭の『狐狸夢』には、『二十歳の原点』を借用した記事が登場し、ムンちゃんこと水森堅が持ってくる自信作の名は『狂乱マジック』(北森鴻『共犯マジック』+『狂乱二十四孝』?)。そして京都の碇屋警部は、山村美紗ミステリーに数多く登場する狩谷警部のパロディ(…なんだろうなぁ)。折原けいまでが、どこかの民俗学者を思わせる口調で、『ア・リ・マ』と耳元で囁く(おいおい)。
うーん、どこまで壊れてゆくのだろう、このシリーズ。ミステリ-よりそっちが気になったりして。
「この大馬鹿と一緒にしないでよ」「大馬鹿言うなぁぁ」
字で読むより、実際にしゃべるのを見ている方が笑えそうな、折原けいと水森堅の会話は、吉本新喜劇みたい。彼等が珍妙な推理を繰り広げる裏で、次郎と住職は「明日より、山を下りることといたします」「そうするが、ええ」と、ハードボイルドな世界を形づくる。事件の深刻な雰囲気を、けいと水森の夫婦漫才で救おうとしたのだろうか。揃って食いしん坊の彼等が食べる食事が、いずれもおいしそう。描写がうまいので、「そうだ、京都、行こう」って思い立つかも。『狐狸夢』『ぶぶ漬け伝説の謎』『悪縁断ち』『冬の刺客』『興ざめた馬を見よ』『白味噌伝説の謎』収録。
北森鴻作品
緋友禅
触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉
蜻蛉始末
『支那そば館の謎』に続く、裏京都ミステリーシリーズ第二弾。狸と狐の違い、白味噌、ぶぶ漬け等、京都ならではの題材を取り上げている。今シリーズより、バーの主人で次郎と訳ありのマスター、カズさんが初登場。今回も出てくる、出てくる、パロディの数々。タイトルではムンちゃんこと水森堅の受賞作『鼻の下伸ばして花ムンムン』(北森氏著作『花の下にて春死なむ』)はもういいとして、『興ざめた馬を見よ』(五木寛之『蒼ざめた馬を見よ』)。冒頭の『狐狸夢』には、『二十歳の原点』を借用した記事が登場し、ムンちゃんこと水森堅が持ってくる自信作の名は『狂乱マジック』(北森鴻『共犯マジック』+『狂乱二十四孝』?)。そして京都の碇屋警部は、山村美紗ミステリーに数多く登場する狩谷警部のパロディ(…なんだろうなぁ)。折原けいまでが、どこかの民俗学者を思わせる口調で、『ア・リ・マ』と耳元で囁く(おいおい)。
うーん、どこまで壊れてゆくのだろう、このシリーズ。ミステリ-よりそっちが気になったりして。
「この大馬鹿と一緒にしないでよ」「大馬鹿言うなぁぁ」
字で読むより、実際にしゃべるのを見ている方が笑えそうな、折原けいと水森堅の会話は、吉本新喜劇みたい。彼等が珍妙な推理を繰り広げる裏で、次郎と住職は「明日より、山を下りることといたします」「そうするが、ええ」と、ハードボイルドな世界を形づくる。事件の深刻な雰囲気を、けいと水森の夫婦漫才で救おうとしたのだろうか。揃って食いしん坊の彼等が食べる食事が、いずれもおいしそう。描写がうまいので、「そうだ、京都、行こう」って思い立つかも。『狐狸夢』『ぶぶ漬け伝説の謎』『悪縁断ち』『冬の刺客』『興ざめた馬を見よ』『白味噌伝説の謎』収録。
北森鴻作品
緋友禅
触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉
蜻蛉始末
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2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。
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- 出版社:光文社
- ページ数:255
- ISBN:9784334746315
- 発売日:2009年08月06日
- 価格:540円
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