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Yasuhiroさん
Yasuhiro
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川上流世界観の面妖度はますます嵩じ、一方であいかわらずよく食べよく飲む。文体は確立されてきているが、文学賞取りすぎ。
  川上弘美を読むシリーズ第四作目は1999年の「溺レる」です。発刊順にいくと「蛇を踏む(1996)」「神様(1998)」の次で「センセイの鞄(2001)」の前になります。現実と幻想(妄想?)の入り混じった彼女独特の世界はますます面妖になり、常人にはもうアキレルしかない、ツヅマリのつかないものだらけです。

  素人玄人問わず好き嫌いのはっきり分かれる作品だと思うのですが、これも女流文学賞・伊藤整文学賞を受賞しています。これまで紹介してきた四作すべて何かの賞を受賞しております、正直なところ受賞という事実に内容がついていってるのは「センセイの鞄」くらいではないでしょうか、なぜこの人ばかり?という感は否めません。

  さてこの八編、基本的には不可思議な男女の愛(?)性(?)の形を描いています。大抵女性は受け身でサブミッシブです。大抵日常的な物事から逃げており、それでいて目的地へ辿り着くという事も出来ません。

  ミチユキだのチクデンだの言いながら現実的な危機感は微塵もなくなにかから逃げつつアイヨクオボレます。(カタカナはすべて表題作より引用)

  ご覧の通り、ダイジな単語はカタカナで書かれることが多いです。苗字も大抵カタカナです。バカニサレテルよなキブンになります。

  一方他作品でもそうですが、あいかわらずよく食べよく飲みます。読み終わったら解説の種村季弘さんも川上弘美の人物たちはよく食べる。といきなり書いておられて笑いました。

  もうこれ以上書くこともないのでチョウスンピョウ。

さやさや」 むやみに蝦蛄(しゃこ)を食べる。種村流に言えばほかの何かを直視するのが怖くて蝦蛄食いに逃げている。それと最後の野原での小便シーンが印象的。

溺レる」 上記参照。で、なぜ「れ」が「レ」なのか。どうせなら「オボレる」にしたらいいのに。

亀が鳴く」「つづまりがつく」という言葉が出てくる。関西でももう滅多に聞かない方言。

可哀相」 痛いことをされる。縛られてエッチされる。可哀相である。

七面鳥が」 「が」が、なんだかわからない。

百年」  おっ「夢十夜」かと思ったらなんと「坊っちゃん」の清の話が出てきた。

神虫」 神虫がいい。

どこぞの地方の、南方の山に、一匹の虫が棲んでいる。鬼を喰らう虫である。八本ある足のそれぞれには、おおいなる爪がある。その爪でむんずと鬼をひっつかみ、頭からばりばりと喰らうのである。朝に三千、夕に三百の鬼を、捉える。


その他はセックスの話ばかり。

無明」 冒頭、事故で二回死んで五百年生きている男女が羊羹の厚さで揉めている。。。ついにいきつくところまでいっちゃったか。。。という作品で終わるのは、逆に真っ当かもしれない。

  種村氏はつまらない女をあまく見てはいけないと結んでおられますが、一見つまらない作品を甘く見ると、ドツボにはまって溺レてしまうのかもしれません。もうちょっと年代順に追っかけてみよう。


川上弘美を読むシリーズ
神様
蛇を踏む
センセイの鞄
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Yasuhiro
Yasuhiro さん本が好き!1級(書評数:513 件)

馬鹿馬鹿しくなったので退会しました。2021/10/8

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この書評へのコメント

  1. 塩味ビッテン2018-02-07 20:04

    やっぱり「センセイの鞄」以降だな。この人は。

  2. あかつき2018-02-07 20:36

    え、縛られてえっち?読んでみようかしら。

  3. Yasuhiro2018-02-07 23:39

    提督、ただ今、センセイ星域を通過、ようやく面白くなってきました。

  4. Yasuhiro2018-02-07 23:40

    焼き粉には物足りないこと必至。息抜きに読むが吉。

  5. あかつき2018-02-08 20:39

    ところで、この表紙と「ブルマーの謎」の表紙が酷似していてドキドキします。

  6. Yasuhiro2018-02-08 23:09

    君はブルマーをかぶったことがあるか、とか叫んでたやつやな
    ( ̄▽ ̄)
    アホなこと言うとらんで新しいセンセイの緊縛鞄にハアハアしてなさい。

  7. No Image

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