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風竜胆さん
風竜胆
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かなり、イヤな気分になるミステリーです。
 いかにもギャグ小説然としたタイトルと表紙イラストにすっかり騙された。まさかこんな、すごい内容だったとは。

 舞台は埼玉県飯能市。この街で猟期的な殺人事件が続く。なにしろ、被害者は、フックで吊るされたり、車のトランクに入れられたままプレスで押しつぶされたり、解剖されたり、火あぶりにされたり。アイウエオ順に犠牲となった人々は、犯人からカエルに見立てられ、この事件は、市をパニックに陥れる。そして、連続殺人鬼は、「カエル男」と呼ばれた。

 この作品のテーマは、刑法第39条、すなわち「心神喪失者の行為は、罰しない」ということに対しての問題提起だろう。殺人をしても責任能力がないと判断されれば、今の日本の法律では無罪になってしまう。しかしそれでは、被害者の遺族は納得できない。この作品は、そこに焦点を当てて、ミステリーという体裁を借り、それでいいのかと言っているように見える。

 本作は、かなりタチの悪い作品だ。叙述トリックで、読者をミスリードさせる罠が仕掛けられているうえ、解決したと思われた事件の結論がどんどんひっくり返っていくのだから。イヤミスという言葉があるが、この作品は、事件が、真相に近づけば近づくほど、どんどん嫌な気分が増大してくる。間違いなくイヤミスの代表作と言えるだろう。
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風竜胆
風竜胆 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2795 件)

昨年は2月に腎盂炎、6月に全身発疹と散々な1年でした。幸いどちらも、現在は完治しておりますが、皆様も健康にはお気をつけください。

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この書評へのコメント

  1. 風竜胆2016-11-02 11:28

    もうpvが700近く!
    この本って、そんなに人気があったのね?

  2. sawady512016-10-27 09:51

    >風竜胆さん
    心神喪失者の行為は罰しないというが、僕の経験上(統合失調症)相当なことがない限り理性を失うことはありません。幻聴やなんかで犯罪を助長するような命令が聞こえても理性でなんとか抑えられることの方が多いと思います。だから、精神鑑定で心神喪失者と判断されるのは相当重い人、障害者1級でもそんな人は稀です。

  3. 風竜胆2016-10-27 10:23

    >sawady51さん
    実際にはそうなんでしょうね。犯罪を行うような人間は、病気とはかかわりなく、元々そのような素質があるのかもしれません。
    法律自体が古いですから、実態を反映できてないところもあるでしょうね。

  4. schnee2016-10-28 21:20

    コメント失礼します。大変参考になります!
    現在実写化が行われている「ミュージアム」もカエル男の猟奇殺人・・・。
    この2作に共通点とかあったりして・・・?
    共通点があるのか、一度読んでみますね^^

  5. 風竜胆2016-10-28 21:55

    >schneeさん
    「ミュージアム」の方は、漫画が原作のようですね。こちらは読んだことがないのですが、ネットでは雰囲気が似ているという意見もありました。ぜひ読んで比べてみてください。

  6. 風竜胆2016-11-07 15:53

    おおっ!、pvが800超えた!?

  7. noel2021-03-24 15:03

    pvはどこで見ることができるのですか。まさか得票数ではないでしょうし……。

  8. 風竜胆2021-03-24 17:37

    >noelさん
    昔はpvも出ていたんですが、数値が変だったこともあり、いつのころからかでなくなりました。一応の理由はあったはずなんですが忘れましたw。 なんやかんや言っても、ホンネはメンテの手間とコストなんかを考えて結果でしょうね。ホンネの理由とタテマエの理由が違っているのは、よくありますw

  9. noel2021-03-24 19:48

    考えてみれば、この書評が載ったのは、2016年のことなのですよね。

  10. No Image

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