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かもめ通信
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○十年前の私に聞いてみた?!<みんなで読みませんか? 課題図書倶楽部・2016 参加>『ライ麦』レビュー第1弾?!(1弾ってことは、2弾もあるの?と思われた方正解ですw近日アップの予定です。)
一応確認しておくと、キミが初めて彼、つまりホールデン・コールフィールドに出会ったのは、中学1年の時だったんだね?
その頃キミは庄司薫に傾倒していたわけで、それがまあ早熟だったせいかめいいっぱいの背伸びだったのかはこの際脇においておくとして、キミのその傾倒ぶりを知った大人から「こんな本もあるよ」と、『ライ麦』を薦められっていうわけだ。


だけどそれっておかしくないか?
だって『ライ麦』だよ。本国アメリカでだって青少年には有害な本だっていわれ続けてきた本だよ?
そりゃ。売れてはいるさ。いつだって「ダメだ」といわれればやりたくなる、それが若者っていうもんだろう?
でもまあ、キミの周りにいた大人は、まあそれが誰かは聞かないよ、別に興味はないんだ。とにかくその人はキミに薦めたわけだ。
「ホールデン・コールフィールドに会いに行け」って。


それでキミはどう思ったのさ?つまり彼のことだけど。
やっぱりイヤな奴だったかい?
え?胸が痛くなったって?
なんでまた?もしかしてキミもホールデンみたいに馬鹿なことを口にして、誰かに組み伏せられたのかい?
まさか同情したってわけじゃないだろう?
4つめのハイスクールを放校になって、水曜日まではまだ学校があるっていうのに、さっさと飛び出してしまうような奴だぜ?
退学処分の通知が両親に届くその時に家にいたくないという理由で、まっすぐ家に帰らずにふらふらと遊び歩いた数日間のことをあれこれ書きちらかした、それだけの奴じゃないか?


おまけに奴ときたら英語は得意といいながら“口述表現”を落としたんだ。
とにかくあの授業じゃ、スピーチをしなくちゃいけなかったんだ。テーマに沿って。
なのに奴は“わき道”にそれるのが好きなんだ。その方がずっと面白いっていうんだぜ。
話のポイントからずれない人が嫌いなわけじゃない。
でもポイントにしがみつく人は嫌いなんだそうだ。
そりゃ、最初から“わき道”の方をテーマにすればよかったのかもしれないけれど、でもいったんはじめてみなければ、自分にとって何がいちばん興味があることかなんてわからないじゃないかっていうわけさ。
奴の話は、まさにそんな感じだよな。
あっちにふらふら、こっちにふらふら。
それでよく、崖から落っこちそうな子どもをつかまえたいなんて言えたもんだよ。


え?なんだって、キミはそう思うのかい?
奴の方がつかまえてほしかったんじゃないかって?
ふーん。


まあ奴はさ、人に解説されるのが大嫌いなんだよね。
巻末解説お断り!っていうぐらいだから。
それってこっちが好きな様にとっていいってことでもあるんだろうからね。
キミがそういうなら、そうおもっていればいいさ。
ホールデンと兄のD・B両方が、サリンジャーの分身じゃないかっていうことも含めてさ。


                ******

みんなで読みませんか? 課題図書倶楽部・2016 に参加しています。
“ライ麦”レビュー第2弾、新旧訳の読み比べ。
“ライ麦”レビュー第3弾、キミにはあの音が聞こえるか?!

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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2243 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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この書評へのコメント

  1. たけぞう2016-03-07 22:38

    お気に入り度:★★★★★

    えーい、まだ足りない、もっと入れちゃえ

    お気に入り度プラス:★★★★★★★★★★★★★★★★★★

    それって、この書評のことなんだけどさ。

  2. かもめ通信2016-03-08 06:18

    たけぞうさん!褒めすぎだから(汗)
    ホールデンなら「人が褒め言葉を口にするときにはきっとなにか裏がある。君だってそう思うだろう?」とか、言ってしまいそうですww

  3. かもめ通信2016-03-08 12:47

    続いてまいります!“ライ麦”レビュー第2弾は,新旧訳の読み比べ!
    http://www.honzuki.jp/book/1796/review/150320/

  4. かもめ通信2016-03-10 06:58

    “ライ麦”レビュー最終回?!
    果たしてキミにはあの音が聞こえるか?!
    http://www.honzuki.jp/book/28305/review/150315/

    性懲りもなくアップしました。

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