アライバル

男がたった一人、家族を故国に残し新たな土地に足を踏み出す。
言葉も文化も何もかもわからぬ、不安と希望に満ちた新生活。
その中で、やがて男は町の人々と絵を使ってコミュニケーションを始める。
男が出会う人々も、皆何かを故国に残して新しい生活を始めた移民たちだ。
彼らの語るーー文字はないのだがーーそれぞれの物語。
やがて男は友を得、仲間を得て、そして家族を呼び寄せる。
新しい世界で、新しい家族として、生きていく。

それは、我々の物語でもある。
我々は、皆、移民だ。
生まれてから同じ場所から一歩も歩まずに死んでいく人間は少ない。
旅をしない人はいない。人生は旅だ。

子供達は家庭から公園へ、幼稚園から学校へ、そして社会へと旅立っていく。
その都度新しいものを怯えながら受け入れ、古いものを惜しみながら後ろに置き去り、進んでいく。
新しいものを受入れ、新しいものとして受け入れられながら。

その普遍性ゆえにこの本は、文字を超え、国境を越えて愛された。