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星落秋風五丈原
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男性3人が過去の恋について語るシリーズ
翌日、朝食にはたいへんおいしい肉饅頭と海老と羊肉のカツレツが出された

という語りで始まる本作は、時間的に『すぐり』の後になる。大酒飲みで気の荒いコックのニカノールが、別嬪の女中ぺラゲーヤと愛しあっているということから、「恋の不思議さ」が話題になる。『すぐり』では聞き手だった若い地主アリョーヒンが、今度は語り手になって、自分と人妻との恋の話を始める。

 アリョーヒンは、かつて足しげく訪れた屋敷地方裁判所副所長の妻アンナ・アレクセーエヴナに恋をする。夫は40歳も年上で、美しく若いアンナが、なぜ彼と結婚したのか?という謎が、先に出た、彼らから見れば釣り合わない料理番と女中カップルの印象に繋がる。

 アンナもまたアリョーヒンを愛するようになるが、お互い思いを打ち明けることはせず、アンナは次第に神経を病んでしまう。どうにもならないじれったい恋愛は、人妻リジャ・アヴィーロヴァとチェーホフ自身の関係が反映されている。

 狩猟仲間の初老の獣医イワーヌィチと、中学教師ブールキンが雨宿りした農場主アリョーヒン宅で、若き主から聞いた話中話形式。チェーホフ実体験の“愛のかたち”三部作の一つ。

チェーホフ作品
ヴェーロチカ/六号室
たわむれ
ロスチャイルドのバイオリン
僧正
少年たち
すぐり
可愛い女
泥棒たち
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星落秋風五丈原
星落秋風五丈原 さん本が好き!1級(書評数:2336 件)

2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。

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