書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

DBさん
DB
レビュアー:
古代ローマの観光案内の本
「地図を旅する」とあるように、三世紀のローマをフラウィウスという青年が旅する形で紹介しています。
フラウィウスはボスポロス海峡のヨーロッパ側の岸にあるヘラクレイアで生まれ育ち、トラキア管区の総督である管区代官の下で働いている。
この頃のローマは二人の皇帝によって支配されていて、西ローマ帝国はコンスタンティヌス帝が寛容さで治め、東ローマ帝国はリキニウス帝が恐怖政治を布いていた。
ヘラクレイアはリキニウスの管轄である東ローマ帝国の一部だったが、リキニウスに対する告発をコンスタンティヌス帝に秘密裏に届けることになる。
その密使として選ばれたのがフラウィウスで、パエヌラの下に大切な書類を隠し持ち、西暦314年ローマ暦1067年の六月にブルンディシウムの港で船を降りてローマを目指す。

ブルンディシウムでトラキア管区代官の紹介状でとある市民の家に泊めてもらって海の幸とy怪な会話でもてなしてもらうと、「道路案内」を手に入れてそこから先の道を確認します。
約30キロごとにある「クルスス・プブリクス」という公用の宿屋に泊まりながらアッピア街道を旅していく。
ローマまで11マイルというマイル標石を過ぎたころから、街道の両側には墓が立ち並ぶようになる。
つつましい墓もあれば巨大な墓廟もあり、葬送の行列を目にしつつようやくアウレリアヌスの城壁に守られたローマへと入るアッピア門にたどり着く。

アッピア門をくぐってもまだ田園風景は続いていて、居酒屋の地下にあるスキピオ一族の墓所を見学してから紹介状を手に政府の側近で将来の執政官候補者でもあるウェッテイウス・ルフィヌスの家を訪れた。
ウェッテイウスの息子ガイウスに連れられてカラカラ浴場でローマ式の入浴を楽しみ、すばらしい夕食をとり、ウェッテイウス家の奴隷クロエの美しさを愛でる。
皇帝が一週間ほどローマを留守にしていた事から、アウェンティヌスの丘、エンポリウム、カピトリヌス丘、フォルム、パラティヌス丘、スブラとローマの町全体を順にみていきます。
神殿や歴史の記念碑といった大きな建物からそこに住む人々の暮らしぶりまで余さず書かれている。
そしてキルクス・マクシムスで戦車競技を観戦したり、コロッセウムで剣闘士試合を見学してローマを楽しんでいます。
クロエを伴ってパンテオンを訪れマルケッルス劇場で観劇をするなど盛りだくさんだ。

密使の使命を無事に果たし、再びヘラクレイアを目指すフラウィウスの隣には奴隷から解放されたクロエがいた。
大判の地図を見ながらフラウィウスと一緒に古代ローマを観光できる楽しい本だった。
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2034 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

読んで楽しい:1票
参考になる:24票
共感した:1票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『永遠の都ローマ物語―地図を旅する』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ