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たけぞう
レビュアー:
読み通せて嬉しく思った。
最近、たいていの小説を読めるようになりましたが、
読書歴の浅いころは挫折した本があります。
グレート・ギャツビーはそのうちの一冊で、
ようやく読み通せて嬉しく思いました。

翻訳が村上春樹さんというのもよかったのでしょう。
賛否両論あるようですが、アンチ村上の声に耳を傾ける必要はないと
思うのです。普通に楽しめる翻訳でしたよ。
そもそもアンチの人で原文を読んで意見している人は多いと思えませんし。

グレート・ギャツビーは、フィッツジェラルドの最高傑作と言われています。
没後に評価が高まったとのこと。
生前は軽量級の短篇を書き飛ばして生活していた作家さんなので、
軽く見られていたのかもしれません。
その評価にジレンマを抱いていたのか、長編を書きたいという
思いの詰まった著者の渾身の作品がこれなのですが、
発行当初はあまり売れなかったそうです。
それが、百年近くたったいまでも読まれたり、映画化されたりという
大変な扱いを受けているのですから、小説の評価なんて分からないものです。

舞台はアメリカのニューヨークの東にあるロングアイランドです。
主人公はニック。ニューヨークの証券会社に勤めています。
ロングアイランドには、高級住宅地のイーストエッグと、
運河を挟んだ反対側にある高級感に欠けたウエストエッグがあります。

ニックはウエストエッグに住んでいますが、
高級感に欠けるといっても相応の住宅はあり、
とりわけ右隣の大邸宅は荘厳でした。
その主が、ジェイ・ギャツビーだったのです。

ニックは大学時代の知り合いのトム・ブキャナンと交流があります。
イーストエッグの住人です。いまはデイジーと結婚していますが、
お互い不倫をするようないささか配慮に欠ける人たちです。
ニックはなぜかトムに気に入られていて、
ちょっとした集まりに声がかかります。
つまりトムにとっては、ニックはあるいは大切な友人なのかもしれません。

ニックがミス・ベイカーと話をしています。
ウエストエッグに住んでいるというと、
あら、わたしは一人知っているわと言ってギャツビーのことを話題にします。
その会話を聞いていたデイジー・ブキャナンがすかさず割って入ってきます。
ギャツビーの名前に反応したのです。
運命の歯車が、この時かちりと音をたててはまったのです。

前半は、金持ちの享楽的なバカ騒ぎが続くので、
おそらくわたしは食傷気味になったのでしょう。
ステレオタイプの俗物社会が活写されていて、むしろ伝わりすぎて辟易し、
挫折したのだと思います。

中盤以降、思わぬ伏線が回収されていくにつれ、
どんどん惹きこまれていきました。
なんともやるせなく、これが人間だと化けの皮を剥いでいくような作品でした。
それなのに読後感は悪くないのです。

この作品を読み通せたのに感謝です。
村上春樹さんによる長いあとがきも興味深かったです。
満足しました。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1465 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
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この書評へのコメント

  1. 菅原万亀2022-02-10 10:12

    この作品も、文庫が手元にあるので読んだはずなのですが…すっかり忘れていました。読み返してみます^^/

  2. たけぞう2022-02-10 22:26

    >菅原万亀さん
    コメントありがとうございます。いま読むと、以前とは違った楽しみがあるかもしれませんよ。

  3. No Image

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