書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

DBさん
DB
レビュアー:
これを読めば宇宙がわかる本
著者はライターだそうですが、壮大なテーマをこの薄い本でどのようにまとめているのだろうか。
観測可能な宇宙の端は140億光年の彼方だが、ここでは宇宙はたくさんの泡に似て見えるそうだ。
何もない巨大な空洞であるボイドを囲んで無数の銀河でできた集合体で作られた巨大な壁であるグレート・ウォールがあり、壁は互いに結ばれて網のようになっているとか。
そこから深宇宙や、グレート・ウォールを構成する超銀河団の話が続きます。
天の川銀河が属しているのはおとめ座超銀河団という中くらいの銀河団で、このおとめ座超銀河団とその他のいくつかの銀河団は、ケンタウルス・ウォールの奥に隠れたグレート・アトラクターと呼ばれる巨大質量の重力源に向かって動いているそうだ。

銀河にはそれぞれ形がある。
天の川銀河は渦巻き銀河だが、他にも楕円銀河やレンズ状銀河、不規則銀河としてまとめられる車輪銀河、ねずみ銀河、触覚銀河、おたまじゃくし銀河などなど。
可視光線の世界では暗くても、小さな中心核から何光年もの長さの物質のジェットを噴出する電波銀河、活動的な核を持って渦巻くディスク型のセイファート銀河、そしてクエーサーやブラックホールを見ていきます。
銀河を銀河としてつなぎとめているのはブラックホールだと考えられているそうで、ブラックホールの内部には圧縮された時空の先に別の宇宙に通じるワームホールがあるという考えもあるそうだが完全にSFの世界だ。

宇宙空間から天の川銀河に近づいていくと、ハローと呼ばれる塵やガスなどが集まった球殻があり、何本もの渦巻きの腕が直径10万光年、厚さ1000光年ほどの平らな円盤を形成している。
この腕は若い恒星や生まれたての星で明るく輝き、腕と腕の間には暗い塵の帯がある。
そして銀河の内部へ目を移し恒星について見ていきます。
星間ガスでできた低温の雲が重力によって一塊になり原始星が生まれ、そこから先はその質量によってどのような恒星になるのか違う道をたどります。
一番ドラマチックな展開をたどるのは質量の重い星で、ヘリウムから作られた炭素や酸素が核融合でネオンやシリコン、最後は鉄となり、核融合が止まると重力により超新星爆発を起こす。
恒星の次は惑星と衛星の代表として太陽系の星を、そして電子やスペクトル、電磁気力や重力といった宇宙を理解するうえで重要な要素を見ていく。

宇宙のはじまりはビッグバン理論が有名だが、他にも定常宇宙論や循環するブレーンワールドという説もあるそうです。
量子力学の世界や多元的宇宙といった概念もわかりやすく説明してあって面白い。
まさしく「宇宙入門」でした。
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2034 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

読んで楽しい:1票
参考になる:24票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『宇宙入門(アルケミスト双書)』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ