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たけぞう
レビュアー:
繰り返される人間のおぞましさ。

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

「復活!「課題図書」倶楽部・2015」 参加書評です。

作家名はなんとなく聞いたことがありました。
みなさんの書評から、SFのイメージとディストピア小説、つまり明るくない未来という印象を持ってのぞみました。

ディストピアといえば、まず思い浮かべたのがマッド・マックスという映画です。
古いですね。映画は見ませんでしたが、ならず者たちのかもし出していた悪の魅力を覚えています。
北斗の拳は、その世界観を参考にしたマンガであり、どっぷりはまっていた私にとって、1984年という小説はどんなものだろうというわくわく感がありました。

> < ここからややネタバレ気味です>

圧倒されました。
近未来の思想フィクション小説といえばいいのでしょうか。
舞台が未来なのでSFという言葉を使いたくなりますが、サイエンス部分は薄く、
でもやっぱり未来なんだよなあと逡巡してしまいます。
頭の中がぐるぐる混乱するあたりが面白いです。

ひょっとしたら、未来にほのかな希望を持つのは本能的な何かがあるのかもしれ
ません。天国や極楽など、死後には明るい未来があるというのも同じでしょう。
希望を失ったら、生きていくのはつらそうです。
でも本当はこんなんだぜと小説で見せられたら、それは戸惑います。
しょせん物語なんだからといいつつ、この胸のはらはら感といったら!

未来に対する先見性を感じますが、冷静に考えると、実は過去や現在のことを
書いているのかもしれない、そんな気になってきます。
この小説が書かれた時代、ナチスドイツが台頭し、ヒットラー・ユーゲントの
子どもたちがユダヤ狩りを繰り返しました。小説そのままじゃないですか。
そして二十一世紀の現代でも、似通った印象を持つ国がこころの中に浮かびます。
実態は分かりません。でも、でも。

豊かさや幸せと思う気持ちをコントロールする。
事実は、認識した人格にとっての意識のなかのことであり、違う事を事実と思いこめば、それもまた正である。


哲学的です。欺瞞です。狂人的新興宗教みたいです。
自分の常識を揺さぶられるのは、思わず声を上げそうになります。
課題図書の選定に深く感謝申し上げます。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1463 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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