たけぞうさん
レビュアー:
▼
繰り返される人間のおぞましさ。
「復活!「課題図書」倶楽部・2015」 参加書評です。
作家名はなんとなく聞いたことがありました。
みなさんの書評から、SFのイメージとディストピア小説、つまり明るくない未来という印象を持ってのぞみました。
ディストピアといえば、まず思い浮かべたのがマッド・マックスという映画です。
古いですね。映画は見ませんでしたが、ならず者たちのかもし出していた悪の魅力を覚えています。
北斗の拳は、その世界観を参考にしたマンガであり、どっぷりはまっていた私にとって、1984年という小説はどんなものだろうというわくわく感がありました。
>
> < ここからややネタバレ気味です>
>
圧倒されました。
近未来の思想フィクション小説といえばいいのでしょうか。
舞台が未来なのでSFという言葉を使いたくなりますが、サイエンス部分は薄く、
でもやっぱり未来なんだよなあと逡巡してしまいます。
頭の中がぐるぐる混乱するあたりが面白いです。
ひょっとしたら、未来にほのかな希望を持つのは本能的な何かがあるのかもしれ
ません。天国や極楽など、死後には明るい未来があるというのも同じでしょう。
希望を失ったら、生きていくのはつらそうです。
でも本当はこんなんだぜと小説で見せられたら、それは戸惑います。
しょせん物語なんだからといいつつ、この胸のはらはら感といったら!
未来に対する先見性を感じますが、冷静に考えると、実は過去や現在のことを
書いているのかもしれない、そんな気になってきます。
この小説が書かれた時代、ナチスドイツが台頭し、ヒットラー・ユーゲントの
子どもたちがユダヤ狩りを繰り返しました。小説そのままじゃないですか。
そして二十一世紀の現代でも、似通った印象を持つ国がこころの中に浮かびます。
実態は分かりません。でも、でも。
豊かさや幸せと思う気持ちをコントロールする。
事実は、認識した人格にとっての意識のなかのことであり、違う事を事実と思いこめば、それもまた正である。
哲学的です。欺瞞です。狂人的新興宗教みたいです。
自分の常識を揺さぶられるのは、思わず声を上げそうになります。
課題図書の選定に深く感謝申し上げます。
作家名はなんとなく聞いたことがありました。
みなさんの書評から、SFのイメージとディストピア小説、つまり明るくない未来という印象を持ってのぞみました。
ディストピアといえば、まず思い浮かべたのがマッド・マックスという映画です。
古いですね。映画は見ませんでしたが、ならず者たちのかもし出していた悪の魅力を覚えています。
北斗の拳は、その世界観を参考にしたマンガであり、どっぷりはまっていた私にとって、1984年という小説はどんなものだろうというわくわく感がありました。
>
> < ここからややネタバレ気味です>
>
圧倒されました。
近未来の思想フィクション小説といえばいいのでしょうか。
舞台が未来なのでSFという言葉を使いたくなりますが、サイエンス部分は薄く、
でもやっぱり未来なんだよなあと逡巡してしまいます。
頭の中がぐるぐる混乱するあたりが面白いです。
ひょっとしたら、未来にほのかな希望を持つのは本能的な何かがあるのかもしれ
ません。天国や極楽など、死後には明るい未来があるというのも同じでしょう。
希望を失ったら、生きていくのはつらそうです。
でも本当はこんなんだぜと小説で見せられたら、それは戸惑います。
しょせん物語なんだからといいつつ、この胸のはらはら感といったら!
未来に対する先見性を感じますが、冷静に考えると、実は過去や現在のことを
書いているのかもしれない、そんな気になってきます。
この小説が書かれた時代、ナチスドイツが台頭し、ヒットラー・ユーゲントの
子どもたちがユダヤ狩りを繰り返しました。小説そのままじゃないですか。
そして二十一世紀の現代でも、似通った印象を持つ国がこころの中に浮かびます。
実態は分かりません。でも、でも。
豊かさや幸せと思う気持ちをコントロールする。
事実は、認識した人格にとっての意識のなかのことであり、違う事を事実と思いこめば、それもまた正である。
哲学的です。欺瞞です。狂人的新興宗教みたいです。
自分の常識を揺さぶられるのは、思わず声を上げそうになります。
課題図書の選定に深く感謝申し上げます。
お気に入り度:







掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
この書評へのコメント
コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:早川書房
- ページ数:512
- ISBN:9784151200533
- 発売日:2009年07月18日
- 価格:903円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。
『一九八四年[新訳版]』のカテゴリ
- ・文学・小説 > 文学
- ・文学・小説 > ジャンル別小説
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 社会
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 社会科学
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 政治
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 国際
- ・政治・経済・社会・ビジネス > メディア
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 社会問題
- ・人文科学 > 心理学
- ・人文科学 > 哲学・思想