かもめ通信さん
レビュアー:
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あのドストエフスキーが“感傷的ロマンチスト青年”の初恋を描いた小品。原題は「Белые Ночи」と複数形なので、タイトルからひと晩の出来事ではなく、白夜の季節の数日の物語だということがわかる仕掛けだ。
それはよく晴れた素晴らしい夜だった。
にもかかわらず、彼は孤独に苛まれ、
皆が自分を見棄ててしまうのではないかと、
不安を募らせていた。
だが、果たして皆とは誰のことだ?
彼はもう8年もペテルブルグに住んでいるというのに、
ほとんど一人の知人も持っていなかったはずではなかったのか?
いや、違う。彼には多くの知り合いがいた。
例えば、いつもの時間、いつもの場所ですれ違う人たち。
彼らのことならよく知っている。
浮かない顔をしていれば、
何かあったのかと思い巡らせ、
喜びに満ちていれば、
嬉しさのお裾分けをもらう。
名前も知らぬそうした人々に親しみを感じているといっていい。
そんな彼がある夜出会った年若い女性は確かに泣いているようだった。
やがて彼と彼女は言葉を交わし、
互いに自分の秘密を打ち明けあう。
孤独と空想の世界に暮らしていた男が生身の人間と会話をはじめたのだった。
それは或いは白夜が見せた夢か幻であったかのように、
淡く切ない夜ではあるが、夜毎語られる思いの丈は甘くはかなく狂おしい。
にもかかわらず、彼は孤独に苛まれ、
皆が自分を見棄ててしまうのではないかと、
不安を募らせていた。
だが、果たして皆とは誰のことだ?
彼はもう8年もペテルブルグに住んでいるというのに、
ほとんど一人の知人も持っていなかったはずではなかったのか?
いや、違う。彼には多くの知り合いがいた。
例えば、いつもの時間、いつもの場所ですれ違う人たち。
彼らのことならよく知っている。
浮かない顔をしていれば、
何かあったのかと思い巡らせ、
喜びに満ちていれば、
嬉しさのお裾分けをもらう。
名前も知らぬそうした人々に親しみを感じているといっていい。
そんな彼がある夜出会った年若い女性は確かに泣いているようだった。
やがて彼と彼女は言葉を交わし、
互いに自分の秘密を打ち明けあう。
孤独と空想の世界に暮らしていた男が生身の人間と会話をはじめたのだった。
それは或いは白夜が見せた夢か幻であったかのように、
淡く切ない夜ではあるが、夜毎語られる思いの丈は甘くはかなく狂おしい。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:角川書店
- ページ数:118
- ISBN:9784042087021
- 発売日:1981年10月03日
- 価格:340円
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