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星落秋風五丈原
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マドヴィッグ アンド アングリーネッド
 ポール・マドヴィッグは、町の顔役として裏社会で暗躍してきたが、今は上院議員ヘンリーの娘ジャネットと結婚して、表社会へ乗り出そうとしている。彼の片腕である賭博師ネッド・ボーモントは、ジャネットとマドヴィッグの結婚には難色を示していた。そんな彼が、ヘンリーの息子テイラーが通りで殺されているのを偶然発見。ボーモンはマドヴィッグに頼まれて、犯人探しを始める。ところがもう一人の町の実力者オロリーもネッドに誘いをかけて。

 本作はハードボイルドの元祖らしい。多くを語らないネッドは「クールで素敵!」と女性ファンを増やしそうだ。内面描写をしないハードボイルド故である。百歩譲ってボギー演じるサム・スペードがべらべら喋ったりゲラゲラ笑う場面なんか見たくないはずだ。ハードボイルドは寡黙な主人公だから、あれこれ読者が想像できる余地があって、かっこ良く見えるのだ。

 主人公をかっこよく見せる上で、もう一つ欠かせないのは、他人や世間の尺度ではなく、自分の矜持を大切にする事だ。客観的に見て絶対損に見え、実際に酷い目にあっても、自分がこうと決めたら揺るがない姿勢を見せ続ける。ネッドも甘い誘いをかけられるが、友を選んでしっかり断り、当然ボコられる。

 他の感想にもあったが、ネッドとマドヴィッグの関係が若干ブロマンスを帯びている。招かれてもいない夕食に出かけるために、マドヴィッグがしたおしゃれにネッドが茶々を入れたり、ネッドがマドヴィッグから離れようとすると、二人の間でかなり長いすったもんだの痴話げんかめいたやりとりがあったり。映画ではそういった印象は受けなかった。

 2009年に英国ガーディアン紙が発表した、「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」選出。

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星落秋風五丈原
星落秋風五丈原 さん本が好き!1級(書評数:2327 件)

2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。

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