ぱせりさん
レビュアー:
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最後の日々をあのスタイルズ荘で。
これが、名探偵ポアロの最後の事件になる。そして、この作品が発表されてまもなく、作者アガサ・クリスティーも世を去ったとのことだ。(作品の発表は1975年だけれど、実際に書かれたのは1940年代、最二次世界大戦のさ中とのこと)
舞台はスタイルズ荘――記念すべきポアロシリーズ第一作の舞台だった名邸スタイルズ荘が、ポアロの最後の事件の舞台となるなんて、その巡りあわせの妙も感慨深い。
今は高級下宿となっているスタイルズ荘で、すっかり弱ってしまったポアロは、最後の日々を過ごしている。そこに、盟友ヘイスティングズが合流する。
実はここの住人たちのなかに、過去の五つの殺人事件に関わったとされる「X」が隠れているのだという。そして、ここで新しい殺人事件が起きようとしているのだと、ポアロはいうのだ。ポアロは、すでにXが誰なのかわかっているが、ある事情により、ヘイスティングズにはまだ明かせないのだという。ヘイスティングズは、自由に歩き回ることのできなくなってしまったポアロの足となり耳目となり、力を貸してほしいと懇願されたのだった。
そうして始まったスタイルズ荘の新しい怪事件に、読者としては最後の最後まで振り回される。
これまで読んだポアロシリーズの事件の、印象的な場面をなぞるような出来事が、あちこちに仕込まれていて、これまでのシリーズの軌跡を辿るようで懐かしかった。
それにしても本当にこれが最後の事件なのだ。それが、ただ名残惜しい、という感想で終われないなんて。ああ、まさかまさか、こんなことが!!
わたしが初めて読んだクリスティーのシリーズが『スタイルズ荘の怪事件』だった。シリーズを少しずつ読み進めてきて、五年になる。
ポアロたち名探偵たちが老いていく様を見守る読書でもあったけれど、ここにきて、老いたのは名探偵だけではないこと、登場人物みんなそれぞれにもう若くはないことに気がつく。
老たちはこの世を去るぎりぎりまで、この世に残る者たちの事を心患う。見返りを求めることもなく。
一方で、次の世代たちは、振り返ることなく、ちょっとだけ明るく前をむく。そっとバトンが渡ったようなイメージだ。
……ありがとう、ポアロ。ありがとうクリスティー。
舞台はスタイルズ荘――記念すべきポアロシリーズ第一作の舞台だった名邸スタイルズ荘が、ポアロの最後の事件の舞台となるなんて、その巡りあわせの妙も感慨深い。
今は高級下宿となっているスタイルズ荘で、すっかり弱ってしまったポアロは、最後の日々を過ごしている。そこに、盟友ヘイスティングズが合流する。
実はここの住人たちのなかに、過去の五つの殺人事件に関わったとされる「X」が隠れているのだという。そして、ここで新しい殺人事件が起きようとしているのだと、ポアロはいうのだ。ポアロは、すでにXが誰なのかわかっているが、ある事情により、ヘイスティングズにはまだ明かせないのだという。ヘイスティングズは、自由に歩き回ることのできなくなってしまったポアロの足となり耳目となり、力を貸してほしいと懇願されたのだった。
そうして始まったスタイルズ荘の新しい怪事件に、読者としては最後の最後まで振り回される。
これまで読んだポアロシリーズの事件の、印象的な場面をなぞるような出来事が、あちこちに仕込まれていて、これまでのシリーズの軌跡を辿るようで懐かしかった。
それにしても本当にこれが最後の事件なのだ。それが、ただ名残惜しい、という感想で終われないなんて。ああ、まさかまさか、こんなことが!!
わたしが初めて読んだクリスティーのシリーズが『スタイルズ荘の怪事件』だった。シリーズを少しずつ読み進めてきて、五年になる。
ポアロたち名探偵たちが老いていく様を見守る読書でもあったけれど、ここにきて、老いたのは名探偵だけではないこと、登場人物みんなそれぞれにもう若くはないことに気がつく。
老たちはこの世を去るぎりぎりまで、この世に残る者たちの事を心患う。見返りを求めることもなく。
一方で、次の世代たちは、振り返ることなく、ちょっとだけ明るく前をむく。そっとバトンが渡ったようなイメージだ。
……ありがとう、ポアロ。ありがとうクリスティー。
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いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。
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- 出版社:早川書房
- ページ数:364
- ISBN:9784151300332
- 発売日:2004年11月18日
- 価格:672円
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