千年の祈り



全部が全部、素晴らしいとは言わないまでも、読む価値のある短篇集でした。

本が好き! 3級
書評数:12 件
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全部が全部、素晴らしいとは言わないまでも、読む価値のある短篇集でした。




これまでと違って抑えの効いた、哀愁漂う作品でした。サラ・ウォーターズの上手さが際立ってました。





ガルシア=マルケスは「百年の孤独」だけじゃない、とあらためて認識させられました。一読でグッと来なくても、あいだを開けての再読をオススメします。





期待していたものを遙かに超える内容の濃さ、情報量の多さ、奥行きの深さに、本当に読んでよかったと思いました。単なる作家の伝記という枠で収まる本ではなかったです。



自伝的ということで、ストーリー的にはかなり渋めでしたが、アリス・マンローの作家としての凄さもまた存分に堪能できる短編集でした。やっぱり稀有な作家ですねえ。




変にドラマティックな話にしてあったりとか、犬の擬人化がされていたりとか、そういう演出、小細工は一切ありません。事実がシンプルに、でも思いを込めて書いてあって、けっこうジーンとしてしまいました。


すっごく勉強にはなりました。ただ、この本を買っただけではどうにもならないんですよね。ウォーターソフナーを買えそうにない私たちには宝の持ち腐れ的になってしまいそうな情報だったかもです。




13編中の11編が収録された短編集「青い犬の目」は以前に読んでいたのですが、こちらで読んだほうがずっと印象深く、良かったです。ジワジワ沁みてきました〜。まだガルシア=マルケス作品を読んだことのない方は、これの前に代表作「百年の孤独」を読んでもいいし、これを読んでから「百年の孤独」でも良いのではないかと思いました。共通するところがかなりあります。





23編(実質26編)の短編を次々と読み進めるうちに、完全にジュディ・バドニッツの世界へハマっていけますよ。幻想的でブラック、悲観的でやさしい不思議ワールドでした。





これは一生ものですね♪ 至れり尽くせりの内容にカラーの大判、完璧ですっっ。





凄い小説を読んでしまった、その一言に尽きます。読んでいるうちに物語に飲み込まれ、読後はしばらく呆然としてしまいました。




エンタメ系小説としては、まさに好みのゾーンで楽しめました。サスペンス小説+ホラーファンタジーといった味わいで、掘り下げすぎない精神医学のテイストを心地よく堪能いたしました。けっこうオススメかも。