南ポルトガルの笑う犬―アルファローバの木の下で





「(カベッサは)驚くべきことに自立した犬であった。彼は野良犬ではなかったけれど、飼い犬でもない。誰にも頼らず、一人で、いや一匹で生きているのであった」(本書収録『カベッサ伝説より』)
本書のことを知ったのは、Wings to Flyさんと、ぽんきちさんの書評によってでした。それが20…

本が好き! 1級
書評数:2305 件
得票数:44117 票
「本職」は、本というより映画です。
本を読んでいても、映画好きの視点から、内容を見ていることが多いようです。





「(カベッサは)驚くべきことに自立した犬であった。彼は野良犬ではなかったけれど、飼い犬でもない。誰にも頼らず、一人で、いや一匹で生きているのであった」(本書収録『カベッサ伝説より』)
本書のことを知ったのは、Wings to Flyさんと、ぽんきちさんの書評によってでした。それが20…



「"God bless... God damn"(神のご加護を……こんちくしょう)」 Wikipediaによると、これがジェイムズ・サーバーの今際の際の言葉だったそうです。
ジェイムズ・サーバー(1894-1961)は、アメリカの作家・イラストレータ・漫画家で、雑誌『ニュー…




本書を読むと、内田百閒はなんと悟りと無縁の老人だったのだろう、という印象を持つかもしれませんが、初めて飼った猫が産まれたての子猫で、1年余りで失踪すればこうなっても無理はないような気もします。
本書には、内田百閒(1889-1971)が書いた、小さな野良猫だったノラが自宅に住みついたものの、そ…



「彼らは無駄な競争をしている。その通り、彼らは何も産み出さない。しかし、ここにいる人たちは、陰鬱な男たちですら、彼らを見て幸せな気分になっている。これをお前はどう説明する?」(本書より)
自転車競技に詳しくないもので、ツール・ド・フランスは知っていたのですが、イタリアにもジロ・ディ・イタ…



「ネコ族のために、働けて 嬉しいと、言いなさい」(本書裏表紙より)
今年出版された本書には、二匹の猫様が登場し、下僕である人間との生活が描かれています。 キジネコ…




マデリン(マディ)・フィンという少女と、セラピー・ドッグの関わり合いを中心に据えたシリーズの2020年刊の第三作です。セラピー・ドッグになるのは、犬にとっても大変だということを教えてくれる絵本です。
マデリン(マディ)・フィンという少女を主人公にする、このシリーズは、セラピー・ドッグをお話の中心に据…




「(セラピー・ドッグの)ボニーはね、シェルターってところから、きたのよ」「シェルター?」 ボニーのおかげで、本を読むのが楽しくなった女の子マディが、シェルターの動物たちに何ができるか考える絵本です。
マデリン・フィン、愛称マディという女の子を主人公とする、2019年刊のシリーズ第二作です。第一作『わ…





原文がどうなっているのかは分かりませんが、映画のストップ・モーションでおなじみの人形と、関西弁の語りがよく合っています。なにより、犬の気持が、と~ってもよく分かる本になっているのではないでしょうか。
「ひとは ぼくを グスリと よぶんや。 すんねんまえの ことや。 いえは スーパーやっ…




「ヨウムの寿命は平均50年だよ」(登場人物の台詞) ポルトガル語で赤ちゃん、小さい子を意味するネネという名の三歳児程度の知能を持つヨウム、つまり一生の間三歳のままの鳥の存在が象徴的な小説です。
私が参加している、かもめ通信さん主催の「#やりなおし世界文学 読書会」は、津村記久子の同題の本の中で…




「『ああ、そうか』 とても簡単な、彼らが現れた答えにたどり着いた。 『みんな、野球がやりたかったんだ』」(表題作より)
本書は、万城目学が2023年に刊行した単行本で、京都を舞台にした二つの作品、表題作の中篇と短篇が一作…




「ねえ、おじいちゃん、たまにはうそをついてもいいんだよね?」 「なんだって?」 「うそをつくのは悪いことじゃないよね?」 「ああ、ときには、うそは真実に勝るぞ」(本書の「ぼく」とおじいちゃんの会話より)
こまちさんの書評で本書のことを知りました。感謝いたします。 いきなり、私事ですが、私には故郷と…





「お母さまは、じぶんは『死』にむかいながら、わたしを『生』にむかってなげたのです」(本書より)「この文章に出会った時、私は『この絵本をぼくに翻訳させてください』と言った」(訳者柳田邦男のあとがきより)
calmelavieさんの素晴らしい書評に惹かれて、手に取りました。2003年刊の本書は、アメリカ人…





「みーんな ほっぺが まっかだぞう おてては どろんこ まっくろだぞう ぼくは おおきなぞうだぞう」 ひとりぼっちのぞうのぐるんぱは、仕事をいくつも失敗しますが、最後に子供たちに喜んでもらえる仕事を見つけます。
数十年もサラリーマン生活をしていて学んだことの一つは、万人に理解され、評価される仕事などないというこ…




「あの夏のおわり、いまでもはっきりとおもいだせる公園での日々 ぼくは、1匹のこねこにひろわれました」この印象的な出だしの文章と、同じくらい印象的な最後の文章を持つ、美しい絵本です。
保護者から捨てられたり、はぐれたりした弱者、血のつながっていない弱者が肩を寄せ合って「かぞく」として…




正確には、あらゆる動物―犬、猫、人間だけでなく、アザラシも!―のなかで、傷を負っていたり、障害を持っている者を感じ取り、何とか救おうとする犬ジニーと飼い主フィリップをめぐるノン・フィクションです。
私の、犬と猫を同時に飼っている経験から言うと、彼らが仲良くできるかどうかは、犬が猫好きかどうかにかか…



本書には、チャペックが飼っていた様々な犬猫が登場しますが、わが家にも、犬のチャチャ(歳をとってシロチャになってきましたが)と、猫の親子デコとハッチがいます。
本書の原題は『私は犬と猫を飼っていた』だそうです。ただ、内容は犬について語ってある部分の方が、圧倒的…





「復活させたいと願ったのは、むしろ、本書の主人公チャンスの不思議な魅力、その姿である」(訳者あとがきより)本作は1977年に『預言者』という題で訳され、本書は2005年に刊行された新訳です。
この年末年始は、録画してあった映画やDVDの映画をずいぶん観ましたが、『チャンス』(1979年)もそ…




「失礼ですが、どのようなお仕事を?」「プロレスラーですよ」「私も何度か観たことがあります。ずいぶんと手荒なお仕事ですよね。…あれはすべて“でっちあげ”なんでしょ?」「そう、“でっちあげ”ですよ」
70年代、80年代は、プロレスの黄金時代と言っても良いでしょう。その頃日本で活躍した外人レスラーの中…