熊野でプルーストを読む
物語へ変貌する端緒を垣間見るようなエッセイ集。
鏑木清方の「築地明石町」から『発熱』という作品を、突然やってきた眼の痛みから、五十年前の家族旅行の…
本が好き! 2級
書評数:23 件
得票数:271 票
子育てと家事の合間に本を読みます。
読むことと書くこと、どちらも好きです。
物語へ変貌する端緒を垣間見るようなエッセイ集。
鏑木清方の「築地明石町」から『発熱』という作品を、突然やってきた眼の痛みから、五十年前の家族旅行の…
読み終わって本を閉じたとき、この作品の中で生きている人々とお別れするのが辛かった。
思えば長いお付き合いでした。 「アンナ・カレーニナ」上巻を読みだしてから、もうかれこれ2カ月は経…
心が折れそうになったときの本との付き合い方。
目次は以下の通りです。 序章 生きづらい時代だから本を読む 第一章 不安をしずめる…
爽やかな表紙とは一見裏腹な内容。けれど、悲観主義に徹した先に見えてくるものは、この青空のように明晰で晴朗な清々しさなのかもしれない。
青空に浮かぶ白い雲。その上に黒字で大きく書かれた著者の名。 そしてタイトルは「幸福について」。 …
漱石のまなざしは、どこまでも澄んでいた。
のちに「修善寺の大患」とよばれる、明治43年8月の大吐血を経験した漱石が、その前後を振り返って綴っ…
現実と虚構、過去と未来。その間のなだらかな境界そのものが描かれている。
なんだか最近疲れているなあ、と思いつつ入った図書館で偶然見つけた絵本。 船(ボート?)に乗…
人間の幸福と不幸、喜びと悲しみがあふれるほどに詰っている。
600ページ余りの文庫本の中に、結婚、嫉妬、死、労働など、多くの人が人生の中で一度は経験するあらゆ…
文学(小説)について真っ向から述べる。
いささかとっつきにくいタイトルではある。 目次は以下のとおり(章名のみ)。 …
自らを支配しようとするものに対して必死に抗う女たち。
エストニアという国。 私は、その国名を聞いたことはあっても、地図で正確な場所を指し示すことはでき…
ゆっくりと本を読むことの幸福。
ああ、この方と本のことについてじっくりと語りあいたい。 といっても、その人はもうこの世にはいない…
『アンナ・カレーニナ』というタイトルだけれど、主人公は決して彼女だけではない。
学生時代ならともかく、今の生活では上、中、下巻にわたる世界的大作を一気に読む、というのは到底無理な…
すべての娘は、母からの遺産を受け継ぎ生きてゆく宿命にあるのかもしれない。
人生において特別な何物をも為し得なかった平凡な50代の女。 この小説は、そんな「小説にもならな…
三つの、異なる時の物語が重なり合って、その場所は妖しい魅力を放ちはじめる。
現代の象徴であるスカイツリー。 樋口一葉の『たけくらべ』。 そして『かぐや姫』。 …
中学の3年間をかけて、たった一つの作品を読み込む。
中学校3年間をかけて、中勘助の『銀の匙』を読み込む。 そんな、究極のスローリーディングともいえ…
原稿用紙一枚でも、こんなに多様で深い世界を表わすことができるんですね。
著者が大学で行った「文章表現」に関する講義の内容を中心にまとめられたもの。 人間がことばや文…
『犬の力』と共通する「フィクションの力」。
前作『犬の力』を読んだ者としては、どうしてもそれと比べてしまう。『犬の力』を基準にして「おもしろい…
嬉しいときも辛いときも、いつも古典がそばにいた。
「心のバネをもつ人」。下降線になった心をちょっとした自分なりの工夫で上向きに変えていく、そのちょ…
タイトルどおり西洋美術史のコンパクトな入門書。絵画とは「見る」ものではなく「読む」ものだったのですね。
ある分野の専門家が、初心者に向けて丁寧で的確な入門書を書いてくれるのはありがたい。 読み手とし…
飲んで、女性と寝て、残りの時間は少しだけ仕事。様々な職を経験しながらどれ一つとしてモノにはならないけれど、ダメダメ男が身を張って書いた「文学」とは対極にある渾身の?小説。
チャールズ・ブコウスキー。その名は聞いたことはあったけれど、今まで読んだことはなし。 今回、縁…
世間的な幸福とは外れたところに生きる彼女たちを支えているのは、それぞれが持つ「芸」。染物や活花、丹青をよすがに生を刻む彼女たちは、けれど人としてのもっとも根源的な喜びを手に入れているのかもしれない。
子供のころ、いくつかの習い事をしていた。ピアノ、習字、珠算・・・。当時はそれなりに熱心に練習したつ…