秘密
主人公の謎、主人公を尾行する男、目まぐるしい展開、新たに起こる出来事が読者を釘付けにする。 主人公を取り巻く人間関係が非常に心地よい。
【あらすじ】 片桐宗春は武家勤め時代にやむない事情で同僚を斬って、討手から逃れるため江戸に隠れてい…
本が好き! 1級
書評数:344 件
得票数:1538 票
小説を中心に書評を書いている、藤沢周平と星新一中毒者。
最近は時代小説を読む割合が多いです。
主人公の謎、主人公を尾行する男、目まぐるしい展開、新たに起こる出来事が読者を釘付けにする。 主人公を取り巻く人間関係が非常に心地よい。
【あらすじ】 片桐宗春は武家勤め時代にやむない事情で同僚を斬って、討手から逃れるため江戸に隠れてい…
国定忠治を追う夏目影次郎が南蛮外衣を振り回し敵をバタバタと倒す完全無欠のヒーロー時代劇。 「狩り」シリーズ第十三弾。
【あらすじ】 夏目影二郎の前に現れた渡世人・参次。 参次は、奥州へ姿を消した国定忠治の使いとして…
『弥勒』によって救われた二人の男が光と影を歩み、寂寥が読者を締め付ける。 物語を楽しめたが、人物描写に『あれこれと多くの色を使いすぎて、結果何色か分からなくなっていた』という印象が残った。
【あらすじ】 まだ風が冷たいある日、女が川に身投げした。女は遠野屋清之介の女房・おりん。 だれも…
全五編の自選恐怖小説集。 リアリティーに欠ける描写、違和感を感じるセリフが全作に共通しており、展開は楽しめたんだけどなぁという印象の作品だった。
ホラー小説だがそれほど恐くはない。 それほど細かい描写をしない、赤川氏のテンポのいい展開がよけいに…
ミステリーが読者を引き込み、女医の『いやらしい悪』が現代の悪魔を浮き彫りにさせる。 推理を楽しむという趣向の小説ではなく、『女医』に潜む悪魔についての心理描写が強く印象に残る。
一応ミステリーにジャンル分けされているが、純粋に推理を楽しむという趣向の小説ではなく、『女医』に潜む…
粋と縁とカラッとした爽やかさが魅力のサクセスストーリー。 江戸・浅草で一膳飯屋『だいこん』を営むつばきと家族の物語。
【あらすじ】 つばきが四歳のとき、父・安治が博打で借金を作り、そのせいで母・みのぶは働きにでるよう…
蜂須賀小六と前野小右衛門の長い歳月をかけた働きが夢となって消えてゆく。 蜂須賀小六を主人公とした小説で、樓岸(ろうのきし)とは石山本願寺が要害を築いていた地名であり、蜂須賀小六の館があった場所でもある。
蜂須賀小六と前野小右衛門の長い歳月をかけた働きが夢となって消えてゆく。 蜂須賀小六を主人公とした小…
光成と兼続の密謀が家康を襲い、密謀を支える忍びたちが躍動する。 関ヶ原の戦いのきっかけとなった、石田三成と直江兼続の「密謀」をテーマとした直江兼続が主人公の小説。
関ヶ原の戦いのきっかけとなった石田三成と直江兼続の「密謀」をテーマとした直江兼続が主人公の小説。 …
全5篇の短編小説集。 大富豪の男が、秘書を通じて見ず知らず人へ一億円を進呈し、その人がどのように一億円を使うのか、その人物の人生がどのように変わるのかを楽しむというもの。
全5篇の短編小説集。 全ての短編に一つのテーマがあり、遺産を残す親族もない大富豪の男が、秘書を通じ…
憑神による苦悩の中に見いだす限りある命を持つ人間の輝き。 ユーモラスな物語を思いきや、途中から大真面目な内容に変わっていき、バランスの悪さを感じる。つまらなくはない。
【あらすじ】 江戸末期、御徒士組の別所彦四郎は不遇に喘いでいた。 別所家の次男である彦四郎は、よ…
暗くて明るくて湿っぽくないカラッと爽やかな5編。 不遇により討手を差し向けられる人物とか、仲間が闇討ちに失敗し死んでしまうとか、暗くなりがちな内容には陰鬱な暗さは感じられない。
全体を通して感じられるのは、カラッとした爽やかさである。 不遇により討手を差し向けられる人物とか、…
泥沼の朝鮮出兵、混乱の国内情勢、甲賀と草の者の白熱の追走劇。「真田太平記」第五巻。 朝鮮出兵泥沼化から、石田三成の佐和山蟄居まで。
朝鮮出兵がいよいよ泥沼の様相となってき、そして秀頼が誕生するところから、秀吉、前田利家の死去後の文治…
朝鮮出兵の嫌戦感と悲壮感の裏で行われる忍びたちの壮絶な闘い。「真田太平記」第四巻。 朝鮮へ向けて肥前・名護屋に大名集結から、朝鮮出兵泥沼化による兵たちの嫌戦まで。
本巻は、秀吉の朝鮮出兵に供え、肥前・名護屋へ大名たちが集結しだすところから、朝鮮上陸後、勝利を重ね続…
徳川を翻弄する真田の姿が痛快。「真田太平記」第三巻。 徳川と真田が激突する第一次上田合戦から、秀吉の朝鮮出兵が間近に迫っている所まで。
本巻の見所は、やはり上田合戦。 『沼田の北条へ引き渡し』を拒んだ真田に対する徳川の示威行動だ。 …
真田昌幸の処世術が光り樋口角兵衛の狂気が真田家の騒動を予感させる。「真田太平記」の第二巻。 信長の死の一年後から、第一次上田合戦まで。
本巻は、織田信長が本能寺にて倒れてのち、一年経ったところから始まり、第一次上田合戦がいよいよ現実的な…
武田の壊滅と信長の破滅が真田家を翻弄し草の者が真田家を支える。 全12巻からなる「真田太平記」の第一巻。
そこそこの厚さがある本書だが、あっと言う間に一日で読み終えてしまった。 それほどに読みやすく、面白…
深川の同心・井筒平四郎、美形の甥っ子・弓之助が活躍する「ぼんくら」の続編。 各話の糸が絡み合いだしてやがて一本の糸になる人間くさく分別くさい時代小説。
本書は「ぼんくら」の続編だが、本作だけでも十分に楽しめる内容となっている。 前作で起きた湊屋事件。…
鉄瓶長屋を襲う数々の事件の謎が寂寥感を駆り立てるミステリー叙情小説。続編は「日暮らし」。 主人公・平四郎のセンチメンタリズムが少々鬱陶しい。
物語の構成は、大きく分けるとプロローグ(『殺し屋』~『拝む男』)、本章(『長い影』)、エピローグ(『…
友情と純愛と政争と剣の道、幾本もの物語が交差する長編小説。 名作だと言われているが、凝縮され濃厚な藤沢作品の魅力が薄く感じた。
本書を読む前に、映画版[蝉しぐれ]を観ていたこともあり、読み始めはその映像が頭に浮かんできて、読み易…
池波正太郎のさまざまな息遣いが聞こえる万華鏡のようなエッセイ集。 池波正太郎が40歳前後に書いたエッセイが収録されている。
本書は池波氏が40歳前後に書いたエッセイで、先日読んだ「日曜日の万年筆」同様、幼少期、戦時中、劇作家…