承認をめぐる病

承認を説明するにあたり、エヴァンゲリオンの登場人物、シンジ、アスカ、レイの三人を「ひきこもり」「境界性人格障害」「自閉症スペクトラム障害」として論じたあたりは本書のイメージに合致するのかもしれない。
「テーマが散漫でわかりにくい」 単行本が出版された当初、そんな感想が多かったようだが、著者…

本が好き! 1級
書評数:1073 件
得票数:19943 票
文学作品、ミステリ、SF、時代小説とあまりジャンルにこだわらずに読んでいますが、最近のものより古い作品を選びがちです。
2019年以降、小説の比率が下がって、半分ぐらいは学術的な本を読むようになりました。哲学、心理学、文化人類学、民俗学、生物学、科学、数学、歴史等々こちらもジャンルを絞りきれません。おまけに読む速度も落ちる一方です。
2022年献本以外、評価の星をつけるのをやめることにしました。自身いくつをつけるか迷うことも多く、また評価基準は人それぞれ、良さは書評の内容でご判断いただければと思います。
プロフィール画像は自作の切り絵です。不定期に替えていきます。飽きっぽくてすみません。

承認を説明するにあたり、エヴァンゲリオンの登場人物、シンジ、アスカ、レイの三人を「ひきこもり」「境界性人格障害」「自閉症スペクトラム障害」として論じたあたりは本書のイメージに合致するのかもしれない。
「テーマが散漫でわかりにくい」 単行本が出版された当初、そんな感想が多かったようだが、著者…

逝く人の気持ち。残された人の想い。ブラック・ジャックのいない世界で必要とされるのは死に神の化身ドクター・キリコの方だろうか。
先日は義父の命日で七回忌の法要を行った。 義父の最期を迎えるまでの数日を振り返ると、生死の狭間…

あいまいこそが可能性
「記憶というものは正確じゃダメで、あいまいであることが絶対必要」 何故なら、記憶と完全一致…

半世紀という時間の流れを感じさせながら、まったく古びていない現代に通ずる問題を突きつける。長寿は本当に幸せなことなのか。自分にとって家族にとって。
自分もこんなふうに老いていくのだろうか。 老母の突然の死を迎え「恍惚の人」となってしまった…

超高齢化社会。増え続ける認知症患者。現代日本はそれらを受け入れる体制はできているのだろうか。
昔、母親が育てていた花が、庭先から持ち去られる事件が続いたことがあった。丹精こめて育て、ようやく花…

罪を憎んで人を憎まず。とは言え、犯した罪について不問とし、そこに至った原因だけを見ようとするのはなかなかにむずかしい。
日本社会は罪を犯した者へ向ける目が厳しく、罪を償うことばかり重視され、更生の道についてはあまり考え…




一欠片の陰りもない純白も、光の欠片も見えぬ漆黒も、この世に存在はせぬ。 すべてはグレーの中の階層に属している。その境界はひどく曖昧だ。
自らのことをよく知り、 強みを活かし、弱味を助けてもらい、 幸せになるのではなく、 幸せで…





『日本沈没』とは対極の「静かなる破滅」。SFとして傑作なのはもちろんだが、人類の文明や思想についても考えさせられる。
沈む大地、吠える山。 対して、 静かなる破滅。見えない恐怖。 それは、人類の愚かさの果…





処方箋が必要な方はどうぞご遠慮なく。正解は書いていませんので、ご了承ください。
こころの処方箋たる55章。 どの章も4ページほどの短い語り。 タイトルで「何のことかな…





性差についての研究が、どれもこれも信じられなくなる。人間を科学する難しさ。人は誰しもバイアスから逃れることはできない。それを理解した上で物事を考える大事さ。
タイトルからすると性差についての論が中心のようにも思えるが、それよりも科学への盲目的信用への警告、…




フロイトは心理学ではないと言う。それがもう、驚き。心理学や精神医学、精神分析。多くのものがごちゃ混ぜになっていたのが歴史を紐解いてもらって整理できた。
若い頃、フロイトやユングに出会って心理学に興味を持った。 同様の方も多いと思う。 が、フロイト…




世の中は面倒くさい事がたくさん。対処が上手くできず何年も家から出られなくなる人もあるようだ。上手に付き合っていけると良いのだが。/思うところが多くて少しまとまりのない書評になりました。
人と会うのが面倒くさい。 会社(学校)へ行くのが面倒くさい。 食事をするのが面倒くさい。 …



「新型うつ」は若い者のワガママなのか。
うちの会社でも、心を病んで仕事を休む人が後を絶たない。 彼らに対する周りの反応は概ね批判的だ。…





「一つのかがり火が消え失せても、それが輝いたということは意味を持っていた。しかし、燃えない一つのかがり火を次々と永遠に持ち続けても、それは何の意味も持たない」
もしも自分の命が、あとわずかの時間しか残されていないと分かったら。 未来に希望など持てず、現在に…



自分で看る事だけが孝行ではない
介護に明け暮れていると、世間と自分達の暮らしに隔絶を感じる。 それは視野が狭まったために生じる錯覚…





死と向き合うために。
幸い、まだ自分や家族にとって「闘病」というものは身近にはなかった。 しかし、いずれ親も年を取っ…



脳科学ではなく「冒険」
大学時代に大分コリン·ウィルソンの本を読んだ。本作は卒業してから読んだものだが、久し振りに読む…