天の声・枯草熱

謎の死を解明するために、死亡した人たちの様々な共通点を分析していくのだが。ソラリスを超えるとも言えそうな傑作「枯草熱」。そして、ソラリス的な要素が強い「天の声」。2作を収める作品集。
枯草熱 この作品は、小説としての完成度がとても高い。登場人物が宇宙飛行士であること以外は…
本が好き! 2級
書評数:13 件
得票数:145 票
コアな文学が好き。
安部公房やベケットとか。
文字表現の限界を知りたい。

謎の死を解明するために、死亡した人たちの様々な共通点を分析していくのだが。ソラリスを超えるとも言えそうな傑作「枯草熱」。そして、ソラリス的な要素が強い「天の声」。2作を収める作品集。
枯草熱 この作品は、小説としての完成度がとても高い。登場人物が宇宙飛行士であること以外は…

そして、天文台にたどり着き、そして、不自然でとてつもなく大きな水たまりへとたどり着く。そこに示された四次元世界の三次元を限界とする我々の認識力、いや、この世界の現実。孤立した座標系。
共作 現代美術家ジャック・モノリと哲学者ジャン=フランソワ・リオタールによる共作。と…

初恋の人を求めて。ある男。そして、その相手の女性は、やがて世間的にもすばらしい人物と結婚して。そして、その夫が亡くなったとき、お互いにずいぶんと年を取ってしまっていた。51年と9ヶ月と4日。
概略 初恋の人を求めて。ある男。そして、その相手の女性は、やがて世間的にもすばらしい人物と結婚…

この小さな物語は、いずれも、不条理に描かれている。それは、時に何も意味をなさないような出来事を淡々と描いているだけのようであり、そして、時には、残虐さを感じさせるような出来事を無感情に描いてみたり。
ダニイル・ハルムス ダニイル・ハルムスというロシアの作家の短編集、「ハルムスの世界」という作品…

当初抽象的に始まった物語が徐々に、具体性を増しながら進むものの、最終的には情景は部分的なものへと簡略化されていき、登場人物も減少していく。そして、再度抽象度をました状態で終わり、そして、始まる。
はまむぎ レーモン・クノーは実験的な文学者としてよく知られる作家。その処女作にして代表作である…

ページに始まって、世界に終わる作品。そう、様々な空間とは、小さな空間からそれを包括する次のレイヤーに当たる空間を次々に描写して行く作品。
ジョルジュ・ペレック ジョルジュ・ペレックは、実験文学集団「ウリポ」のメンバーでもあるフラ…

30代のヘンリー・ミラー。その生活がひたすらに描かれるのがこの作品。しかし、そこには堕落と呼べるような物しか無くて、常に金銭に困りながらも、人々に頼りながら、愛の生活を送る。
さらけ出す 彼の作品は、基本的には彼の経験によっていて、半ば私小説といっていいはず。ただし、何…

しかし、この作品は、難解です。猟兵をめぐるある村での事件を扱っているという感じなのだろうけれども、はっきり言って、情景は全く浮かんでこないほどに、文章と言葉が自由にあふれ出している。
サーシャ・ソコロフ ロシアの作家サーシャ・ソコロフによる、「犬と狼のはざまで」を読んでみた。こ…

1950年から2000年に至る半世紀に渡る物語が語られる。語り手西門鬧はロバ、牛、豚、犬、猿、大頭の人間へと生まれ変わりながら、一族を取り巻く境遇の変化を中国の歴史的な変化とともに描き上げていく。
一族の物語 莫言の長編はどれも長いのだけれども、この作品も同じくで、上下巻に渡る大著。この…

ポータブル文学小史とは「作品が軽くてトランクに収まるということ」。決して、長大ではないということは翻せば、物語るのではなくて、奇異に言葉を並べる作家であるということだろう。そんな人々の特性が描かれる。
シャンディ この作品は、タイトルだけからすると、文学の歴史を語るような作品に思えるだろうけ…

この作品、「消去」を執筆することを決断する主人公。何を「消去」しているのか、家族なのか、ヴォルフスエックなのか、子供時代なのか、自分自身なのか、それとも、この憎しみを抱く自分自身の感情をなのか。
トーマス・ベルンハルト 20世紀オーストリアの作家、ドイツ語圏文学における重要作家の一人、トー…

ノンフィクションであり、ドキュメンタリーであり、メタ文学な、三種類の要素が入り交じりながら、作品は進む。それらが入り交じりながら、作品はハイドリヒ襲撃とその報復というクライマックスへと迫っていく。
今回紹介するのは、フランスの作家、ローラン・ビネによる作品「HHhH」。この作品によって、ローラ…
![トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51yiCWpXq8L._SL160_.jpg)
圧倒的。いや、まったく理解できていない。無理やり、理解したつもりなっている。でも、現実世界というのもまたそうであるに違いない。 その現実が現実であるが故もまた、ここに描き出されているようにも感じる。
トマス・ピンチョン 現代アメリカ文学の頂点に立つといって過言ではない作家、トマス・ピンチョ…