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青玉楼主人

青玉楼主人 さん

本が好き! 1級
書評数:317 件
得票数:6342 票

散歩と読書の毎日。心に残った本について、心覚えに書評らしきものを書いています。
外国文学が好きで、よく読みます。

書評 (317)

十六の夢の物語: M・パヴィッチ幻想短編集

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十六の夢の物語: M・パヴィッチ幻想短編集

七つの短篇集から訳者選りすぐりの十六の短篇を収めたアンソロジー。短いだけに濃縮されたような味わいを詰め込んだ絶品の一品料理の品々。どこから手をつけようがお好み次第。セルビア由来の珍味佳肴をご賞味あれ

『十六の夢の物語』とあるとおり、夢や、予兆、記憶、相似といった互いに異なる時代や場所で起きた複数の事…

投票(22コメント(0)2021-11-27

小説ムッソリーニ 世紀の落とし子 上

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小説ムッソリーニ 世紀の落とし子 上

今なぜ、ムッソリーニなのか? 彼が台頭してきた時期、世界はスペイン風邪に冒され、国民は意志阻喪し、敗残兵は疲れ倦んでいた。国民の鬱屈した負の感情が、心の隙間を埋めるものを激しく欲する。他人事ではない。

<上下巻合わせての評です> これは、戦後イタリアではじめて真正面からファシズムを描いた小説であ…

投票(20コメント(0)2021-09-25

アウグストゥス

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アウグストゥス

ユリウス・カエサルの死に始まり、アウグストゥスの死をもって幕を閉じる歴史小説である。思いがけなくローマを統べることになった人物の、稀有な半生とそれ故に引きうけざるを得なくなった孤独が読者の胸を撃つ。

ジョン・ウィリアムズは長篇小説を四冊書いているが、一作目は自己の設けた基準に達しておらず、自作にカウ…

投票(22コメント(0)2020-10-03

リンカーンとさまよえる霊魂たち

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リンカーンとさまよえる霊魂たち

リンカーンの愛息ウィリーの死に纏わる史実をもとにした、大量の記録の引用による歴史小説であり、抱腹絶倒のユーモアが炸裂するナンセンス極まりない幽霊譚。人の生と死、魂について、いま一度考えさせてくれる。

歳をとるにつれ、死のことを考えることが増えてくる。それほど頻繁でもないし、それほど深刻でもないのだが…

投票(22コメント(0)2020-02-09

ハバナ零年

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ハバナ零年

「ワトソンくん、用があるからちょっと来たまえ」という文句を読んだらあなたは何を想像する。すわ事件か、と思うに決まってる。でも残念ながらそう言ったのはホームズではない。電話の発明者ベルである。それが…

電話を発明したのは誰か、ときかれたら、たとえあなたが図書館で『発明発見物語』を読んでいてもいなくても…

投票(21コメント(0)2019-03-28

ヴェネツィアの出版人

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ヴェネツィアの出版人

ピコ・デラ・ミランドラ、エラスムス、サヴォナローラといったルネサンス史上に名を連ねる人物を大胆に配しながら、商業印刷の父と称される人物アルド・マヌティオの運命的な活躍を描いたビブリオテカ・ロマン。

『ポリフィルス狂恋夢』という絵入り本の話を初めて読んだのは澁澤龍彦の『胡桃の中の世界』だった。サルバ…

投票(23コメント(0)2018-09-21

コスタグアナ秘史 (フィクションのエル・ドラード)

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コスタグアナ秘史 (フィクションのエル・ドラード)

絶えず蚊の攻撃に悩まされ、雨季ともなれば町中を川のように水が流れるパナマ地峡。洪水や地震に翻弄され捗らない運河建設。混乱の続くコロンビア内政。驚異の物語をコンラッドに盗まれた男の饒舌な語りを聞こう。

フランスによる運河建設工事が破綻して混乱の極みにあるパナマ共和国。その北部にあってカリブ海に面した港…

投票(28コメント(2)2017-04-15

名誉と恍惚

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名誉と恍惚

「骨のある男ほど早く死んでゆくねえ、結果として、小粒な連中ばかりが残ることになる。実利とやらを追求する小役人だの低能な狂信者だの…そして、その二つが、小役人と狂信者が一人の人間の中で合体してしまう」

権力の中枢にいる者が民間の一事業主に便宜を図る引き換えに何かをさせようと思えば、誰か連絡を取る者が必…

投票(17コメント(0)2017-03-28

殺す・集める・読む―推理小説特殊講義

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殺す・集める・読む―推理小説特殊講義

何故、ヴィクトリア朝世紀末に忽然とシャーロック・ホームズが現れたのか?『吸血鬼ドラキュラ』は断然推理小説であった、とマニエリスム、バロックの研究者が華麗なペダントリーを駆使して語る異色の推理小説講義

著者自身が「博覧強記の学魔の異名をとる」という自身の紹介記事をことのほか気に入っているようなので仕方…

投票(26コメント(4)2017-03-23

夢遊病者たち 1――第一次世界大戦はいかにして始まったか

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夢遊病者たち 1――第一次世界大戦はいかにして始まったか

ヨーロッパの火薬庫、バルカン半島で起きたオーストリア=ハンガリー二重帝国の皇太子暗殺に始まる第一次世界大戦。その複雑極まりない各国間の力関係の軋轢を大使や外交官の対話を中心に刻銘に描き出した歴史書。

<1・2巻を併せての評です。> 一・二巻を通してノンブルを打つやり方があることを初めて知った。…

投票(22コメント(0)2017-03-10

わたしはこうして執事になった

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わたしはこうして執事になった

名門アスター家で執事をつとめた五人の男たちが語る、英国上流階級の豪奢で活気あふれる暮らしぶりと、そこを仕事場と決めた労働者階級出身の男たちの生態。一段ずつ階級を上げてゆくプロ執事の仕事ぶりを見よ!

執事というのは奇妙な仕事だ。本人は決して高い身分ではない。ほとんどが労働者階級の出身である。それなの…

投票(24コメント(0)2017-02-20

セカンドハンドの時代――「赤い国」を生きた人びと

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セカンドハンドの時代――「赤い国」を生きた人びと

大勢の人々が話しているのに、誰もが同じ言葉を使う。言葉がプロパガンダ的に使われていることに対する違和感がつのってならなかった。自分の眼で見たことを、自分の言葉で語ることの必要性を反語的に教えられた。

さすがにドストエフスキーの国の話らしく、読んでいる間は鬱々として愉しまず、時おり挿まれる笑い話は苦み…

投票(27コメント(0)2016-10-27

わたしの名は「紅」

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わたしの名は「紅」

戦隊物ではありません!西洋化にさらされる細密画の世界で起きる殺人事件を描いた歴史ミステリ?はたまたベタな三角関係を描く恋愛小説?いやいや元画家志望の作家による美術批評?という、ごった煮のてんこ盛り。

『わたしの名は紅』って題名に「ゴレンジャーかい」とつっこみたくなった。章が変わるたびに、話者が交代し…

投票(15コメント(0)2016-06-16
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