愛をめぐる対話 他3篇





対比列伝で有名なプルタルコスの愛情や思いやりを論じた4つの小編。手紙もある。女性を尊重し夫婦愛の正しさを説いたプルタルコスにして、当時の風潮である女性蔑視の因習から逃れられなかった。
愛に関するプルタルコス作の四編が載っている。プルタルコスは対比列伝(ギリシアとローマの偉人を比較した…

本が好き! 1級
書評数:1702 件
得票数:38030 票
神奈川県に住むサラリーマン(技術者)でしたが24年2月に会社を退職して今は無職です。
読書歴は大学の頃に遡ります。粗筋や感想をメモするようになりましたのはここ10年程ですので、若い頃に読んだ作品を再読した投稿が多いです。元々海外純文学と推理小説、そして海外の歴史小説が自分の好きな分野でした。しかし、最近は、文明論、科学ノンフィクション、音楽などにも興味が広がってきました。投稿するからには評価出来ない作品もきっちりと読もうと心掛けています。どうかよろしくお願い致します。





対比列伝で有名なプルタルコスの愛情や思いやりを論じた4つの小編。手紙もある。女性を尊重し夫婦愛の正しさを説いたプルタルコスにして、当時の風潮である女性蔑視の因習から逃れられなかった。
愛に関するプルタルコス作の四編が載っている。プルタルコスは対比列伝(ギリシアとローマの偉人を比較した…


小学生の「僕」が様々な夢の世界に紛れ込むファンタジー作品。「僕」が公園のブランコで出会った少年が「僕」そっくりだったのが発端。
少年が主人公の長編小説。ある少年が人々の夢の世界を渡り歩くという物語。その世界に迷い込んだ少年は、た…



シャーロック・ホームズのシリーズ第1作「緋色の研究」の出版百年を記念して刊行されたもの。ドイルの半生、作品から読み取れる探偵キャラクター、作品のモデルなどが論じられている。
本書の原著書は1987年にワード・ロック社、つまりホームズ物語の最初の一冊 「緋色の研究」 を出版し…




間違いを間違いと主張するのは時と場合によってはかなり勇気がいる。そんな物語である。
小学校の教科書で心に残った作品は幾つかあるが、これもその一つである。実家にあった国語・六年の教科書を…





主人公の探偵は家を見つけられなくなり、故国も今や失いかけている。そんな主人公が多くの人の過去を調べ、アイデンティティの危機を探る。不条理な小説にも読めるが印象に残る小説でもある。
かもめ通信さんの 書評 を読んで手にした本です。その後、朝日新聞の書評欄でも取り上げられました。良い…




アメリカ合衆国を内乱で倒し神権国家ギレアデを成立させた「ヤコブの息子たち」。この国では公然と女性を抑圧する。そのギレアデの将来に重要な影響を与えた女性3人の話。近未来のディストピア小説である。
2025年6月にNHKの番組「100分de名著」で本書の著者マーガレット・アトウッドが取り上げられた…


トロイ戦争の末期。女性の戦闘集団として知られるアマゾネス一族は、ギリシア方に闘いを仕掛ける。その族長ペンテジレーアは、敵の将アキレスに恋情を感じた。信じられない結末。
トロイ戦争については、ホメロスの 「イリアス」 「オデュッセイア」 で読んだことがある。しかし、「…





国境を守る老人と青年のふたりの兵士。そのふたりには国は違えど友情があった。しかし、その友情は戦争で引き裂かれる。淡々とした静かな描写、事件らしい事件もない物語で戦争の怖さを教えてくれる稀有な作品。
昨年、実家を整理し、保存することにした小学校六年生の教科書を読み返すと、そこにもこの作品が載っていた…





リトアニアのカウナスに住む語り手で15歳の少女リナとその両親、弟の運命。彼ら一家は「名簿」に載り、アルタイの草原、そして北極海に臨む荒地で強制労働をさせられる。彼らに希望はあるのか?
本書は、同著者の作品である 「モノクロの街の夜明けに」 の紹介をしてくださったぱせりさんがコメント欄…





階級から紐解く英国文学と映画。イギリス人の微妙な階級観は、こういうガイド無しには読み取れない。
「風にのってきたメアリー・ポピンズ」 の主人公がなぜ不機嫌なのか?という僕の感想に対してRokoさ…




断食をしているところを観客に見せることを生業とする「断食芸人」を題材にしたカフカの短編の解説。自分のことを書くのが好きなカフカは、断食芸人そのものなのだろうか。
三太郎さんの 書評 を読んで手にした本です。良い本のご紹介ありがとうございました。 カフカの …



ホームズ物を深く分析すると著者コナン・ドイルの深層心理がわかる。そんなことを中心としたホームズ論である。
日本シャーロック・ホームズ・クラブ主宰で、シャーロッキアンとして知られる小林司氏と東山あかね氏が書く…



ほら男爵の冒険話を五編。全てがそんな筈はない、という馬鹿馬鹿しい話ではあるが、それ故笑える話ばかりでもある。
ほら男爵として有名な「ミュンヒハウゼン男爵の冒険」の全訳である。先日、星新一がミュンヒハウゼン男爵の…

ヴィクトリア朝研究者による名探偵ホームズの著者、コナン・ドイルの評伝。彼の文才には否定的で、せいぜい連載物の作者が良い所、人を信じ易い一方で思い込んだら譲らず、それ故、種々のトラブルを起こしたと厳しい
著者のピアソールはヴィクトリア朝の研究者とのこと。それ故か、ドイルの評伝でありながら、ドイルの生きた…




太宰治が出版社の依頼で生まれ故郷の津軽各地を旅する見聞録。実際には、旅と共に自分の人生を振り返っているように見える。戦時中の旅なのに戦争色が薄い点も特徴的である。
こちらも 「やりなおし世界文学」 の中の一冊。太宰治の名はもちろん知っているが自分が読んだことがある…




賭けで身を持ち崩した将軍に彼の子供の家庭教師として仕える私。賭けに溺れ破滅してゆく人間を沢山見て来た。私はある晩、恋人のためにルーレットで金を賭け大勝し、恋より賭けへの興味が勝っていることに気付く。
ドストエフスキーが自身の賭博と恋愛の体験を元に書いた小説。 舞台はルーレテンブルグと言う架空の…




ブラックウッド家の姉妹は、村人に嫌われ白眼視されていた。姉が殺人の容疑者となって無罪を言い渡されたのに村人はそれを信じないからだ。姉妹は孤独ながらも楽しい生活をしていた。だがそこに干渉する輩が絡む。
こちらも 「やりなおし世界文学」 の一冊。本書の書評はこのサイトで読ませてもらっているものの、最近読…



日本人シャーロッキアンの論文集。作品そのものから背景を分析したものまで多数あるが、やはり作品を分析したものが面白い
編著者の小林司氏、東山あかね氏は夫婦でふたりともシャーロッキアンとしても有名である。私は、彼らの名を…



ロンドンで解雇された主人公ジョウゼフ・アンドルーズは、師と仰ぐ副牧師アダムズ、恋人のファニーと前途多難な旅を終えて村に戻った。しかし、様々な困難がジョウゼフとファニーの結婚を阻む。
ジョウゼフはすこぶる美男で性質も良い下僕だった。彼の雇用主だったサー・トマス・ブービーとその妻が田舎…



ジョウゼフ・アンドルーズは見た目も心も綺麗な男だった。雇い主の未亡人に懸想され、拒絶したことから屋敷を追い出され、元の村に戻ろうとしたが途中で師匠格のアダムズ牧師と出会ったことで珍道中を演じる。
本書は、小説の父と言われるフィールディングの小説の第一作である(それまで戯曲は多数書いていた)。フィ…