こちらあみ子



「空気が読めない」生きづらさが、イタすぎる。
太宰治賞を受賞した表題作に、書き下ろし「ピクニック」を加えた一冊。 「こちらあみ子」は、とにか…



「空気が読めない」生きづらさが、イタすぎる。
太宰治賞を受賞した表題作に、書き下ろし「ピクニック」を加えた一冊。 「こちらあみ子」は、とにか…




事実のもつ強さと冷酷さ、人の持つ弱さと温かさ。その間に立つ弁護士シーラッハの苦々しい矛盾を「作家」シーラッハが描く。巧いです。
1作目の『犯罪』があまりに面白かったので、その水準をキープできているかどうか、実は本書を手に取る前は…



震災直後に連打された原稿とは思えない慧眼はさすが。こういうところに人の力量が出る。
昨年3月から4月にかけて、ネット上や雑誌などに書かれた文章を集めたもの。しかし、1年後の今から見ても…




地方などない。わたしがいるところなら、どこだって中央なのだ。「地方」の気概と心意気を取り戻すための一冊。
福島県知事時代、原発をめぐって東電や経産省とバトルを繰り広げた佐藤氏と、『「フクシマ」論』で、福島出…



われわれは本当に「一人」なのでしょうか。
米国オハイオ州で連続強姦強盗事件が起こりビリー・ミリガンという青年が逮捕される。ところが、捜査に関わ…





井上ひさしてんこ盛りのユーモア・サスペンス・ロマンス・歴史ミステリー・アクション小説。
井上ひさし最後の長編小説。テーマはなんと、シベリア抑留。 戦後、強制的にソ連に抑留された多くの…





この人生には、言葉を失う。読んだらぜひ「ノヴェンバー・ステップス」を聴いてほしい。
鶴田錦史という、希代の天才琵琶師の生涯を追った一冊。 本書口絵には鶴田錦史の写真が載っている。…




死と向き合うことこそ、仏教の本質。そのことがよ~く分かる、天才・空海24歳の作。
「さんごうしいき」と読む。原文にいきなりトライする度胸はなかったので、カドカワのビギナーズにお世話に…





読むほどに「あなたはどうなの?」という問いをギリギリのところに突き付けてくる、オソロシイ本。組織と人間の関係を考えるための必読の一冊。
本書の土台になっているのは、心理学史上もっとも有名な、そしてもっとも恐ろしい実験だ。まず、その内容を…




世界の貧困は2025年までに終わらせられる。われわれがGNPの0.7%を支出すれば。
全人類の6分の1が、生存のため必要な最低限のもの(食料、水、医療、衛生など)さえ得られない「極度の貧…





爆撃機の鋼鉄の触感。幽霊屋敷の湿った空気。ざらりとした戦争の感覚が肌身に伝わる傑作児童文学です。
宮崎駿氏が大絶賛していたウェストールの一冊。表題作のほか短篇「チャス・マッギルの幽霊」、自伝エッセイ…




オトナのための漱石。コドモは『坊っちゃん』でも読んでなさい。
俗に「三四郎」「それから」「門」は三部作と言われる。若き日々の闊達と屈託を描いた「三四郎」のその後が…



目次を読むだけで十分楽しい。ここ100年間で何が起きたのか?
20世紀の100年間のベストセラーを、名うての読み手二人がバッサバッサと斬りまくるというとんでもない…




知ること。ただそれだけのことが、どれほど重要か。女性必携、男性必読。
読売新聞に拍手。よくぞこのテーマで、ここまで突っ込んでキャンペーンを張ったものだ。この新聞の会長や社…





恋の駆け引きは昔も今も変わらない。でも今のメールやツイッターに、これほどの機知の応酬があるだろうか。
平安女流文学を代表する古典のひとつであり、日記文学の頂点……なのだが、驚いたのは、その内容の「現代性…




問題は貧しさだけにあらず。社会とのつながりを断たれることは、貧困に匹敵するハイリスクである。
「社会的排除」についての類書にはジョック・ヤングの『排除型社会』があるが、本書は、言うなればその日本…





平安から明治によみがえった、女流日記文学のルネサンス。こういう日記を書ける20代が、いま一人でもいるだろうか。
明治24年から没年となる29年までの一葉の日記に書簡を加え、さらに一葉についての文章をいくつか採録し…




ラテンアメリカ文学の新たなヒーロー、ドミニカの血の歴史が流れ込む先は、なんと童貞のオタク。絶妙のエンタメにして、未曾有の文学の誕生だ。
ドミニカのオタク青年という設定が、まずもって面白い。バリバリのラテン系、生まれついてのプレイボーイ揃…




人は遺伝子の乗り物であるように、物語を伝えるための乗り物なのか。
某国の反政府ゲリラに拉致された8人が、自らを慰めるため行った「朗読会」。無事解放されるのかどうか分か…




対称性という「最強の補助線」で、素粒子から宇宙までをぶった斬る。ただし、骨あります。
「対称性」というキーワードひとつで、広大な物理学の世界をバッサリと「斬る」一冊。 対称性と言わ…