カヴァレリーア・ルスティカーナ―他11篇





先日読んだ世界文学アンソロジー『囚われて』にサルデーニャ島出身のノーベル賞作家デレッタの作品が収録されていて、その解説でシチリア島出身の作家ヴェルガへの言及があったので、興味を抱いて手に取りました。
「私はすでに数冊の小説を発表していた。いずれも好評であり、私はさらに別のものを用意しつつあった。ある…

本が好き! 1級
書評数:2305 件
得票数:44123 票
「本職」は、本というより映画です。
本を読んでいても、映画好きの視点から、内容を見ていることが多いようです。





先日読んだ世界文学アンソロジー『囚われて』にサルデーニャ島出身のノーベル賞作家デレッタの作品が収録されていて、その解説でシチリア島出身の作家ヴェルガへの言及があったので、興味を抱いて手に取りました。
「私はすでに数冊の小説を発表していた。いずれも好評であり、私はさらに別のものを用意しつつあった。ある…

「どんな革命でも、始まったとたん、とんでもない汚職の天国になってしまう」こういう罵倒若しくは嘆きなら良いのですが、正当かつ具体的な根拠なしに、それが特定の人種や国民に向けられれば、差別になります。
1937年刊の本書は、一応、政治パンフレットということになっていますが、読んでみると実体は小説です。…





「第八森の子どもたち お塩もなしに ジャガイモ食べて 麦も入らぬ おかゆをすすり ねむるところは 星の下 だけど ちっとも 寒くない」 (本書収録の詩より)
ぱせりさんに、この作者と本のことを教えてもらいました。感謝いたします。 「子どもというものは、…



未訳ですが「100種類の違った結末が用意されている」(Wikipedia より) "Unique Item" など、トリッキーな長編小説で知られるセルビアの作家の短編集です。
旧ユーゴスラビアのセルビア出身のミロラド・パヴィッチ(1929-2009)は、トリッキーな長編小説の…





同じスペイン語を話し、住民の外見からはどちらの国民かほとんど分からないものの、長年争いが絶えなかった、隣り合わせの国エル・サルバドルとホンジュラス双方の血を引く作者による、「二都物語」です。
本書の作者オラシオ・カステジャーノス・モヤは、1957年にホンジュラスで生まれました。父親はエル・サ…





「早川の流れは清し、水澄みて、底のケチめが顔をミステリ」(作者による戯れ歌) 早川書房入社から、EQMMの編集長となるも、小説家を目指して退社し、処女作を発表するまでを描いた、生島治郎の自伝的小説です。
「仕事はきつく、月給は安い。だが、それでもわれわれの上にはオテントさまが輝いている」(本書より) …




福島原発を世界遺産にしようという動きが福島県にあることを、大都市に住む人たちは、どのくらい知っているのでしょうか。
ぱせりさんの書評で、この本のことを知りました。感謝いたします。 「日本最大のダムに沈んだ 岐阜…





「無関心な人々を恐れよ-かれらは殺しも裏切りもしない。 だがかれらの沈黙の同意があればこそ、 地上には裏切りと殺戮が存在するのだ」 (ロベルト・エバルハルト作『ピテカントロープ最後の皇帝』より)
「1937年夏、夫ヤセンスキーは『無関心な人々の共謀』第一部の終章の仕上げにかかっていた。連日、何時…




ものすごくパワフルで、ものすごく面白い小説です。ですが...というのが正直な感想です。
本書に関しては、青玉楼主人さんの書評が、実にうまく内容の紹介をされているので、そちらも是非ご覧くださ…



「将棋指しは18のとき、40の顔になっている」 これは、才人として知られた芹澤博文九段が、弟弟子だった若き中原十六世名人のことを言ったものですが、それだけでなく、谷川や羽生や藤井にも当てはまりますね。
本書は、プロ棋士だった河口俊彦が2012年に発表したものです。まず、題名ですが、「盤上の勝負 盤外の…




「暗いから電燈を明るくしてくれ」 「いや今のままでいい」 「盤が見えないから、頭をさげてくれ」 「まぶしくてかなわん。頭巾をかぶってくれ」 (本書で紹介されている大山十五世名人と山田九段の対局中のやりとり)
「人生は一局の棋なり 指し直し能わず」 2002年刊の本書の題名は、愛棋家だった菊池寛のこの言…




「『三百万人』というのは簡単だ。『三百万人、四百万人の難民』と。だが、どこまでもはてしなくつづく難民キャンプを目の当たりにすると、その意味がようやくわかってくる」(本書より)
本書は、2007年ノーベル文学賞作家ドリス・レッシング(1919-2013)が、1986年9月にパキ…





藤井三冠の活躍の陰で、50歳の羽生九段の不調が気になるところですが、それを思うと、無冠となった後も、63歳で名人挑戦者になり、69歳で死ぬまでA級に留まった大山康晴15世名人の凄さが分かります。
「羽生の勝ち方はいつもぎりぎりの勝ちである。たとえ格下を相手にしたときも、大差の勝ちは滅多にない。(…





「同情してくれる男はいらない どうして以前はそういう男を求めていたのか、今は謎」 (第二次大戦中の米海軍婦人部隊が唄った歌) 暗号解読に活躍した女性達の本ですが、ジェンダー問題を扱った内容にもなっています。
「5678 8757 0960 0221 2469 2808 4877 5581 1646 8464…





先行して書評を書かれた方がいて、その内容が、自分の語りたいこととピッタリ一致するというのはあるものです。そういう時は、何を書こうか悩みます。
第二次大戦下のドイツを舞台に、強制収容所の存在とユダヤ人に対する虐待を知り、彼らに秘密裏に食料を運ん…




「村は、武器を持ったおおぜいの男たちにおそわれ、大人も子どもも、ヤギや羊までもとらえられてしまいました。 とらえられた村人たちは、銃や馬や食べものとひきかえに奴隷商人の手にわたされました」(本書より)
アフリカ大陸やモザンビークに生息するバオバブという木は、樹齢数千年のものもあります。表紙に描かれてい…




「何度も討議が重ねられた(アメリカの原爆投下の)目標検討委員会で、広島が一度たりとも候補から外れなかった理由、それは広島の沖に、日本軍最大の輸送基地・宇品(うじな)があったからである」(本書序章より)
太平洋戦争において、輸送船に乗っていて命を落とした方は約30万人にのぼるとされています。本書は、なぜ…





「昭和28(1953)年10月23日作、昭和29(1955)年加筆、昭和57(1982)年改訂」(本書あとがきより)かこさとしが、自らの戦争体験を描いた紙芝居が絵本になったのは2021年7月でした。
表紙の絵をご覧ください。これは、当時18歳で、秋が好きだった、かこさとしが1944年秋に実際に目撃し…





「イスラム」という言葉から「原理主義」、続けて「テロ」という言葉を自然と連想してしまうようになったのは、いつから始まり、どうしてなのでしょう?本書は、私のこの長年の疑問に答えてくれたものです。
少し前に『地中のディナー』のレビューの中で「『イスラム原理主義』Islamic fundamenta…





「ベトナム戦争は敗れつつある」(チャーリー・モアによる『タイム』誌1963年9月の記事の出だし)ベトナム戦争が終結したのは1975年4月です。本書は戦争における真実の報道の難しさを語っています。
「サイゴンは、新聞記者と腹蔵なく話し合う数少ない誠実なアメリカ人を、黙らせようとするアメリカ人のおば…